11.命を守るために

 あてがわれた部屋は、里唯一の建物にある一室だった。

 この里の住民はこの建造物の部屋に住まいを与えられており、どの部屋を誰が使うかもすべて花人が管理しているとのこと。レイが思っている以上に、このスイレンの影響力は大きいのだろうと察せられる。


 二十階建ての建物は中もかなりの広さがあり、四階より上になると個室ばかりが連なる不思議なつくりをしていた。

 もちろん廃墟となっているものを使えるようにしているだけで、すべての部屋が使えるわけではない。しかし建物自体は花人が根を張り巡らせていることもあって崩れる心配はないようだ。


 中は人がそれなりに行き来しており、旅人であるレイとスイを物珍しそうに離れて見ていた。

 この里に来るのは商人ぐらいのものだったのだろうから、接し方がわからないだろう。


「ニンフさん、不思議な方でしたね」

「喰えない性格してるけどな……まぁ、人の上に立つんだったら、あのぐらいでないときついだろう」

「食べるのですか?」

「そっちの食うじゃないぞ」


 荷物をいったんおいて、スイレンの葉を乾燥させて作ったカーテンを開く。一七階に位置するこの部屋は、里の様子がよく見えた。

 紅の夕日が穴全体を照らしている。滝から上がる水飛沫はまるで火柱のよう。

昼の涼やかな雰囲気が、まるで燃え盛る炎に包まれているようにも見えているせいか、暖かく感じる。

 一度スイに視線を戻すと、もうすでに眠たいのか目元がぼんやりしていた。

 いつものように「寝てもいいぞ」と声をかけておいて、また外に視線を向ける。花人は変わらずに池の真ん中にいる。青い花々は、夕日の紅を受けて紫色のように見えた。

 開花ではちらほらと人影がうろうろしていて、何かを池にそっと入れているようだ。遠目からでは何かは分からない。

 眺めていると、ベッドのほうからすぅすぅと穏やかな寝息が聞こえてくる。見ると、ベッドに寄りかかったままスイは寝ていた。

 旅の間はろくに休めなかったのだから当然だろう。これもいつものことなので、抱えてベッドの上に移動させる。無理はするなと言い聞かせたところで、この花は自分の身体を顧みたことはないのだ。

 それは花人の性質なのか、マリーゴールドといいスイートピーといい、どうにも自己犠牲の精神を持つ花人が多いように感じてしまう。


(一度、見に行ってみるか……)


 どうにもあの光景が気になって仕方がない。

 レイは窓から離れて、スイを起こさないようにそっと部屋を出ようとした。

 けれど、ベッドを通り過ぎた時にくいっと袖を引かれて動きを止める。見ると、うっすら目を開いたスイがレイの袖をつかんでいる。


「寝たほうがいい。明日にはすぐに出立するぞ」

「まだへーきです」


 と言いつつあくびをしているのだから、眠くて仕方ないのだろう。けれど言って聞くようなこでもないとレイも理解しているので、これ以上言うようなことはしない。

 のそのそとベッドから起き上がってくる。外套を羽織ってそのまま歩き出せば、スイもレイの袖を掴んだままついてくる。アヒルの子のようで微笑ましくはあるものの、いつパッタリと倒れてしまいそうで不安もあった。かといって抱え上げたりなどすれば「子ども扱いしないでください」と拗ねるので、どうしようもない。

 扉を出ると、暗く細長い通路があり、ずらりと扉が並んでいた。

 里人たちが済んでいる部屋も中にはあるという。といっても、この回想の部屋で埋まっているのは食半分もなく、残りの半分は使えなくなっているかただの空き部屋と化していて人の気配はまばらだ。


「とても静かですね」

「外に出ているのかもな」


 それなりの数の人間が下にいたこともあり、こうも少なく感じるのだろう。

 それでも、建物の大きさに比べると寂しい印象を受けてしまう。

 通路に明かりはなく、床も傷んでいない訳ではないので、明かりはあったほうがいいかもしれない。生きは花守達が持っていた灯で導かれたので、出るときのことを失念していた。一度引き返そうと踵を返すと、すぐ近くでギィ……と扉がきしむ音がした。


 見ると二つ部屋を跨いだところにあると扉が開いた。ぽうっと橙色の光が出て、若い里人の女性がひょっこりと顔を出した。

 女性はレイたちを見て目を瞬かせる。知らない人間が近くにいてびっくりしているのだろう。


「こんばんは。オレたちはさっきこの里に来たものです。明日までこの部屋を借りているんですよ」

「あ、貴方たちが花人様の言っていたお客さま?」


 事情を理解したのだろう。警戒をにじませていた様子から一転、女は目を煌かせる。興味を持ったのだろう。


「はい、ニン……花人様にこのお部屋をお借りしました」

「あらあら、こんなに小さな子が外から? 大変だったでしょう?」


 スイがレイの代わりに応えれば、女は目を瞬かせた。

 どこの里でもスイに対しては同じような認識だ。対してスイは、子供扱いは毎度のこととはいえ少々不満なのだろう。「そうでもありませんよ」と答える声は些か固い。


「ところで、これから外に行かれるのですか?」


 話題を切り替えるために、女性のかっこうを見てレイは問いかけた。


「葬儀よ。みんなで送り出すの」


 一瞬どきりとした。けれど女性はなんてことはないように、世間話をするかのように続ける。


「貴方たちも見に来る? きっと、送られる人も喜ぶわ」


 このご時世、死とは常に隣合わせと言っていい。悲しみや苦しみがない訳ではない。はずなのだが、彼女の言葉には、それがあまり感じられなかった。そのことがひっかかる。

 けれど断る理由なく、レイとスイは顏を見合わせて女性とともに階段を下っていく。

 通路に部屋が並ぶ階層とは違い、一階部分は通路も扉もなく、広々とした空間が広がっていた。

 壁もガラス張りだったのか、今は割れて吹き抜けになっているせいで冷たい風が風鳴りと共に通り過ぎていく。


 空間内には柱と出入り口の真正面に机のようなものがぽつんとあるだけだ。この建物が元々どういうものなのは分からないけれど、なんとなく人が集まっているような場所だったのだろうとレイは考えた。


 そんな空間の中央には、人が数人固まっている。他の人々は会釈をして外に出て行っているのだが、何をしているのだろうか。

 近づいてみると、見覚えのある姿を見つけた。さきほどの粘土の花を作っていた子供だ。

 子供は少し老いを感じる黒服を纏った女性に抱き着いている。四十代程度だろうか。彼女だけが他の里人たちが身に纏っている皮の外套をしていない。

 その横には娘だろう二十代ほどに見える女性と、その旦那であろう若い男性もいる。

 家族なのだろう。親戚らしき人間も、その家族に声をかけては外に出ていく。


「はい、おばあちゃん! みんなで作ったんだ。天国で休んだら、戻って来てね!」


 子供は無邪気に、先程花人に見せていた籠いっぱいの粘土の花を見せている。

 おばあちゃんと呼ばれた四十代の女性は、それを微笑んで受け取っている。まだ若いその人は、血色もよく足取りもしっかりしている、にも関わらず、天国でという言葉をかける意味は一つしかない。


(間引き、か……)


 これはどこの里でも起こりうることだ。

 珍しい事ではなく、旅をする中でそのような話を聞き、あるいは目撃もした。

 大概の場合は暗い雰囲気になるものだが、子供は悲しむ様子もなく無邪気なまま。そして送られるであろう本人も、緊張感や恐怖とは無縁の様子だ。


「レイ、これって……」


 スイが不安げにレイを見上げた。レイも分かっているとだけ答えて、軽く手を引く。


「お別れの時間を邪魔してはだめですよ~」


 レイたちを案内した里人は、のんびりとレイたちをたしなめて外へと促す。やはりそこに悲しみはおろか同情もない。

 家族の横を通り過ぎて外にでると、揃いの外套を纏った里人たちがいる。里の総数にしては少ない気もするが、間引きが当たり前の里ならばこんなものか。

 集まっている里人たちは比較的若い世代が多い。やはり老人と呼べるような年齢の人間が見当たらなかった。


「あの人はどうして葬儀をされるのですか?」


 池の前には人が集まっており、ニンフの姿は見えない。

 しばし観察していると人混みは緩和され、池が見えるようになる。池には小さな蝋燭を乗せた木彫りの船がたくさん浮かんでいて、それらは暗闇に染まるはずだった池の底を幻想的な光で照らしていた。窓から見たものはこれだったらしい。


「もう四十歳をこえたからですよ。老いた体を神にお返しして、また新しい身体で生まれ変わるための儀式です」


 女性はそうレイに教えると、自らも小舟を浮かべに池へと走って行ってしまった。二人はなんの用意もないので見守るほかない。


 池の奥には当然ニンフがいる。ただ、背を向けていてその表情は伺うことはできない。


「あの人、健康そうなんですが……どうして年齢なのでしょう」

「食料が足りないんだろうな。ここは近隣の里とも離れているし、物資の供給も容易じゃないだろう」


 里に老人がいない訳だ。

 周囲の断崖絶壁に、レールがふさがってしまった洞窟。周囲は深い森。

 この里は綺麗ではあるが、暮らすには思った以上に不便なのだろう。


 人口不足が懸念される里だとしても、先立つものがなければ間引きをせざるを得ない。ただ、基本的にそれは特例でなければならない。

 食料不足なら、翌年には改善されてしかるべきだ、けれどこの里では根本的な解決ができないのだろう。だからこそ、死に対して悲壮感というものが感じられない。


 送り出し、また戻ってくるのだというように。

 その先に待つのは、里の衰退であり滅びだと……どの程度の人間が気付いているのだろうか。


 見上げれば、まあるい空が見える。

 空のとろりとした蜂蜜色は、墨を垂らしたようにじんわりと闇が染み込んで混ざり合う。幻想的な紫の色が世界を覆った。

 そしてビロードのように深みを増していく空に、ぽつりぽつりと星が瞬き始める。夜の帳が降りていく。


 池に視線を戻す。すると背を向けていたニンフは、青白い花びらに包まれた本体に身を預けた。

 体を動かせば本体は揺れて、空を映す水の世界に波紋が、里人たちの静寂と共に広がった。


 水が踊り、その音は流れる二本の滝の水音にかき消されて消える。


 水面に浮かぶ、周囲の青い花々がその花弁を閉じていく。

 その代わりに、浮かぶ白い花々がその花弁を開いていく。 


 まるで、太陽が沈むと月が入れ替わるかのような光景だ。


 花が水面に額をつけた。肩に流れる長い髪が水面に、はらりと滑り落ちて水面へと。

 青の花々は沈み、白の花々が小舟の光に照らされて揺蕩う。

 花が顔を上げた。そして前を向く。


「――少し、ニンフさんの気配が変わりました」


 入れ替わった花。それはスイレンで間違いない。しかし、色が違っている。

 もともとスイレンの花は種類によって夜は水に沈むのだ。逆に夜に咲くものは、昼間は沈んでいる。


「二人いるのか、この里には」

「それにしては気配は似通っていますけど」


 同じ種類の花であるなら、それも当然なのかもしれない。だが、それだけで説明がつくのだろうか。

 考えていると鈴の音が聞こえてきた。

 見ると、建物の奥から人影が出てくる。レイたちを案内した花守だ。彼らは鈴のついた杖を片手に、反対の手で一つの大きな箱のようなものを四人で運んでいた。縦長のそれは人が入るぐらいの大きさをしている。


 その後ろからは、先程の老齢とされる女性が後を追うように歩き、家族が少し離れて続く。


 花守の到着で、人混みが綺麗に二つに割れる。

 花守たちは箱を端の本体まで運ぶと箱を開けた。中には白いスイレンの花が詰まっている。なにが始まるのだろうと眺めていると、花守は下がり、女性は花人と会話を始めた。


「よく今日まで生きてくれたな。其方は里の……妾の誇りだ」


 よくとおる男性の声が響く。それは昼に聞いたニンフの声ではない。

 声を掛けられている女は泣いている。それが感涙によるものか、別の要因なのかはレイには知る由もなく。ただ、花人への感謝の言葉が、レイとスイの耳に届いた。

 家族は寂しそうな面持ちをするだけで、この状況に意を唱えるものはいない。


「さぁ、妾の愛おしい子よ、眠るが良い。次の魂もこの里に巡るよう、妾が導こう」


 女は言葉を受けて深々と頭を下げると、箱の……否、棺桶の中に横たわって目を閉じる。花守が箱を閉じて固定具をつけていく。

 棺桶は花守達によって担がれ、花の本体より向こうに運ばれていく。上の池の縁に置かれたそれは、ゆっくりと下の池に押し出されていく。

 ほどなくして棺桶は落ちた。あの夫人は生きたまま水に抱かれて死ぬのだろうか。残酷だと思えども、悲しいとは思わない。


 あがった水柱は一瞬の残滓。


 儚いそれは別れを惜しむ一部の里人の嗚咽と共に、滝の水音に流され消えていった。

 悲しみの余韻はすぐに消え、見届けた里人の大半は早々に引き上げていく。


 残ったのは、あの女性の家族のみ。その人間たちも花人に挨拶をしたのなら、惜しむのもほどほどに建物に戻って行く。

 一刻もなかっただろう短いそれは、慣れか。

 誰もいなくなり、場が水の音だけになってようやく、花人はレイたちに目を向ける。


「――はじめまして、になるのでしょうか?」


 それは最初の問いかけ。少し近づいて改めてその姿を見れば、ニンフとは似て非なる花人だということがよくわかる。

 男性の声に、ところどころ昼の花と違う口調と、色味。先程より白い髪は月光と水面の光を弾いて光を纏う。瞳は吸い込まれそうな漆黒に、時折金色の光がのぞいていた。

 花畑が同じ位置にあることから、別人であれど完全なる別個体ではないのだろうと察しはつく。


「昼と同じくニンフでよいぞ。妾とあれは、意識は違えど別の花ではない。それに夜ではよほどのことがない限り片割れは出ては来ぬ、同じでも不便はあるまいて」

「そうか。なら変わらずに呼ぶことにする……よろしく」

「うむ。先程は来て早々、気持ち良くないものを見せてしまったな。だが、葬儀の日はずらせぬのだ。許せ」


 花は笑っていた。ころころと笑う仕草に合わせて、髪が揺れてそれが水面に伝わって波紋を起こす。だが、その瞳が笑うことはなく、ちらりと棺が消えていった下の池に視線をやる。何も見えない果てのない闇が、手招きしているようだった。


「……辛くは、ないのですか?」


 きゅっと唇を引き結び、それをほどいてからスイは問いかける。ざぁと、吹いた風にあおられた滝の雫が、ぱらぱらと足場を叩く。

 その直後に、ぱたぱたと空から水滴が降り注ぐ。まるで、天国に旅立ったあの女性を弔うかのような雨だ。

 ニンフは目を伏せて、ふっと笑った。


「子らの天寿をまっとうさせぬことは、育てた花が咲く前に摘み取ることと同義。思うところがない訳ではない」


 嘲笑でも苦笑でも、あきらめたようなそれでもない。ただ、少しだけほっとしているような、そんな笑みだ。


「しかし、妾にできるのはいかにして人々が生きるこの場所を守るかだ。感情に振り回されるわけにもいくまい」


 花は人を守る存在だ。


 どうしてそうなったのかは分からない。産まれた時からそうであるように定められている。スイはそれを当然のことのように思っていて、他の花人もそういうものだと考えていた。けれど旅をしていく中で、そうでないことは理解して、それぞれが折り合いをつけて暮らしていることも分かっている。

 それでも、生きた人間を直接まで行かずとも殺すスイレンのやり方には抵抗を覚えてしまったのだろう。


「スイートピーよ。そなたは今までいくつの里の営みを見た? 十か、二十か? それとももっとか?」


 レイもスイも、この世のすべてを論じられるほどの里を見てきたわけではない。


「ここよりもっと悲惨な状況に陥っている里もあろう。妾は当事者であり、憤る資格も悲しむ資格もある。だがな、其方はユグドラシルの目として天命を受けている。あまり個々の花や人の想いを知りすぎるのも得策ではないぞ」


 諭すような言葉だ。最終的にユグドラシルに伝えるには、きっと理解するほうがいい。けれど理解を通り越してしまえば、それはきっとありのままの情報とはいかない。ユグドラシルが望むのは、ありのままのこの世界を知ることなのだから。


「だがこれだけは言える。妾は、この里の人間たちを愛しておる。この里で生まれたからには、不幸にさせているつもりはない」


 甘やかし、守るばかりが愛ではない。時に非道な選択をするのも必要なことだと。そのような事情をもつ花人たちを責めてくれるなと。そう諭しているようにレイは受け取った。


「さぁ、もう眠るといい。このことについて考えたとしても、堂々巡りをするだけだ」


 もう話すことはないと言わんばかりに、スイレンは背を向けた。

 レイはうつむいてしまったスイを促し黙ってその場を後にする。葬儀の後だ。きっとスイレン自身も静かに弔いたいだろう。

 建物に入れば、花守が待ち構えていた。ずっと聞いていたのだろうか。彼は何も言わず、レイに通路を歩くためのランタンを手渡す。それを受け取って、レイは階段へと向かう。

 スイは眠そうだが、それよりはなにかを考えるように俯いている。


「あまり背負いこむなとは毎回言ってはいるが、君は直らないんだろうな」

「背負いこんでいません。ただ、人を生きたまま殺すことに思うところがあるのです」

「それはニンフたちも同じだろう。たくさんのことを考えて、その上であの形で間引きを行っている。必ずしも表面に見えることがすべてじゃない。良い事も悪いことも、見えるものは側面に過ぎないんだ。それにスイレンは死と再生の象徴とも言われる花だ。死してまた巡り、産まれることを里人も望んでいた。ニンフなりの死生観がそうさせているんだろう」


 スイレンは夕方に沈み、翌朝再び水面にでて開花する。その姿は死と再生の象徴とされていた。文明時代の学問では昼は生、夜は死の側面があるとされている。


 生の死の両面が、昼咲の花と夜咲きの同種の花で表れた成り立ちなのかもしれないと、レイは淡々と己の分析を語った。

 つまるところ、スイレンはそういう花であり、いまさらその考えを曲げることは難しい。


「少なくとも、俺たちはこの里に留まり骨を埋めるわけじゃない。だから里の決まりに口を出せないさ。いい方向に仕向けることは時間があればできるが、自分で責任を取れないことはやるべきじゃない。マリーゴールドの里と違い、これが未来に繋ぐ最善の策ならなおさらだ」

「……レイはいつも冷静です」

「褒め言葉として受け取っておく」


 ぽすっと背中に頭をぶつけてきた小さな花に、レイは苦笑する。先程の光景で遠のいていた眠気が、今になって蘇ったのだろう。

 この状態で階段を上がるのは危険だと、小さな体を小脇に抱えた。

 扱いが雑だと抗議が飛ぶが、レイは気にせずに階段を上る。両腕が塞がる抱え方ではランタンが持てないのだから仕方がない。


 そうして時間をかけて自分たちに宛がわれた部屋に戻るころには、スイは寝入ってしまっていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る