好きな音楽の思い出 その2

「この曲はね。」


夫がいう。カラオケだった。まだ長女がお腹にいたころ、私たちは

「子供が産まれたらしばらく出来なくなること」

を今のうちにやりこなしていこうと、夜の街のカラオケに来ていた。

前にせり出していたおなかをさすりながら、もう一度聞き直した。


「俺が、ユキに思っていた歌だよ。」


今きいたら、恥ずかしいセリフだけど、そのときは「ふうん」とだけ返事をして目の前のコーラーをすすった。


歌詞を目で追う。


確かに。この曲はとても胸を打つものだった


 君が大人になってくその時間が

降り積もる間に僕も変わっていく


 ああ・・・いい歌だなぁ・・。と思った。


 夫と私が出会ったとき。


 私たちはとても若かった。 20代前半で。夫はまだ20代後半で。今よりとても未熟で。棘もあって。たくさん傷ついていたし、傷つけていた。


その棘を、闇を。お互い知っていて。それでも、関係を続けてきた。

そんな関係を、築いていける相手と出会えて。


本当に良かった。



 お互いに大人になって。変わっていったんだな。


 そんな気持ちを思い出しながら、私はそっとスキマスイッチの「奏」を聴きながら家事をする。


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子どもと、家事と、ひとりごと。 夏戸ユキ @natsuyukitarou

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