第9話 会敵③
ブラウスの袖口を見ると、血で赤黒く変色していた。どうやら倒れている人を介抱したときに付いたもののようだ。家に帰ったら、すぐにシミ抜きしよう。そうすればきっと落ちるだろう……そうすればきっと、落ちるだろう……そうすれば……
美守理はいつの間にか車に乗って現れた集団に、事後処理の指示をしている。さっきスマホで連絡していたのはこの人達なのだろう。
「だいぶ疲れたみたいね」
怪我人達の収容が終わったのか、美守理がこちらに歩いて来た。
「疲れたね……今日は情報量が多すぎたよ」
私が無理に笑顔を浮かべると、美守理は
「それにしても、美守理がロックが好きなんて意外だな」
「何の話?」
「何って、さっきロックンロールって叫んだの美守理でしょ」
「それは……力を使うのに気持ちを高ぶらせる必要があるから叫んだだけよ。私は野蛮なのが嫌いなの」
「野蛮なのが嫌いなわりに、ずいぶんお強いことで」
「
「あんなに強いのに?」
「さっきのやつらはただのザコよ。逆に絶対に敵対してはいけないのが
「
「さっきのやつらのリーダー、鬼頭隼人が
「それじゃあ私は?」
「
「強力……重要……美守理、私は……」
「ねえ瑠那。私はあなたに会って、月の神が何であなたを
美守理が諭すように優しく言った。
「月の神はね、地球と地球に住む生命に対して
美守理の言葉が温かく私の中に浸透していく。
「その相反する気持ちを解消する為に、月の神は
美守理が隣に座り、私の肩を抱いた。
「私は
その言葉をきっかけに、せきを切ったように涙が溢れだしてきて、
美守理から私が
私に、本当に戦争が止められるんだろうか……
それでも、私がやるしかないのだ。戦争になれば、今日以上に血にまみれた凄惨なことが起きてしまう。
私は赤ん坊のように泣き続けた。この涙が流れきったら、もっと強く生まれ変われますようにと、祈りながら……
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