第6話
あれからもうすぐ20年が経とうとしている。お母さんは泣き疲れて、お父さんと別れて遠くへ行った。弟は、飲んでは泣くばかりの弱い弱いお父さんに反発して遠くの学校に入学し(これも、おばさんの力添えのおかげ)、卒業して働きはじめ、今に至るまで、家にはほとんど帰ってこない。
私は家でお父さんと2人暮らし、仕事をするかたわら、今日もネットで妹の行方を捜している。わかるはずがない、と半ば思いながら。
だけど、ある日、奇跡が起きたの!
見るともなくネットを見ていたとき、ある記事が目に留まった。正体不明のアーティスト・
頬の痘痕、治らなかったのね。大人の歯になっても、隙っ歯のままなのね。
DDは正体不明、だから、どうやってポリーと知り合ったのか、今あの子がどうしているか聞くことはできない。だけど、ああして大人になってモデルをしているんだから、あんな笑顔でいるんだから、きっとどこかで幸せに暮らしているはず。それなら、いつかどこかで会える可能性だって、絶対に、ある。
あの絵は私に希望をもたらした。お父さんにも、希望をもたらした。ネットを見せたら、お父さんもすぐにそれがポリーだとわかったようで、しばらく凝視した後で、泣き笑いの顔で、呻くように言った。
ああ、お前、幸せなのか? ああ、ああ…!
いつか会えたら、たくさんお話をしましょう。だいじょうぶ、きっと実現できる、だってほら、私たちは運がいいんだから。それまでに、私たち、ちゃんと準備しなくちゃ、いつまでもこうして泣いてばかりいられないわ―。
そう言った私の言葉に、お父さんは力強く頷いた。そして言った。
「そうだ、そのとおりだ! 見てろよメグ、お父さんは、がんばるから。今度こそ、お前たちを守れるように!」
私も、泣き笑いの顔になって頷いた。だってそれは、久しぶりに見る、頼りになる世界一のお父さんの姿だったから。
そうね、ここから始まる。またいつか、家族が一緒になるために!
FiN
My Dear Sister はがね @ukki_392
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