その先にあるもの…
そして俺も身支度と気持ちを整えるように深呼吸をし彼女を待つことにした。
ゆずは「待たせたね」
彼女はかなり重そうな荷物を持っていた。
そんなに必要かどうかは今の自分でははんだできないが、この世界で生きてきた彼女だからこそわかることもあるのだろう。
智樹「すこし持とうか?」
そう手を差し伸べたが彼女はその手を無視し先に歩き始めてしまった。
ゆずは「じぶんのもの位自分で持つさ」
こんな世界だ…強くなるよな…心も体も…内心感心と悲しさが入り交ざっていた。
そして自分にもそんな世界で生きていかないといけないということが重くのしかかってきた
元の世界の人たちは大丈夫だろうか…妹は大丈夫だろうか…そんなことを考えていると気が気ではなくなってくるが目の前に現実にまずは立ち向かっていかないといけない。
それに元の世界のことに気をすり減らしながら今の現実に気を使い…自分のことを守らないといけないそんな重圧に耐えられる自信はなく、いつ折れるかもわからない…
何かを捨てるとしたら元の世界のことだろう…。
不安ばかりが募ってしまう。
そんな不安をよそに彼女は荒れ果てた大地を颯爽とかけていく。
なぜあんなに小さな子があんな風に体力があり忍耐力があるのかも不思議に思えるほどで
それを追いかけるので精いっぱいで、声が出せなかった。
智樹「はぁはぁ…」
息を切らしている自分に彼女はあきれたように声をかけてきた。
ゆずは「この程度で疲れてるの?
あなたの生きてきた世界はほんと生ぬるい糞みたいな世界だったんでしょうね。
そんな糞みたいに平和な世界にいたあなたは誰かに守られながらぬくぬくとなんの苦労もせずなにも失わずに生きて来たんでしょ?」
そんなことは百も承知だ…けど急にこんな世界に飛ばされるということも想像できないだろう…
それに元居た世界はこの世界のように生と死のはざまのような生き方はしていなからな。
彼女の一言にいら立ちを覚えながらも、今ここにいて生きているのは彼女のおかげだということに葛藤を覚えながら彼女の後についていった。
やがて大きな滝が見えてきた。
そうほんとに滝とその下に滝つぼがあるだけの行き止まりのようなところに来た。
先になにもないのにそこでかの自余は足を止めて
ゆずは「あの滝の向こうに入口があるからついてきて?
いくら生ぬるい世界で生きて来たからって泳ぐことくらいできるでしょ?」
滝の向こう?これを上るのか!?
疲れていた自分は思考が追い付かずに
智樹「これをのぼるのか!?」
ゆずは「はぁ?よく見て滝の中をうっすらと見えるでしょ?」
確かに滝の中にうっすらと洞窟が確認できる、確かにあいつらから身を守るのには最適な場所なのかもしれないな。
敵を一か所に固められる入口となおかつ水が流れていて音などもごまかせる。
あと飲み水なども確保しやすいだろう
理にかなったようなところだ。
だがこの滝はどうやってできたのだろうな…こんな市街地のど真ん中で
まぁそんなことは今は些細なことかもしれないな。
智樹「これをくぐるのか?割と深いぞ…」
服などに持つを持った状態でここに入ったら重みでおぼれるかもしれない
現代人ならそう考えるだろうが…
ゆずは「これくらい普通だろ?」
この世界ではやはり常識というものは通用しないということでいいのだろう…
彼女は足早にいってしまい俺は取り残されてしまった
もう勇気を振り絞り
智樹「やるしかない」
そう覚悟を決めて滝つぼに飛び込んだ…
案の定上から降り注ぐ水と深さがある水にやられ浮くのが大変で一度はおぼれかけたが途中で彼女が戻ってきて
なんとか引き上げてくれた。
ゆずは「まったく…軟弱物め下手したら死んでいたではないか」
確かに今回は死にかけのところを助けてくれてかなり助かっただがなかなか彼女に言葉が侵奪で自分の無力さを思い知った時でもあった。
ほんとにこの世界で生きていけるのだろうか…そう考えながらなんとか地面に足を付けて立ち上がった。
水でぬれた服や荷物がかなり重く歩くだけでつらくしかも体温が奪われていく…。
早く温まりたい…そんな思いでいっぱいで言葉すら発せなかった。
彼女は入口で待っていてやっと来たかと言わんばかりの顔をしていた。
こっちは彼女みたいに強くはない…少しはいたわってくれてもいいのではと思っていたが
考えてみれば自分より小さい子にそんなことを言われるのもあれなので黙っていた。
まぁここまでかなり情けない様子を見せているので今更変わることはないだろうが。
ゆずは「もう少しでつくぞ頑張れ」
という言葉を掛けられて歩み続けた、もう歩くこともつらくなっていた時だった。
少し歩くとドアがあり洞窟に取り付けられた簡易的な木製のドアだった。
彼女はその木製のドアをゆっくり開けるとそこには目を疑うような光景が広がっていた。
智樹「なんだここは…なぜ洞窟の中に自然が広がっているんだ?
しかも天井は川底なのか!?なんなんだこの空間は…。」
そう目の前の空間に唖然とするしかなった。
ゆずは「そうだな…ここは昔…かいゆうかん?なるものがあったらしくなガラス張りのものが多くてなそれがいまでも残って出来上がっているようなとこらしいぞ
かいゆうかんがなんなのかは私にはわからないがガラス張りだから上からの光も入るしきれいだろ?
あと割と部屋とかも多くていい構造をしていると思わないか?」
智樹「ここで暮らせば安全だろうな…外に出る必要もないだろ?」
と誰もが思うようなことを口にした。
ゆずは「そうもいかないだろう…いつここもダメになるか知れたことではない…しかも食料などの問題もあるからな」
当たり前のことに当たり前のことを返された。
わかっていたわかっていたが疲れからか思考より先に言葉が出てしまったのである。
あたりを見渡しても人の気配がない…
ほかに人はいないのだろうか…ほんとうに今はこの子だけなんだろうか…。
智樹「ほかの人はいないのか?」
ゆずは「一応はいる…だが今はいないみたいだなそのうちかえってくるだろう…死んでいなければな
待っていてもかえってこない…まぁそんなものだよ…だからもういないものだと考えた方が早いと思うぞ。」
智樹「それなりにここを開けたりしているやつもいるのか…まぁかえってこないってのはなんとなくわかってしまう」
ゆずは「まぁ一週間とか平気でかえって来なかったりはするな…まぁそこまでかえって来なかったら一生かえって来ることはないだろうがな。とりあえず荷物を置いたり服を乾かしたりしようか」
彼女の後について部屋の方に向かった
海遊館ということもあり大体のものがガラス張りで丸見えなのでそれを防ぐために布などをかぶせたりしているらしい。
プライバシーというものは一応は守られているみたいだ。
ゆずは「ここが私の部屋だ、まぁ君の部屋を一から準備するのは面倒だしとりあえず私の部屋で過ごすといい。」
そこは女の子の部屋としてはあまりに華やかな感じではなく、生活に必要なものが置いてあるだけだった。
一つあるとしたら熊のぬいぐるみがちょこっと置かれているだけだった。
そのあまりにも場違いな熊の人形がまだこの部屋の救いであるのだろう。
そう部屋を見渡していると、急に目の前で着替え始めた。
智樹「は…はぁああああああ!?急に何やってんだよ」
ゆずは「なにをしているって着替えているだけだが?」
彼女が目の前で着替え始めた。
ゆずは「なに?別にみられて減るものではないだろ?なんだ見たいのか?」
すこし挑発気味に服をずらして近づいてくる。
智樹「はぁ…もういいから早く着替えてくれ…」
と少し部屋から出た。
プライバシーは少しは守られていると思いきやそうでもなかった…まったくどうなっているんだ…。
慣れるまでの辛抱か…
ゆずは「ではここの案内をしてやろう」
着替え終わったのか彼女が出てきたので自分は入れ替わりに着替えて彼女の後についていった。
それなりの設備がそろっているのと説明を受けながら一周したら、さすがに疲れがピークになり
ゆずは「君のお守りは疲れるよ今日は寝るとしよう…」
智樹「それは悪かったね」
そう嫌味混じりな言葉を返し寝ることにしたが、別途が一つしかなかったため、一つのベットで一緒に寝ることになった。
床で寝るという選択肢もあったがさすがに石の床ではねられないと思い仕方なく二人で寝ることになった。
その夜はいろいろなことを考えながら横になっているとすぐに眠ってしまった。
妹のこと、友達のこと、いろんなことが浮かんでくる
すぐに帰りたいという気持ちでいっぱいだったがこの状態でいっても何も解決しなのはわかっていた。
そんなやるせない気持ちのままその日は終わった。
夢の中で誰かがささやきかけてくる…遠くてまだよく聞こえない…
??「こ……っ……き……あ……」
かすれカスレで何を言っているのかがわからない…が呼びかけられている?
そんな気がした次の瞬間に光に包まれ…目が覚めた。
天と地の間で 二話目 挿花 @yuzuha0123
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