第17話髪型


 ご飯を食べ終わったあと、突然遠山さんがこんなことを言い出した。


 「篠原君君ってさ髪の毛切らないの? ずっと見てて思ったんだけど、だいぶ髪の毛長いよね」


 確かに、結構長くなってきたな。でも学校もないんだし、まだ切らなくてもいいでしょ。


 「最後に切ったのっていつなの?」


 「最後は5月の上旬ぐらいだった気がする」


 「すぐに切った方がいいんじゃないかな。今の髪型だとなんか変って言うか」


 まぁ、言い淀むのもしょうがないかな。だって今の僕の外見は、ザッ陰キャって感じだし、それに清潔感の欠片もなさそうに見えるからね。


 「バイトもしてるんだから、身だしなみは常に整えないと」


 「言われてみればそうだね。今から切ってくるよ」


 「切るって自分で切っちゃうの?」


 「えっ、そうだけど。この前だって自分で切ったよ」


 自分で切った方がお金かからないし。それに自分で切ったら絶対に失敗するだろうし。


 「それはダメ。篠原君、髪型ちゃんとしたらかっこよくなると思うんだよね」


 あー、うん。


 「だからね、ちゃんとしたところに切りに行こ」


 「いや、いいよ。お金もかかるし」


 「それなら今までのお礼に私が出すからさ、ねっ行こ」


 「だからいいって」


 髪型なんてどうでもいいんだから。


 「髪型ちゃんとしたらかっこよくなってモテるし、お金もかからないんだし、行こうよ」


 うるさいな。


 「美容院の予約もしてあげるからね」


 「うるさいな!」


 「えっ」


 「髪型なんて僕の勝手だろ! それを他人がとやか言うなよ! 迷惑なんだよ!」


 篠原は、声を荒らげて叫んだ。


 「ご、ごめんね。そういうつもりじゃ」


 「気分が悪いから、もう寝る。鍵かけなくていいからもう帰って」


 「う、うん」


 そのまま篠原は、2階の自分の部屋に行ってしまった。



 ◇


 篠原君は怒って2階に行ってしまった。


 優しかった篠原君があんなに怒るなんて。


 それから、いつの間にか自分の部屋にいた。それから、いつの間にか寝てしまった。枕を濡らしながら。

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人が苦手なぼっち君何故か美少女に世話をされる @yamanara

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