はじまり
窓から差し込む朝日が鏡に反射する。
窓の外は緑が溢れ、白い大きな雲が青空に並ぶ。白に近いブロンドの髪を持ち上げ赤いリボンを巻く。頭のてっぺんで蝶々結びをし、髪を流す。カバンを片手に部屋を出て、階段を下る。
「いってらっしゃい。気をつけてね。」キッチンから声が聞こえた。
駅まで走って10分、改札を抜け、ドアが閉まる直前で乗り込んだ。電車の中は私の身体の熱を取るほどではなかった。微かな風にあたる。額の汗が引く頃にはスマホを取り出しイヤホンを付けた。身体はこの波に揺られていく。
「次は宮の森〜、宮の森〜。」電車を降りて改札を抜ける。同じ制服が同じ道を進んでいく。イヤホンの音量を上げる。靴を履き替えていると、どんっ。
肩に誰かがぶっかった。見上げるほどのその影は長い髪を揺らした。風とともに甘い香りが鼻をかすめていく。それはなんの反応もなく過ぎ去った。
教室に入り、淡々と席につく。周りには生徒がそれぞれ和になり机を囲む。石鹸の匂いに汗の匂い、柑橘系の匂いが交わる。その匂い、騒音、全てを遮るように窓際の一番後ろで顔を伏せる。誰とも会話することなく、時は流れる。気づけばもうお昼の時間になっていた。
お弁当を片手に屋上に向かう。フェンスの近くでお弁当を広げる。
「相変わらず一人でいるんだね。」少年がコンビニの袋を持ってやってきた。
私より少し背の高い少年。彼の目線の高さに私の頭がくる。目鼻立ちは整っているが、その瞳は子犬のようで高校生というには幾分若く見える。少し明るい髪色が太陽の光を反射させる。
「ロサさん。今日も暑いね。あ、お弁当美味しそう。一口ちょうだい。」男子の割には少し高い声が耳に届く。それに応えることなく箸をすすめる。
「どうして無視するのさ。せっかく僕が話しかけているのに。」
「うるさいな。私に構わないでっていつも言ってるでしょ。私は一人でいたいの。」
「もう少し僕を信用してくれてもよくない。」少年が口を尖らす。その言葉を聞いた途端、ロサは急いで弁当をしまい、その場を飛び出した。勢いよくドアを開ける。バンッとドア閉まる音が屋上に響く。それと同時に激痛が頭を襲い、その場にしゃがみ込む。
「どうして、、、。私があの時しっかりしていれば、、あいつを信用しなければ、、あなたはこんな風にならなかったのに。」辺りを見渡そうとしたが、手に違和感を覚える。目の前には赤い海が広がる。両手には生暖かい液体がべっとりとまとわりつく。
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