第3話 コールセンター

 テレワークが主流となりつつある世の中だが、電話ともなると相手の顔が見えないからか乱暴な口調になったり無茶な要求を突き付けて来る人は結構居る。

 だいたいが文句を言えばスッキリして電話切るタイプなのだが、中には相手がなんらかの保証をしないと電話を切らないというクレーマーも存在する。

 ほら、今日もここに、迷惑な人が居る。


「お宅の商品でこちらは怪我をしているんですよ? 誠意を見せるべきじゃないですか?」

「怪我をされたのならばまずは病院に言って下さい。そして診断書が出ましたらしかるべき対処をさせて頂きますので」

「んまっ! 私が嘘を付いてるとでも言いたいの!? 本当に怪我してるんですからね!! なんならそっちに行ってもいいのよ!!」


 脅迫ともとれる言葉を発する中年女性。

 ちゃんとした手続きをしてくれれば対応すると言っているのに、そんなのはいいから自分の要望を聞けとだけ返している。

 そもそも本当に怪我をしたのならば怪我の詳細ぐらいは伝えればいい物を、怪我をしたとしか言わない。これは一体どういう事なのか聞こうとしたその時!!


ドゴーン!!!


「アイヤー! アツアツフーフーアーンオイシーネーカップルー!!!!


 電話の向こうで破壊音がして、担々麺マンが現れた!!


「キャー! なんなの!? 警察呼ぶわよ!!」


 壁を破壊して現れた担々麺マン対して、悲鳴と共に国家権力を呼ぶぞと脅しをかける中年女性。

 だが、彼は担々麺マン。国家権力にも屈しない熱い男だ!

 

「エーユーソフバンアイフォーンドコモアップルー!! ソイヤ!!!」


ガポッ ビシャァ


「キャー! 熱い痛い熱い痛い~!!」


 担々麺マンが自慢のクレーマー撃退豚骨担々麺を女性の頭からぶっかけたのだ。

 ピーナッツとゴマを擦った所に芝麻醤の効いた豚骨スープが注がれていて、クリーミィかつ濃厚な味を楽しむことが出来る。


「ハァァァァァァァ!!! センロッピャクエンニナリムァスッ!!!」


ビシィィィ!!!


 辛さと旨味が融合したこってりながらもあっさりともしたスープ全身で味わった女性の額に向けて右手の人刺し指と中指で挟んだ領収書を突き付ける担々麺マン。その威力は凍ったあずきバーを破壊できるとも言われていて、人間の頭蓋骨程度ならば簡単に割れるだろう。


「あぁん…」


 担々麺マンの領収書拳を喰らい、額から血を流しつつ無意識に財布から千六百円を取り出してしまう女性。

 これが担々麺マンの力だ。


「マタオコシクダサイマセェ!!」


 それだけ言うと、担々麺マンは破壊した壁から飛び出す様に去って行った。

 後に残されたのは担々麺が飛び散った民家と、額から血を流した担々麺塗れの女性と、既に繋がっていない電話だけ。


 また一つ、社会の闇を葬った担々麺マン。

 次は何処に現れるのか。もしかしたら、君の街に現れるかもしれない。


 担々麺マン。ああ、担々麺マン。濃厚とんこつスープの香りがしたら要注意だ!!!

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激烈!担々麺マン!! @dekai3

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