第8話 会敵②
しばらくすると、辺りは再び
「行ってみましょう」
様子を
───公園の入り口付近まで来ると、
闇に目を凝らして見ると、十を超える人影が地面に倒れているのが見えた。呻き声はその人達があげているらしい。そして、それを見下ろすように、筋肉質で屈強そうな三人の男達が立っている。
突然立っていた人物の一人が、倒れている人の腹部を蹴り上げた。鈍い衝撃音がして、蹴られた人物が地面の上を二、三メートル転がっていく。
筋肉質の男が倒れている人を、
このままじゃ死───
「何をしているのかしら」
不意に美守理が姿を現し、三つの影が弾かれたように距離をとった。
「……
顔見知りなのだろうか、美守理の姿を見て三人が警戒を解く。
「ってことは、そっちが
一人が物陰に隠れている私に向けて
「瑠那、倒れている人を介抱してあげて。大丈夫、こいつらに手出しはさせないから」
美守理が月を見上げながら、私を落ち着かせる様に言った。
その言葉を聞いた瞬間、
……思った以上に怪我がひどい。口から血の混じった泡を吐き、
「いったいどういうつもりなの、
美守理の問いかけに、男が
「あんたこそどういうつもりだ。どうせ極月を迎えればこいつらのほとんどは死ぬんだぜ」
他の二人も馬鹿にしたように追従笑いをする。
「どういう結末を迎えるかは、
美守理が隼人という人物の名前を出すと、三人は明らかな
「こいつ、隼人さんにチクるつもりか!」
「かまうこたあない、俺達でやっちまおうぜ」
「そうだな、その後で
男達が物騒な会話を繰り広げているなか、美守理は月から視線を男達に移した。気のせいか
「極月が近づいて、小物の気も大きくなっているようね。一つ、いいことを教えてあげるわ。あなた達が抱えているのは正義でもなんでもなく、ただの
三人が美守理から一定の距離をとり、周りを囲んだ。どうやらタイミングを合わせて一斉に飛び掛かるつもりらしい。
美守理が中腰に構えて、深呼吸をする。そしてあろうことか、なんと目を閉じてしまった。それを好機と悟ったのか、三人が恐ろしい速さで美守理へと飛び───
「ロックンロール!」
───反射的に閉じてしまった瞳を開くと、三人の男達は白目を剥いて地面に横たわっていた。そして、その中心に美守理は神秘的なまでに美しく君臨していた……
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