天と地の間で 二話目
挿花
目覚めたその場所で
それからどれだけの時間がたったのかわからないがそれなりに眠っていたようだ。
眠りから寒るとやけに気分がよく今すぐに走ってどこかに行けるような気がした。
最近あまり眠れていなかったから眠れたのがよかったのかもしれない。
起き上がり別途に腰を掛けていると彼女が扉を開けて部屋に入ってきた。
??「目覚めたか?気分はどうだ?」
智樹「それなりに気分はいいが状況の説明をしてくれないか…」
??「そうか…それはよかった、丸々二日は寝ていたからな。」
智樹「そんなに寝ていたのか!?」
驚きを隠せなかった。
??「では何から説明しようか…」
そう彼女はめんどくさそうに言い放った。
智樹「聞きたいことは山ほどあるがどれから聞けばいいのかわからなくて混乱しているんだ」
こっちに来て常識を超えた出来事が多くて、なにも追いついていな俺はそういうことしか言えなかった。
いやこういうことが起きるのは、SF小説や漫画の中だけかと思っていた自分がいたから
猶更今の現状を受け止めることができないでいたのだ。
何かがおかしい何かがずれているというレベルではなく、世界が丸々変わってしまっているのではないかと思うくらい変貌しているしなぜ自分がこんなことに巻き込まれているのかという思いにさいなまれていた。
原因は定かではないが検討はつく…朝からおかしかったあの穴に何かあるのではないかと思っている。
??「まぁお前が別の世界から来たのは目に見えてわかる…その見た目、今のこの世界では手に入らないものばかりだ
そりゃお前みたいなやつがもう一人くらいいたらあれだが今まで見たことないからなこの世界では」
俺は彼女の話についていけない…今では手に入らない?
この世界はいったいどうなっているんだ。
確かに彼女の身なりを自分と比べるとかなり違いはあるがそんなにこの世界は荒廃しているのか。
話が飛びすぎていてわからないがこの世界は元居た世界の続き…?そう考えていいのだろうか。
智樹「この世界についてもう少し教えてくれないか?」
と頭を抱えながら彼女に問いかけた。
この時はまだ冷静でいられたのかもしれない…世界の説明を受けるまでは。
??「そうだな…ここがどこなのか…いつなのかそしてなんでここにいるのかも私にはわからないが物心ついた時から私はここにいた。
だから今が何年の何時なのかはわかるやつはいないと思うぜ」
年号や日付…時間の感覚すらわからない…そんな風になってしまうなんて何があったのだろうと彼女の話に聞き言っていた。
??「どうしてこうなってしまったのかも…さっき言ったと思うが私が物心ついた時からこんな状態だったから自分でもよくわからないんだ…すまない…だがこの荒廃度合いと人の少なさから戦争でもあったのではないだろうか…」
智樹「そんなでよくこんな世界で生きてこられたな…」
??「よく覚えてはいないんだが誰かに守られていたのは覚えている…誰にというのが思い出せない…
だがそいつも戦いに出たまま帰ってこなかった…
ほとんど何も聞かされていない…文献なんかも残っていない…だがほかの知らない奴らがなにか残しているかもしれないからそれを探してみるのもいいかもしれないな」
彼女もほとんど何もしらないまま命を懸けた戦いに身を投じていたんだな…。
自分の生きていた世界ではあまり考えられないようなことだ…。
??「そういえば体の方は大丈夫か?」
智樹「すっかり治っている…すごいななんでなんだ?」
??「お前に飲ませたやつが作用しているんだな回復を早めるものだ、治っているならよかった」
ほんとに体が軽くて傷もすっかり治っていることに気が付いたのは彼女に尋ねられてからである
すごい薬もあったものだなと感心した。
それは急に飲めと強要してきたんだな…たしかに飲まないと危なかったかもしれないな。
??「だがその薬は君に飲ませたので最後だったので次はないぞ?
気を付けておけよ」
智樹「そうなのか…わかった気を付けておこう」
??「そうだな…次に説明するとしたら…なぜ君が身にまとっているものが手に入らないのかというと
単純だよ、こんな世界に上等なものを作るやつが残っていないし、そういうものに需要性がなくなったことか
私が今着ているのはゴムのように伸縮するタイプのタイツのようなものだ」
智樹「確かにこの世界ならそっちの方がいいのかもしれないな…」
こういう状況下ではやはり利便性などが勝るだろうし生産者自体がいないからまず作られることもなくなったのだろう。
??「次に説明するとしたら…あいつらのことかな…あいつらは人間を見つけたら近づいてきて人間を鉄に変えてしまう
音や視覚で判別しているみたいで私と一緒にいたやつらもあいつらに鉄に変えられてしまったんだ…
そしてあいつらにどんな目的があるのかも不明なんだ」
不明な点が多すぎる…なぜ鉄に変えられるのかもわからないしどれだけいてどんなところにいるのかもわからないからな…。
だが情報が少ないが彼女も必死に生きてきてのことだろうから何も言えなかった。
逆にそんな状態でよく生きてこられたなと感心するまでであった。
??「とりあえず私が話せることはこの程度か…君を元の世界に返す方法なんてわかるわけもないからな」
智樹「ありがとう…君もつらかったんだな…」
??「あぁありがとう…食料や水というものはかろうじて確保はできているが
あくまでもかろうじてだ…食料に関しては野菜系の栽培を行っている」
一応食料や水が確保出来ていることに安堵はしたが先のことを考えると少し心もとない。
??「とりあえずここは一時拠点だからな…もう少し行ったコミュニティでならもっと落ち着けるだろう
まずはそこを目指そうか」
智樹「そうだな…あーそれとなぜ君はなぜあの家から出てきたんだ?」
と問いかけると、彼女は静かに答えた。
??「あそこが私の家だったからだ…」
確かに自分の家の位置というのは間違いはなかったがあそこが彼女の家?
まぁ世界が違うからそういうこともあるのかと思ったが…
??「私の名前はゆずはっていうんだ…自分の記憶からは欠落しているが大切な人がつけてくれた名前だ」
その言葉を聞いた瞬間耳を疑ったが…そういうこともあるのか…偶然も重なるものだなと片付けたが一応聞いてみた。
智樹「今なんて言った?」
ゆずは「私の名前はゆずはだ」
智樹「そうか…」
そもそも世界が違うんだ…それを疑ってもしょうがないと思い、それ以上は追及しなかった。
智樹「俺にも妹がいてな…名前が君と同じでゆずはっていうんだ…足が悪いが元気でかわいい自慢の妹だった。」
彼女は特段驚くこともなく、それを聞き流していた。
智樹「そうだな…君が名乗ってくれたんだ自分も名乗ろう…
俺は智樹というんだよろしくな」
そういって手を差し伸べて握手をした。
ゆずは「あぁよろしくな」
智樹「そういえばあいつらと戦える武器はないのか?
逃げるしかないっていうのはかなりつらいとは思うんだが」
ゆずは「対抗手段としては何個かある
とりあえずこいつをやるよ」
と小型の拳銃を渡された。
ゆずは「こいつは熱レーザーを発射する特殊な武装だ、これも物心ついた時から持っていたから詳しいことはわからないからあまり説明はできないがこれで戦うことができる。」
智樹「なんだかすごいものだと思って把握しておくよ」
ゆずは「ほかにはこれは憶測なんだが水にもぐったりしたら追ってこなくなる…なぜだかは知らないがな」
智樹「ほう…水に潜るか…わかったありがとう」
一応身を守る方法があることに安心はしたがやはりそれでもつらいものがある。
生きる上で必要なものをそろえたりするのに外に出ないといけないし囲まれたらかなりやばそうだ…。
ゆずは「とりあえずこれで自分の身は守れるな?
よし守ってくれよ?
自分のことで割と手がいっぱいだからな」
智樹「わかっているよ何とかするさ」
不安が残るが確かに人にはこの状況下では頼れないな。
ゆずは「じゃあ少ししたらコミュニティに向かうとしようか」
彼女は出発の準備を始めたので自分も心の準備をし出発を待った。
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