第四十一髪 神八重の 羽衣ついに ご対面

 里の朝は、遅い。

 というのも、ハーピィ達は本来夜行性であり、朝もそれに従ってゆったりとしている。

 昨日の朝は彼らにとっても、かなり特殊な状況だったようだ。

 ゆったりとした空気が流れる中、一同は用意されていた朝食をとると、クオーレは動物達の世話へ、大巫女とマリーナはリフレッシュしに朝風呂へ向かう。

 慎太郎はというと、随分と遅い時間まで起きていたせいか眠いままであり、約束の時間まで思い切って寝ることにした。

 そうこうしているうちに、あっという間に時間は過ぎていき。


「……慎太郎様」

「ん……。ああ、時間か」

「ええ、参りましょう」


 慎太郎が起きると、皆すでに準備を整えていた。

 服を整え、洗面台で残り少ない戦友達もうはつに号令をかけ、完璧なまでにまとめ上げる。

 一行が族長の家に入ると、すでにセファラは奥の椅子に座っていた。

 彼らが入ってくる音を確認すると、閉じていた目を開き、立ち上がり、軽く一礼をする。

 今日の彼女は、徹夜明けのせいか、身体が重たげな雰囲気をかもし出している。

 羽根を通す穴がなくゆったりとした丈の長い装束に全身を包んでいたため、チャームポイントとも言えるあの美しい翼を見ることは出来なかった。


「おはよう、セファラ」

「おじさま、おはようございます。……これが、約束の品です」


 そう言うと、机に置いていた包装の布を解き、中に納めてあったものを手渡す。


「こ、これは?!」


 それを見た瞬間、慎太郎の目は大きく見開かれた。

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