第三回 あれ? 夏休みじゃなかったの?


 ――葉月も、もう三日を迎える。



 まだ僕は、外の世界を知らない。


 今はもう、ずっとお家。

 その前は病院。入院していたの、長い間。



 ……難しい名前の病気。


 両脚は……動かせない。

 いずれは両手も、……悪ければ、呼吸もままならない。そんな病気……


 葉月という、僕と同じ名前の月が終わったなら、

 僕は、また病院。


 ……お家に、帰れるかわからないの。



 そんなことは、もう思わない。


 そう思っても、泣けてきちゃって。……すると、するとね、


 聞こえてくる話し声、お外から?

 窓から見る、全部ではなく一部?



 ……呟きにも似る。


「あれ? 夏休みじゃなかったの?」

 との列記とした言葉となって、存在する独り言。


 ――いたの、いつものように。


 登校途上の、よく似たショートボブの女の子が二人。とっても元気そうで。


 その二人の……やっぱりお姉さんなのかな? その二人の面倒を、そっと優しく見ているようで。本当に楽しそうで、とっても仲の良い三人だった。



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