第4話 事故紹介、そして、異世界へ。

俺は、どう反応していいかわからず困惑していると、


「さあ、次は貴方の番ですよ?」とイノが言った。


何?俺も今のような感じで事故紹介をしろと?


と、悩んでいるとイノが口を開いた。


「どうしたんですか?」


「え、いや、俺もそのなんかイノさんがやってたみたいに変なポーズをして名前を名乗らなくちゃ駄目なんですか?」


「え?変?」


「はい」


「え?こうやって名乗るんじゃないんですか?」


「いや、普通はそんな変な痛いポーズをとったりしない」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


しばし、二人の間に沈黙が流れた。


「ええええええええ!?嘘ですよね!?だって、こういう風に名乗るんだよ?・・・って!アズさんが言ってましたし!私にそう教えてくれましたよ!?」


いや、誰よ。アズさんって俺知らんし。


「それに、今まで異世界に召喚した方達も普通に私と同じように名乗ってましたよ!?」


「まあ、なんか最初は、下を向いたまま体を震わせていたけど!きっと私の女神としてのオーラに当てられて直視出来なかったりあまりの感動で体が震えていたんだど思いますけど!最後は、バッバッバッっという感じで皆さん、ちゃんと名乗っていましたよ?」とまた、変なポーズをとりながら言った。


うん、多分。それは、下を向いて笑いを堪えていたんだと思う。


誰も指摘しなかったんだろうなぁ・・・可哀そうに。そして、おそらくイノは騙されやすいと分析する俺。


俺は、おもむろにイノの肩に手をポンと置いた。


「え?なんですか?」


「いや、何でもない。これからも頑張ってください。イノさん。」


「え?は、はぁ・・」と困惑するイノ。


そして、俺も今までの奴ら同様に変なポーズを・・・とらず普通に自己紹介をした。


「俺の名前は、白咲文也。よろしく」


「私と同じようにポーズを・・」


「いや、良い。」と断る俺。


イノは少しふくれっ面になりながらカッコいいのになぁーと呟いていたが、俺は気にしない。

  

「白咲・・文也さん。文也さんよろしく」


おおっ・・!い、いきなり下の名前で呼んでくるとはッ・・!


「どうかしましたか?」


「ああ、何でもない。気にするな。」とぶっきらぼうに言いながらイノから目を反らす。


「文也さん、ちょっと良いですか?」


「え?うおっ!?」と、イノの方を振り返るとイノが俺の額に一指し指を軽く当てた。


「え!?何?・・・何?なんで、触ったの?好きなの?」と突然の事で動揺してしまった。


「え?何を言っているんですか?」ちょっと変な目で睨まれてしまった。


「いえ、少し異世界に行く前の準備ですかねぇ?」とイノはそうニッコリ笑った。


「は、はぁ?」準備?今のが?


「それでは、まず文也さんの現状を簡単に説明しますね?」


「私の勘違いで、元の世界に戻れなくなったので文也さんは、異世界に行くしかなくなりました。それでは、異世界に行きますか!」と、先ほどとは打って変わってニッコリ堂々と言い放った。


「なんか、開き直ってない?」


「起こってしまったことは仕方がないじゃないですか?文也さん。ね?」とニッコリとイノが笑った。


なんかムカつく頭叩いてやろうか?


「そういえば、イノさん」


「イノで良いですよ?」


「え?良いんですか?呼び捨てで?」


「良いですよ。別に。」てっきり呼び捨てなんかしたら、さんをつけなさい!失礼ですよ!とか言われると思った。


「それで?さっき何を言いかけたんですか?」


「ああ、ちなみに・・イノ。異世界に行かずにずっとここに居ることは出来ないのか?」


イノは、少し考えこみ。


「え?何?それは、もしかして私とずっと居たいってこと?」


「なんで、そうなる!?違うわ!!」


「もうー、そんなに拒否らなくても良いじゃないですかー傷ついちゃうなー」と、ふくれっ面になった。


めんどくさいな。コイツ。


「で?どうなんだ?」


「結果から言うと無理に近い、ここはある程度なら居てもなんの問題もないがずっと居るとなると体が徐々に分解されこの空間に取り込まれていくことになります。」



「うおおおおおいいいいいいい!!そういう大事な事はもっと早く言え!ねえ?俺、大丈夫!?」と血相を変えてイノに話しかけた。


そんな俺を見てイノはクスクス笑っていた。


「そんなに焦らなくても文也は、さっき来たばかりだから全然大丈夫ですよ?」とまた、クスクス笑った。


と、なるとやっぱり異世界に行くしかないわけか・・。


「なあ、イノ。」


「はい?」


「俺以外にも異世界に召喚してるって言ってたよな?なんで異世界にそんなに召喚してるんだ?」とイノに質問する。


それはですねぇとイノが口を開いた。


「簡単ですよ、私たちの世界が崩壊に向かっているので別世界から異世界適性のある方を選び私達の世界を崩壊から救ってもらうためにたくさんの方々を異世界召喚しているんですよ?」ああ、勿論同意の上ですよ?とイノは、付け足した。


「私達の世界に別の世界の方々が召喚などをされるとほとんどの方は、一つから二つほどユニークスキルを授かることができるんです。」


「世界を崩壊から救う?・・そんなの俺に出来るのか?」ちょっと不安だ。


「はい。文也さんのところにこの異空間が繋がったということは適性があるってことです。それで、一人でも二人でも世界を救う力、強力なスキル、ステータス・・を授かって世界を崩壊に向かわせている元凶を倒してもらおうと思い私達、女神は異世界適性のある方達を私達の世界に召喚し世界を救って貰おうと思いまして。それに、たくさんの方々に来てもらった方が世界を救う確率が上がるでしょ?」とイノは、ニッコリ笑ってそう答えた。


「まあ、そうかもしれないが・・・俺は自分で言うのもなんだが、めっちゃ弱いぞ?」


「大丈夫ですよ、別に戦はなくても良いです。ですけどもし戦闘向きの強力なスキルだった場合は・・・」


「場合は?」


「頑張って世界救って下さいね!」



絶対っっっ嫌だ。


「ああ・・もし、そうだったらな」


「それでは、異世界に召喚しますね?」と、イノが言うと俺の足元が光り出しよく見る魔方陣が展開された。


それを見て慌てる俺。


「え?ちょっと待って!まだ、心の準備とか!色々異世界について聞きたいことがッ!」


「そこは、ご心配なく先ほど文也さんには異世界に召喚されたら異世界の情報がすぐわかるように魔法をかけましたから」とフフン、凄いでしょ?と胸を張った。


「そんなのいつかけたん・・あの時か!!」


「そう、文也さんおでこをチョンと指で触れた時ですよ。」


「それでは、行ってらっしゃい!白咲文也さん」と、手を振るイノ。


「いや、だからまだ心の準備・・・」と俺が言葉良い終わらない間に俺の視界は真っ白い光に包まれた。



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