元の世界に戻れなくなったので、仕方なく異世界に召喚されます。
窓カラス
第1話 部屋のドアを開けるとそこには
暗闇の中、パソコンの画面には今人気のオンラインゲームが映し出されていた。
カチカチッとマウスを数回クリックしながら俺は、ふぅー・・・と、口から息を吐き出し、耳につけていたイヤホンを外し「よし、これぐらい稼いでおけば上位報酬は固いだろう。・・・固いよな?」と独り言を呟き少し汗ばんでいたマウスから手を放し椅子にもたれ掛かると急激に眠気が襲ってきた。そして、俺は夢の世界へとゆっくり落ちていった。
んあ?・・・どうやら寝てしまっていたようだ。ふぁぁー・・と大きな欠伸をしながら目を擦りそういえば今何時だ?と思い、パソコンの横に置いてあるスマホを手に取った。
スマホの画面に映し出されている時刻を確認してみるともう時刻は昼になろうとしていた。
そして、画面には数件SNSから通知が来ていた。
それを見ることなくスマホから手を放し椅子から立ち上がった俺は、んんっー・・と軽く伸びをし今まで締め切っていたカーテンを思いっきり開けた。
シャーっというちょっと心地よい音とともに朝日が今まで暗かった部屋に差し込み部屋が一気に暗闇から明るい空間に生まれ変わった。
俺は、目を細めながらカーテンを開けたついでに窓を全開にした。
開けた窓からは、夏特有の生暖かい熱気が俺の頬を撫で耳には、どこからか聞こえてくる蝉の声が響いていた。
ああ、うん・・夏だなぁー・・はぁー暑い、と思い窓を勢いよくガラッと閉めた。
そして、机の上の黒と緑の色のエナジードリンクを飲もう掴むとどうやら空のようだったので俺は、チッと舌打ちをし服を外出用の服に着替え自分の部屋から一歩足を踏み出した俺は、体中に変な感覚が走った。そして、目の前に広がる光景に思わずうおっ!?と驚きの言葉を上げた。
ドアを開けた先には、なんということだろう信じられるか?異空間が広がっていたのであった。
そして、その空間の丁度真ん中辺りに白い髪をした二十代くらいの女性が椅子に座りこちらをジッと見つめていた。
その女性は、俺から目を反らすことなく俺に向かってニッコリとした笑顔で口を開き「おめでとうございます。貴方は・・あ!ちょっとッ!!まっ」
と女性が何か言葉を口にしていたが俺はその言葉終わる前に扉をバタンと勢いよく閉めた。
・・・・・・。
そして、ミーンミーンと外の蝉の声が俺の部屋を満たしていった。
なんだ、今のは?誰だ?いつもなら家の廊下が目の前に現れるハズなのに見知らぬ白い髪の女性が居た。
フッ、おいおい。冷静になれよ、冷静に、クールになれ、俺。最近、ほんのちょっぴり寝不足気味だったし、きっとそのせいだ。そうに違いない。うん。と、俺は自分の中で冷静に分析をし再びドアを開けた。
そして・・・そこには、やっぱりいつもの自分の家の廊下が広がって・・・
は、いなかった。
その代わりにドアを開けた先に広がっていたのは、先ほどの異空間。
それと、ジッとこちらを見つめている女性の姿があった。
だが、よく見ると先ほどと違ってその女性の顔からは笑顔が消えていてをほんの少しムスッとしていた・・・ような気がした。
女性は、待ってましたと言わんばかりに「あ、戻ってきましたね?ちょっと良いですか?人が喋っているのにいきなりその場から居なくなるのは、失礼じゃありませんか?いや、失礼ですよね?ね?」と女性は眉を少し吊り上げながら俺の方を指さしブンブンと腕を振りながらプンプンと口でそう抗議の声を上げていた。
俺は、「あー・・・すみませんー・・・次からは気を付けますー・・・。あはは・・・失礼しますぅー・・・」と会釈をしゆっくりとドアを再び閉めようとしたのだがその行動は、突如俺の目の前に現れた女性によって阻止されていた。
・・・えっ?コイツ、いつのまに俺の目の前にと驚愕する俺。
笑顔でドアをガシッと押さえながらまた、逃げるんですか?とニッコリと笑う女性。
こうして、俺と女性との戦いが始まった。
「えっ、あの・・!放してもらえませんかね!?ドアが閉められませんッ!!」と今度は、俺が女性に向かって抗議の声を上げた。
「いいえ、放しませんッ!私の話を聞いてくれませんか?と言うか聞きなさい!?」と女性はもの凄い力で俺が閉めようとするドアを開けようとしてくる。
「うおぅ!?ち、ちょっと、何ですか!?やめて、放してッ!?てか、放せぇッ!!それと、そんなに乱暴にしたら俺の部屋のドアが壊れるでしょうがッ!!」
「アハハッ、壊されたくなかったら私の話を聞きなさい!?ドアがどうなっても知らないわよ!?」と女性が若干脅迫めいた事を笑いながら俺に向かって言い放ってきた。
そして、そんな放せ、放さないと言うような俺と女性の争いはおそらく数十分ぐらい続いた。
もう、いい加減諦めろよッ!と俺が、そう思った時・・ミシッと言う音がどこからか俺の耳に届いた。ん?と俺は、音のする方に視線を向けてみると、なんとうことでしょう!俺の部屋のドアに亀裂が入っていたのであった。おいおい、マジか?まさか、本当に壊す気か!?コイツ・・女性のくせになんて握力してやがるんだよッ!?と言うかあんな細腕なのにどんだけ力があるんだよッ!あれか、ゴリラか何かか?
「ムムッ、ちょっと貴方、何か今失礼なこと思いませんでしたか??」
と俺の顔をキッと睨み付けてきた。
「いいえ、何も思っていません!!!」と俺は、物凄い速さでそう答えたのであった。
そして俺は、このままでは埒が明かないと思ったので俺の方が折れることにした。
というかこのまま続けてたら俺自身が、折られそうな気がしたので仕方なく女性の話を渋々聞くことにし、女性の居る異空間にめっちゃ嫌な顔をしながら足を一歩そっと踏み入れた。
女性は、その様子を見ると満足げな表情になりながらうんうん最初からそう素直にすれば良いんですと、笑顔になりながら呟き小走りで先ほどまで座っていた椅子に腰を再び下ろしコホンと軽く咳払いをし俺に向かって先ほどのセリフの続きを言い放った。
「おめでとうございます!貴方は、異世界に行ける権利が当たりました。どうしますか?」と女性は、やっと言えたと言うような満足げな表情を浮かべながら俺にそう聞いてきた。
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