光に包まれて

 ー誰も信用するんじゃないよ。ー

そう誰かの囁く声が聞こえた。


 目が覚めると私は保健室にいた。またあの夢だ。あれは私の呪いなのだ。人を信用してはいけない。胸を押さえ深呼吸をする。


 バサッ。カーテンレールが開かれる。

「ロサさん!目が覚めたんだね。急に倒れるから心配したんだよ。」さっきの少年が目の前に現れた。とても心配そうに私を見つめる。布団をめくり、身体を起こす。少年は私の背中を支えようと手を伸ばすが払い退けた。上履きを履いて歩き出そうと、右足を踏み出したところで身体がぐらついた。やばい。倒れる。そう思った瞬間、目の前に腕を伸ばされた。それに触れないよう、右足をどんっと地面につく。

「ロサさん。急に動いたら危ないよ。頭を打ったかもしれないんだから、安静にして。」その声を聞き流し、保健室を後にする。


 どれくらい寝てたんだろう。教室には誰もいなかった。さっきまでは生徒がいたのだろう。扉を開けるともぁっとした熱気が身体を包み込んだ。窓から野球部の掛け声が聞こえる。カバンを取ろうと自分の席に向かう。椅子を引き出し、机から教科書を取り出す。

ピカッ。

窓から大きな光がロサを包み込んだ。


「ロサさん、一人で戻ろうとしたけど大丈夫かな。急に倒れたし、絶対危ないよな。やっぱり側についていよう。」少年は走ってロサの後を追う。教室の扉を開けるとちょうどロサが帰りの用意をしていた。瞬間、ピカッと音が鳴り、光がロサを包み込んだ。少年は咄嗟にロサの方に右腕を伸ばす。二人は光に包まれる。


 気づいたとき、私たちは森の中にいた。

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