第二回 僕が、ボクッ娘になった日。


 ――それは葉月になる前。



 葉月は英語ならオーガスト。その前の月の……そうそう七夕。

 旧暦なら七月の六日……



 その日も窓越しに見る朝の一コマ。


 よく似た女の子が二人……

 それもどっちがどっち? で区別がつかないほどなの。


 それにこの子たちのお姉さんかな? いつも一緒なの。


 そして、

 この子たち……よく似た二人の女の子は、自分のことを『僕』と言っていた。

 二人が、二人とも……


 女の子だけど一人称が『僕』……衝撃とともに、

 心地よい響きと、何より二人とも元気で明るい。


 ショートボブの髪型が、活発そう。


 ……だから、

 その日から、僕はボクッ娘になった。



 最初はママも、

 お仕事から帰っていたパパもびっくりしちゃったけど、


 それで「葉月が元気になるのなら」と、言ってくれた。



 ――僕は元気になりたい。


 一人では歩くことができなくて……徐々に何もできなくなるかもしれないけど、その前に僕は、この子たちみたいに学校に行きたい。僕はね、ここにいるんだから……



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