第12話 カッコよく、決めたいっ!
《姫騎士》イデア・ラクシャーツを倒して、不気味な声をあげるオーガ。
それに対して、俺は長刀を抜き、オーガに向かって構える。
【グーヴァヴァ!】
棍棒を床に叩きつけ、足で床をダンダンッと鳴らす。
オーガ独特の鼓舞なのだろうが----
「----うるさいなぁ」
長剣に火をつけて、《火蛇の型》発動の準備を整え----って、熱っ! 熱い! 熱い!
「(この技、これだけが厄介なんだよな)」
アニメとかで主人公がカッコよく使ってたから、使い始めた技なんだけれども、やっぱり熱い!
こんな近くで炎が轟々と燃えているから熱いのは当たり前なんだけれども、これを涼しい顔でカッコよく決めようとすれば、やっぱり防火耐性は必須だな。
----うん、今後の課題にしとこうかな。うん。
「さぁ、カッコよく決めてやるぜ!」
【グガァーオン!】
オーガは棍棒を自分の頭の上まで持っていくと、そのまま振り下ろしてくる。
振り下ろしてくる棍棒を、俺は《盗賊》の危機感知能力を用いて、どこに落ちてくるかを確認。
「(やっぱり《きけんさっち》のスキルは便利だよな。使えばどこが危ないかを判断してくれるだなんて、便利だよな。けっこう、使い所は決めないとならないが)」
効果時間が短い上に、一度使ってしまうと、次に使えるようなるまで時間がかかりすぎるからな~。
それさえなければ、めちゃくちゃ使いやすい技なんだけど。
オーガの攻撃が自分の頭にぶつかる危険を察知して、俺はそのまま踏み込んでいく。
【クピッ?】
自分の攻撃が避けられたのを呆気に取られる間に、俺は火を纏った長剣で斬りかかる。
「《火蛇の型ー火攻め》!」
俺が長剣を振るうと共に、呆気に取られていたオーガの腕を斬り落とす。
【クキャアアア!】
大きな声をあげたオーガであったが、すぐさま新しい腕が生えてくる。
新しく生えてきた腕は身体に比べると、小さく、そしてゴブリンを思わせる緑色をしていた。
「なるほど、生えてくるのはゴブリンの腕……そのままオーガの腕が生えるよりも、確かにこのゴブリンだらけのダンジョンに相応しいな」
時間経過とかで、元のオーガの腕に戻るのであろうが、そうはさせないっ!
そこまで伸ばして溜まるか!
「----《火蛇の型ー火攻め》!」
俺は今度は腕なんかではなく、足を斬り落とす。
飛ばされた赤いオーガの足は飛んだ先で魔石の欠片へと変わると、身体から生えてきたのは身体に合わない短小な足。
【クピャアアア!】
それでは、まともに動けないだろう!
これで----とどめっ!
「《火蛇の型ー焔落とし》っ!」
俺は先ほどまでの炎とは違うほど大きな----熱っ! めちゃくちゃ熱っ!
……ええい、長々とやれるか!
と言う訳で、胸に向かってどーんっ!
【クポォォォォ!】
「……最後は、一気に」
灰となって消えていくボスオーガを見つつ、俺はイデアからの心から尊敬している感ばっちしな拍手を受けるっ!
そうっ! これだ、これなのだ!
日本人はあまりにも褒める事をしなさすぎる!
なにか凄い事をしたら相手を褒める! それが人間が行うべき、本来の行動って奴なのだ!
「さぁ! 分かったか、イデア!
これが、これこそがカッコいいって奴なんだ!」
盗賊ですが、カッコいい英雄になりたいっ! 地球ダンジョン攻略系英雄譚 帝国城摂政 @Teikoku_Jou
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