アパート
@Qualia774
第1話
その日いつもの安居酒屋でいつもの生ビールを流し込み7杯ほど飲んだところから記憶が無い、店主に閉店時間だからと外に出された事とちょうどそのタイミングで声をかけられたことだけは覚えている
目が覚めると見覚えのない天井に見覚えのない部屋、いや俺はここに来たことがある気がする、ふと隣に目をやると女性がうつ伏せでスマホをいじっているその横顔には見覚えがあった元カノだ即座に布団から飛び起きその場に正座し彼女に話しかけようとすると彼女が口を開いた
「あ、起きたんだおはよ、よく眠れた?昨日はめちゃめちゃ酔ってて連れて帰って来るの大変だったんですけど?まぁその顔を見るに覚えてないんだろうけど」
言葉に詰まる、口元が震える言葉を紡ごうとするも口からは空気の掠れる音しか出てこない
「来てた服は洗濯して隣の部屋に干してあるから帰る時に持って帰ってね、ってやばもうこんな時間、ごめんね私今日出勤だからさ着替えるから隣の部屋に行ってて」
言われるがままに隣の部屋に移る、さっきまで居た寝室からは彼女の着替える音と独り言だけが聞こえる部屋を見渡すと最後に来た時とあまり変わってないように感じた1点除いて
写真立てが変わっていたそこに彼女と写っている男は当然俺ではない、当たり前だそうしていると隣から彼女が出てくる、スーツを着て化粧も済ませたようだ髪を結び出勤する時の格好なのだろう
「はいこれ、部屋の鍵ね帰る時にポストに入れて置いて、じゃ私出るから」
そう言って彼女は慌ただしく部屋を後にした
いつも通りなのだろう部屋は散らかっていた
付き合っていた頃は彼女の部屋は綺麗だったが変わったのだろうか、1時間ほど服が乾ききるのを待って彼女の部屋を後にする、もう来ることはたぶんないだろう、鍵をポストに入れる、アパートをでると外は少し暑く感じた梅雨も開け夏が来るのを感じる。
アパート @Qualia774
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます