第56話 VRホラー開始




 ベッドや机周りに本だなと、一つ一つを【目星】で調べる。


 ファレナの【目星】で成功するする値が低い事に気が付いた。《20》前後では成功したのに対して《30》を超えると確実に失敗している。


 【聞き耳】も同じく位かは分からない。

 けど、きっと同じなら《20》以上から《30》かな。


 皆でベッドを調べた時に、この屋敷の見取り図……らしきモノを発見した。


 広げて見てみると、一階部分は中庭と書かれているから理解しやすいのだけど、その他がさっぱり分からない。


「コレって元の家だった時の見取り図って事で良いんだよね?」

「多分、そうじゃのう」


 元の屋敷は三階建てで、屋根裏部屋を入れれば四階がある事になる。

 問題なのは増築された箇所は描かれて無いという事だ。


「自分達の居る部分が分からないよ」


 元の形が分かっただけでもありがたいんだけど、必要な情報だし。


「元々どこに要るのか判らないんだから、無理じゃない?」

「童も見取り図の見かたは分からんぞ?」


「まぁ、そうなんだけど……この図を見るとね、僕等が来た道は多分だけど南から入って来たんだと思うよ。二階の渡り廊下を通った時に見た南の入り口辺りにある土間だったし」


 問題はその後に道案内をされた部分だ。

 方角的には東に進んで行ったように思うんだけど。


「階を移動してないのに、なんで場所が変わっちゃったんだろうね」


 言われてみれば確かにそうだよね。

 ファレナちゃんの呟きに改めて考えてみる。


「今は分からない事だらけだし、先ずは行ける場所は言っちゃおうか」

「いつまで考えても埒が明かんしな」

「賛成~」


 廊下に戻って問題の二つの部屋を調べようとしたのだけど……。

 カンカンと音が鳴ってる部屋には入れなかった。

 正確にはドアは開く。

 すぐ目の前に厚い板の壁があって部屋と呼べるモノじゃない。


 もう片方は、さっき入った部屋のように灯りを先に入れ、室内の奴等を追い払った後に確認したけど、小さな通気口があるだけの殺風景なコンクリート部屋。


「あれ? これ以上先は無いの?」

「いや、少し戻った通路の窓から先に行けるんじゃないかな」

「あそこにも確か居ったな。あの蜘蛛みたいな奴等が」


 それで先に進めなかっただけで、今なら皆が灯りを持ってるし進めると思う。


「うぁ~……任せていいかな?」

「別に良いけど?」


 セーブ部屋の前まで戻って来た。

 一応確認のためにセーブ部屋を調べようとするが開くことは無かった。


 窓の奥に見える通路にはカサカサと動き回ってるヤツが居るため、あまり見ない様にしながらランタンでゆっくりと照らしながら窓の先を明るくしていく。


 余程嫌いなのかな。

 すぐに蜘蛛みたいな奴等は居なくなって、窓の先へと進める様になった。


「あっ! 燭台あるよ~」


 薄暗くって見にくいのにファレナちゃんはすぐに見つけて、その場所に火を灯す。


「とりあえず、この道も安全になったかな」

「しかし長いはしない方が良さそうじゃぞ。ほぼ一本道じゃからな」


 分かりやすい部屋のドアは殆ど無い。

 あるのは窓だったり、台所なんかで見かける床下収納みたいな枠だったり。

「燭台が離れ過ぎてるから、薄暗くってちゃんと調べていかないと見落としそう」


 ランタンが手元にあるとはいってもな。

 しっかりと廊下を調べながら歩く必要性がある。




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カース・チャーム 風月七泉 @cherlblue

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