第3話 女性の名は。

 「ごめんなさい。今すぐ貴方を元の世界に戻すことは出来ません。」

と、青ざめる女性。


「ええええええええええええ!!!!!」と、


  異空間全体に木霊するぐらいの声量で叫ぶ俺。


「ふぅ・・で、なんで俺は元の世界に戻れなくなったんだ?」


とりあえず落ち着きを取り戻した俺は、目の前の女性に質問してみた。


最初に会った時のような勢いはなく、申し訳なさそうに自分の指を弄りながら、


「えっと、ですね・・・?何と言いますかー・・、そのー・・。」


「大丈夫、落ち着いて話してください。怒りませんから。」と笑いかけながら女性にそう語り掛けた。


「本当に?」


「本当に」


「・・マジですか?」


「マジ」


と、そんなやり取りをしていると。


女性は、また意を決した表情をしながら、「実は、ですね?てっきり貴方も前の方と同じように。異世界?フン、そんなの考えるまでもない!行くに決まってるんだろうッ!って、感じで二つ返事だと思って・・・貴方の返答を最後まで聞かないで元の世界の入り口閉じちゃいました!ごめんなさい、テヘぺいたたたたた!!!!」


少し、イラっときた俺は目の前の女性のほっぺたを抓った。


そして、どうでもいいが凄く柔らかかった。


「いひゃひゃひゃ!!!いひゃい!!」と、騒いでいる女性。


「お前ッ!ちゃんと話を最後まで聞いてから行動しろッ!!コノヤロー!!」とほっぺを抓りながら叫ぶ。


「いひゃ!だひゃら、いひゃいって言っていひぇってるでひょうが!!!」


んー?なんだ?なんて言ってるんだ?と、首を傾げていると俺の顎に女性のアッパーが炸裂した。


「あぐぅえぇえぇぇ!!!」と口から奇妙な声を上げながら俺の体は宙を舞った。


そして、放物線を描きなが俺の体は床に落下した。


「いや、嘘つきですね!?貴方!?信じられません!怒らないと言っておきながら怒りましたし!それに加え私の、そう!女神である!私のほっぺを抓るなんて!失礼ですよ!」と、両手でほっぺを摩る女性が俺に抗議をしていた。


ん?今なんて言った?女神って言ったのか?


俺は、痛む顎を摩りながらふらふらと立ち上がりながら、


「う?え?ちょっと、すみません。今、聞き間違いじゃなければ女神って言いまし・・・た?」


「あ、私としたことが・・・自己紹介がまだでしたね。」とこれは、失礼しました。


コホンと、軽く咳ばらいをした女神様は、先ほどとは全く違う雰囲気を纏っていた。


ゴクリッと俺の喉がなり、俺の額から一筋の汗が流れた。


コイツ、本物だ、と俺の直感はそう告げていた。


まあ、一度も女神に会ったことなんてないですけどね?


女神様は、椅子からスッと立ち上がり・・・、


「我が名は、イノ。女神イノ。選ばれし、素質ある者を異世界に召喚する者。」


と、なんかよくわからんポーズをとりながら、白い髪と意外とある胸を揺らしながらそう自分の名前を名乗っていた。


そして、俺の口はポカンと開いていた。




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