第25話 罪と罰と正しき裁き②

 天野真実が彼女とその男に会ったのは裁判所だった。


 肉親からの長年にわたる虐待。それなのに一審判決では無罪という最悪の判決が出た。


 理由は様々述べられた。しかし、納得のいくも理由など何一つなかった。


 それから高裁で逆転有罪の判決が下された。それでも10年にも満たない懲役刑だった。


 被害者の長年にわたる苦しみ、そして今後の苦しみを考えればあまりに軽すぎる。


 そんな判決に導いたのは私の一家が率いる弁護士たちだった。


 私はテミスとともに星霊戦争に挑んだ。そこで私は彼女、早乙女愛さおとめあいと遭遇した。


「あんな家に生まれなければ私はこんなに苦しむことなんてなかった。だから、私は私を消したいの!」


 彼女の願いは自分が生まれない世界にすることだった。


 苦しい。辛い。死にたい。


 そんな感情が星霊を交えることで伝わってくる。


 ああ。私の家族のせいだ。


 いや、違う。この国の法が、制度が間違っているんだ。


「貴女は自分が消えたいと願うのなら、どうか私にその命を預けてはくれませんか?私と一緒に罪と罰が正しく裁かれる世界を作りましょう」


 偽善だ。そんな言葉で彼女を惑わし仲間にした。消えたいと願う彼女の想いを利用して私は願う。


 罪と罰が正しく裁かれる世界を。



 男は傍聴席で叫んだ。正しく裁いてくれなかったから罪を繰り返したのだと。


 同族だと天野真実はその男から感じた。


 男は警察官だった。彼、射谷正義いたにまさよしを仲間にするのは簡単だった。


 この戦いでフレンド申請などという馬鹿げた制度を使う者は少ないだろう。願いは多種多様であるが、叶えられる願いは一つだけなのだから。


 三人一組の私たちに敵うはずもないのだ。


 テミス、ユースティティア、ジャスティス。私は負けない。絶対に負けたりなんかしないよ。だから、力を貸して。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

星に願いを 深月 陽真 @hisanalice

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ