第四十七髪 意外にも フレンドリーだね 白き獣
「おお……、『
大地を震わせるような威厳のある低い声が、白き獣から響き渡る。
「ええ、ルピカ様もお変わりなく。――おはようございます」
「おはよう! ううむ、あれからどれくらい経ったのか……。ざっと、千年ほどか。
「いいえ、ルピカ様。たった、百二十年余りでございます」
「なんと。ふむ、……何かの不測の事態があったのか」
白い獣ルピカは軽く飛び、石像の台からしなやかな動きで降りると、慎太郎のすぐ近くまで来る。
そして、その姿をじっと見つめる。
美しくも
これも、
「エビネの現大神官、慎太郎だ。偉大なる白き神の
「創造神に選ばれし大神官よ。我はルピカ。このような短い期間でその存在に再び
「ああ、別に構わないが」
「うむ。ちなみに我はルピカと呼び捨てで良い。
「お、おう」
急激にフレンドリーになったルピカに
慎太郎は
「ルピカ。すでに以前の記録は確認させて頂いたのだが、……その、サイズがイメージより小さいのは大丈夫なのかね」
若干、
「ああ、この姿は、ここで眠る時に冬眠モードにしておいたからでね。そうさな、例えば……!」
何の前触れもなくふわり、と宙へ浮かぶと、ルピカは目を閉じる。
すると、小振りなサイズだったその姿が、あっという間に中庭の
「おおお、凄いな!」
「はっはっは、これでも
そういうや
そして、それぞれが思いのまま自由に動いていく。
「と、このように戦力を分散し、攻防思いのままに出来る。通信連絡用のミニミニな我を
「なるほど、どうやらその力は健在、ということだな」
確かに本の中にもそう書かれていた。
「とはいえ、
全て創世記に出てくる神の名前だ。
まるで友達のように、いや実際そうなのかもしれないが、ポンポンとビッグネームが出てくるのは、さすが神の分身といったところか。
ルピカは元の姿に戻ると、慎太郎の前に
それはまるで、かの日の姿の石像のように。
「ああ、なんとも懐かしいなあ。姫巫女もそうは思わんかね」
「ええ。……本当に」
「と、いうわけで、今日のところはお
「ああ。ちゃんと用がある時に呼ぶことにするよ。おやすみ、ルピカ」
ルピカは前足を軽く上げると、大きく
ただ、全身がきらきらと輝いているので、あれは目立つだろうな、と慎太郎は苦笑いを浮かべながらその姿を見送った。
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