主人公の薫は高校生。
彼女には、神様と崇めている人がいる――
人間が二人いればそこには様々な関係性があって、愛があったり憎しみがあったりします。
そして、片方が相手のことを崇拝しているなんて関係もないわけではありません。
それでもこの小説が魅力的なのは、「相手のなにに神様らしさを感じているのか?」という点が非常に独特だからなんです。
本作で語られる二人の関係は独特でありながらも現実味があります。
「ああ、こういう関係性もあるのだろうな」という手触りがあるんですね。
そんな関係性を見つけて物語にしたのがとても凄いと感じました。
また、薫の言動によって彼女の信仰のあり方が描かれていくところもこの作品の魅力です。
相手のことを神様と思って、それで彼女はなにをするのか?
そういった主人公の行動や言葉もまた物語を生きたものにしているのだと思いました。