地震で死んでしまった『新藤祐樹』は神より50年後に滅びる世界を救うように告げられる。そして渡されたのは10枚綴りのクーポン券。
その名も
『転生クーポン券』
世界が滅びる50年間を10回別の人生を繰り返し歩み、滅び回避の道を見つけていく。
そこに圧倒的な力や知識などはなく自分の人生は自身の力で切り開きつつ、前世の自分にアドバイスを行って助けることだけが出来る。
転生を繰り返すほど知識は積もるが、死に戻りのようにやり直すことではないので、1つの出会い、出来事を逃さず回収していく必要があるのです。
それにお互いの人生に干渉するようなアドバイスは出来ないので、本当に少ないチャンスを逃さずにものにしていくことが崩壊回避のカギとなっていくのです。
自分自身の力で辻褄を合わせ、導き、チートを生み出していく。
他人を動かすだけでなく、前世の自分も導く必要のあるこの1本1本の糸を繊細に織って1つの道を作り上げていく緻密な物語を是非とも読んで頂きたいです。
神から転生クーポンを貰って世界の滅亡まで50年の時間軸に10回転生する主人公。
最初の転生、コニル君の視点メインでお話が進むのですが、垣間見える別の人間として生まれた主人公達の視点が物語の期待値をぐんぐん上げてくれます。
彼らは同じ魂の自分自身なのですが、育った環境、そして積み重ねた記憶によって別の人格を形成している。そんな彼ら一人一人がとても魅力的なのです。
また同じ時間軸に転生するからこその制限を抱えながらお互いを助けていく様子は、自分を助ける、というよりは親友を助けるといった深い絆を感じさせる所にも感動させられます。
細かい世界設定の中で生き生きと動くキャラクターに癒され、未来を生きた自分から徐々に明かされる謎にワクワクさせられる。卓越した完成度を感じさせられます。
ぜひたくさんの方に読んでいただきたい作品です。