悲しいながらに美しい情景描写が、ストレートに入ってくる気持ちの良い小説だった。 言葉の一つ一つが独創的で、普通なら用いない独特な言葉の組み合わせが、作品全体の切なさを引き立たせている。 それはまるで、現在進行形で恋愛をしているにも関わらず、それと同時に失恋しているような不思議な感覚。何をしていても自分がその人の初めてでないことが、心のどこかに引っかかる。気にしなくて良いはずの憂いが、心を支配していきやがて雨が降る。 美しい情景描写と、複雑な心情描写は必見。 執筆お疲れ様でした。