【140字小説】リュウグウノツカイ

王子

リュウグウノツカイ

 僕はリュウグウノツカイ。不老不死研究のため人に飼われている。

 仲間がカルフォルニアのビーチで打ち上げられたらしい。僕の知らない、海底の静寂、暗闇、潮流、塩の味。彼が陸で見た走馬灯そうまとうは、深海魚の終幕を彩るに相応ふさわしい、幸せな群青色にきらめいていただろうか。

 僕はただ、今日も培養液の海を泳ぐ。

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【140字小説】リュウグウノツカイ 王子 @affe

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