好きな音楽の思い出 その2
「この曲はね。」
夫がいう。カラオケだった。まだ長女がお腹にいたころ、私たちは
「子供が産まれたらしばらく出来なくなること」
を今のうちにやりこなしていこうと、夜の街のカラオケに来ていた。
前にせり出していたおなかをさすりながら、もう一度聞き直した。
「俺が、ユキに思っていた歌だよ。」
今きいたら、恥ずかしいセリフだけど、そのときは「ふうん」とだけ返事をして目の前のコーラーをすすった。
歌詞を目で追う。
確かに。この曲はとても胸を打つものだった
君が大人になってくその時間が
降り積もる間に僕も変わっていく
ああ・・・いい歌だなぁ・・。と思った。
夫と私が出会ったとき。
私たちはとても若かった。 20代前半で。夫はまだ20代後半で。今よりとても未熟で。棘もあって。たくさん傷ついていたし、傷つけていた。
その棘を、闇を。お互い知っていて。それでも、関係を続けてきた。
そんな関係を、築いていける相手と出会えて。
本当に良かった。
お互いに大人になって。変わっていったんだな。
そんな気持ちを思い出しながら、私はそっとスキマスイッチの「奏」を聴きながら家事をする。
子どもと、家事と、ひとりごと。 夏戸ユキ @natsuyukitarou
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。子どもと、家事と、ひとりごと。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます