第2話 返答。そして、青ざめる。

 「おめでとうございます!貴方は、異世界に行ける権利が当たりました。どうしますか?」と俺の目の前の女性は、やっと言えたと言うような満足げな表情を浮かべながら俺にそう聞いていた。


何をいきなり現れて突拍子のないことを言っているんだ、この女性は。

まあ、良いどうせ俺が言うことは一つだ。

「いや、どうしますかって・・そりゃ返答は決まっている。」といつの間にか現れた椅子に座りながら俺は、テーブルを挟みながら女性と異世界に行くか、行かないかの話し合いをしていた。

「そうですよね。すみません。前の方と同じですよね?考えるまでもないですよね?」と、うんうんと女性は、指をパチンと鳴らし俺の顔を見ながらそう答えた。


前の人?ということは俺以外にもこうやって異世界に行く権利?みたいなのが当たったヤツがいるのか。

てか、よく見ると可愛いなぁ・・・とか、そんなことを考えていると。


 女性は、どこから出したのかコポポポッとポットの中からなにかの液体を二つのカップに注ぎ。

そのうちの一つをどうぞ?紅茶ですと言いながら。と俺の目の前にコトッと置いた。

俺は、軽く会釈し「ああ、俺の返答は」と目の前の女性に向かって俺の返答を言った。


「いいえ、結構です」と言った瞬間。


ブッ―――!!と女性が、丁度口に含んでいた紅茶を盛大に吹き出した結果。

目の前に居た俺の顔には、熱い紅茶がぶちまけられた。

そして、物凄い衝撃で俺の体は、後方に吹き飛ばされた。紅茶で。

ゲホッゲホッと紅茶で咳き込む女性と紅茶で後方に飛ばされた俺。

「え?す、すみません。大丈夫ですか?それで、い、い、い、今、なんて?聞き間違いですよね?もう一度言ってもらっても?」と取り乱す女性。


あはは・・・なんとか大丈夫ですと俺は、のそりと起き上がり元の場所まで戻った。そして、先ほどの返答をもう一度言った。

「いえ、だから結構です。異世界に召喚されても頭もさほど良くないし運動もあまり出来ないし多分すぐ魔物とかに殺される自身があります。それに、異世界に行っても特段やりたいことないんで。そんな奴よりもっと、マジで!?異世界?チートスキル、チートォ!!!キタコレ!ドワーフ!獣人!!竜人!!!エルフ!!!に会えるぅーッ!!俺が世界を救ってやりますよ!デュフフフみたいなヤツを見つけて召喚した方が良いですって。そういうわけで!異世界には、行かないです。ご期待に沿えずすみません。」と女性に向かい頭を下げた。それで、えっと・・・元の世界にはどうやったら帰れますか?」と申し訳なさそうに女性の顔を見るとなんだか様子がおかしい。


青ざめていた。


え、何?どうしたの?なんでそんな青ざめてるの?

あの、と声をかけるが無反応。あれ?なんか様子がおかしいぞ?

目線を合わそうとすると目線を外される。と言うかよく見ると目からざぶざぶと音が聞こえてきそうなくらい目が泳いでるし、汗が尋常じゃないほどダラダラ流れていた。

え、マジなんなの?大丈夫?この人、俺すごく心配、と思っていると。

 

女性は、軽く深呼吸を繰り返し。今もダラダラ流れ落ちる汗をハンカチで拭き、なにか意を決したような表情でこっちを見てきた。


そして、女性は静かに口を開き。


「ごめんなさい。今すぐ貴方を元の世界に戻すことは出来ません。」と青ざめながら言われた。


そして、その言葉を聞いて先ほどの女性のように青ざめる俺。


「ええええええええええええ!!!!!」と、俺の叫びが異空間に木霊した。

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