川に落ちた少年

増田朋美

川に落ちた少年

川に落ちた少年

その日も暑い日だった。本当に暑い。どうしてこんなに日本の夏は暑いんだろうというくらい暑い一日だった。今日も蘭は、下絵の仕事を終えて、帰りの遅い妻のアリスが不在の部屋の中で、一人でテレビを眺めながら、食事をしていた。ちょうど、五時の鐘が鳴って、五時からの報道番組が始まったところであった。

「えー、本日、午後三時ごろ、富士川の中州に、小学校一年生の男の子の遺体が放置されているのが見つかりました。男の子は、彼のランドセルに付属していた名札によりますと、名前は勝俣朝男君と断定され、情緒障害児の通学する特殊学校に通っていたということです。警察は、朝雄君が、通学途中に足を滑らせて川に落ちたと見て、捜査しています。」

と、間延びした声で、アナウンサーが、そういうことを言っていた。はあなるほどねえ、この富士市も、そんな事故が起こるようになってしまったか。小さな子供が川に行かないように、誰か大人が、注意でもしなかったのかなあと、蘭は、思いながら、夕食の裂きイカを口にした。その時は、ただ、同じ富士市でも、全然縁のない赤の他人の間で起きた事件だと思っていたけれど、、、。

蘭がお茶を飲んでいると、玄関のインターフォンがピンポーンと五回連続でなった。この鳴らし方は、まぎれもなく杉ちゃんである。こんな時間に買い物か?それとも、しょうゆでもわけでくださいとでも、言うのだろうか。とりあえず蘭は、急いで玄関先に行く。

「あの、蘭さんすみません。ちょっとお願いがあるんですけど。」

と、一寸不明瞭な発音の声も聞こえてきた。その言い方はちょっとアクセントに癖があり、外国人だと思われる。

「まあいい。上がれあがれ。」

と、杉ちゃんは、蘭の家の玄関ドアを勝手に開けて、どんどん入ってきてしまった。一緒にいたのは、なんと杉ちゃんの着物仲間として知られている、イギリス人の田沼ジャックさんと、息子の武史君である。ということは、醤油を分けてくれという話ではなさそうである。

「あのさあ、蘭。ジャックさんがお前さんに相談があるんだって。お前さんなら、すぐ話も合うだろうと思って連れて来たのさ。」

と、杉ちゃんは、どんどん部屋に入ってしまう。ジャックさんは、お邪魔しますと言って、武史君と一緒に部屋に入った。ちゃんと靴もそろえて、スリッパも持ち歩くところは、日本人以上にマナーに気を付けている。

「まあ、入れ入れ。早く相談したいことはしちまえよ。そのほうがお前さんも楽になれるよ。ただでさえ、外国人はどうのって言われやすい社会で、ストレスをためずに、話しちまえ。」

杉ちゃんにそういわれて、ジャックさんは、武史君と一緒にテーブルに座った。蘭は、急いでジャックさんにお茶を出した。ジャックさんの表情は、真剣そのもので、くだらない相談事ではなさそうである。蘭は、一体何だろうと思った。

「ほら、大丈夫だよ。僕らは外人は権利ばっかり言うとかそういう文句は言わないから、遠慮しないで、蘭に相談してみな。」

杉ちゃんにそういわれてジャックさんは、

「ええ、実はですね。」

と話を始めた。

「あの、今日の新聞かテレビのニュースで、富士川の中州で男の子がなくなったことが報道されたのは、ご存じありませんか。」

「ああ、そういえばテレビのニュースでやってたね。」

と蘭はそう返した。

「ええ、確かにテレビのニュースでやっていました。今先ほどまで報道番組を見ていたので、それでみました。」

「はい。実はその、遺体で見つかった勝俣朝男君という男の子は、武史の同級生なんですよ。」

とジャックさんが言ったので、蘭はまたびっくり。武史君が小さな頭を下げて、そうだよと頷いた。

「そうなんだね。で、それで蘭にお願いがあるんだよねえ。」

と、杉ちゃんがお茶を飲みながら言った。

「ええ。それでそのショックから立ち直れないのでしょうか。武史が、一寸様子がおかしいので学校をしばらく休むようにと校長先生から言われまして。」

はあ、またか。武史君は、学校のトラブルメーカーだなあと蘭は思った。よく杉ちゃんからも話を聞くが、武史君がトラブルを起こして学校を休学になってしまったという話は多いのである。

「まあ、あらゆる面で過敏な子だよ。武史君は。で、しばらく家にいるようにって言われたんだよね。」

と、杉ちゃんが付け加えた。

「ええ。そうなんです。それで、学校の許可が出るまで武史は家にいろということになりましたが、じつは明日、富士市の文化センターでどうしても出なければならない個展がありまして、それで一日家を留守にしてしまうので、武史を蘭さんのお宅で預かってもらえないでしょうか?」

ジャックさんはやっと本題を切り出した。蘭は、外国人のくせにそういう遠回し的な言い方を擦るんだなと思った。

「そうですか。では、学童保育のようなものとか、預かってくれる施設を探してくれる場所はなかったんですか?」

と蘭は、とりあえず困ったことが在れば手を出す制度を言った。

「バカだな。そういうことを頼めてたらとうの昔に解決してますよ。市役所に行けばお役所気取りで、ほかの課へ行けと追い出されるし、学童保育所なんてこの近くにあるかよ。どこにもないだろ。だから、お前さんに頼んでるんじゃないかよ。」

杉ちゃんが蘭に言った。確かに、学童保育というものはこの近くにはない。市役所に相談しても、市役所の職員は態度が大きすぎて、逆に相談する側が、腹が立つことは、蘭も経験していた。

「そうだけどねえ杉ちゃん。明日は僕も大事な客が来るので、外すことはできないんだよ。それは前々から言われていたことだから、都合が悪くなったなんていえないんだよ。」

蘭がそういうと、ジャックさんは、落胆の表情を見せた。

「だけど、武史君を家の中に放置していくわけにもいかないよ。昔だったらあり得ることだけどさ、今は、子供を家の中へ置いて、一日外出してったら、虐待というものと勘違いされちまうこともよくあるじゃないか。ましてや、外国人であれば、余計に偏見を持たれるのも、蘭は知らないのかよ。」

杉ちゃんにそういわれて、蘭はそれもそうだなあと考えてしまう。それが度を越して、子供が死亡したという例も結構あるので、子供を一日置き去りにしてしまうわけにはいかない。

「確かにそれはそうですよね。ましてや武史君は情緒障害児の専門的な特殊学校に通っているから、余計に心配されてしまいますよね。うーんどうしたらいいかな。僕も、明日どうしても、予約が入ってましてね。それを外すわけにはいかないんですよ。だから、そうですね。子供を預かってくれる施設を探すしかないんじゃないかな。保育園に一時的に行くということはできないでしょうから、たとえばナースメイドを頼むとか、、、。」

と蘭は頭をかじってそういうことを言った。

「かといって、こども未来課に相談するのは、絶対に止めろよ。それほど役に立たない部署はないよ。役所何て、本当に困っているやつの味方にはならない。行政何てそんなもんだよ。まさかと思うけど、日本にはレンタルおばさんみたいなものはないし。」

と、杉ちゃんがそういっている。欧米には、レンタルで手伝い人をよこすというのは、結構あるのだが、日本にはそういう制度はまだなかった。うーん、困ったなあと蘭は、ジャックさんの顔を見る。ちなみに自分の過去を振り返ってみても、確かに蘭の母も、家を何日も不在になることはあった。でも、その隣にはいつも沼袋さんがいて代理で蘭の世話をしていた。ドイツに滞在していた時は、ちゃんと養父母そろっていたので、どっちか一人がそばにいてくれたから、寂しい思いをしたことはなかった。詰まるところ、蘭は子供のころ、一人で家の中に残されるという経験はしたことはなく、武史君をどうしたらいいか答えに迷ってしまったのである。

「そうですね、明日は、どうしても、外せない仕事があって、僕は武史君を預かることはできません。」

と蘭が言うと武史君が口を動かして何か言った。でもそれは言葉にはなっていなかった。

「すみません。勝俣朝男君がなくなったショックに耐えられなかったみたいで、御覧の通り、口を利くことができないんですよ。」

と、ジャックさんが言った。つまり、失声症か。そうなるとますます一人で家の中に残しておくことはできなくなる。

「そうだねえ。其れじゃあ、製鉄所に預けてもらうことはダメでしょうか?」

と蘭は、ジャックさんに言った。

「もちろん、製鉄所も利用者がいっぱい増えていて、どうしようもないのなら預かれないと思いますが、空きが在れば一日預かってくれるんじゃないでしょうか。」

とりあえず蘭はそういうことを言ってみる。

「製鉄所ね。確か、利用している人に聞いたけどさあ、最近居場所をなくしたやつが多くて、利用者がウナギのぼりに増えていると聞いたけど?」

と、杉ちゃんが言うが、蘭は、すぐにスマートフォンを出してしまった。そして、メールアプリを出して、用件を打ってみる。

数分後、蘭のスマートフォンがなった。メールをくれたのはジョチさんであろうか。どうだったと杉ちゃんが聞くと、

「明日一日なら、預かってくれてもいいってさ。武史君。」

と蘭は答えた。ジャックさんは、良かったと思ったのか、大きなため息をついて、ありがとうございます!といった。

翌日。ジャックさんは武史君を連れて、製鉄所に行き、出迎えてくれた製鉄所の利用者さんたちに武史君を預けて、急いで個展の会場に向かって行った。一方の武史君は、静鉄所を利用しているお姉さんたちと一緒にお手玉をしたりして遊んでいた。武史君はテレビゲームが嫌いだった。男の子がよくやるチャンバラごっこなども嫌いだった。外で思いっきり体を動かすのは苦手なようなのだ。武史君、トランプやろうと、お姉さんたちはそう誘うが、武史君は、首にぶら下げた、メモ帳にへたくそな字で、おじさんはどこ?と書いた。

「おじさんというと、水穂さんの事ね。今、お薬で眠ってるわよ。」

と、お姉さんの一人がそういうことを言うと、武史君はおじさんと遊びたいと、メモ帳に書いた。

「帝大さんは、ずっと眠っていた方がいいって言ってたよね。」

別の利用者がそういうと、武史君は、がっかりした表情をした。

「まあ顔を見るだけなら連れて行っても、いいんじゃないですか。」

と初めの利用者がそういうことを言って、四畳半へ連れて行ってみることにした。武史君が誰よりも、水穂さんのことが好きなのは、利用者たちの間でよく知られていることである。お姉さん二人に連れられて、武史君は四畳半に行く。

「水穂さん、起きてください。武史君が来てるんです。おじさんと遊びたいって。ほら、起きてくださいよ。」

利用者の一人が体をゆすって水穂さんを起こした。水穂さんが目を覚まして、利用者に助けてもらいながら、布団の上に起きると、武史君はすぐにおじさんにじゃれついた。やっぱり武史君は水穂さんが好きなんだねと、利用者たちは、一寸ため息をついた。

「短時間だけでいいから、遊んでやってください。武史君は、水穂さんが好きなんですから。」

と利用者が言った。武史君は、また首に下げたメモ帳にへたくそな字で、おじさんピアノ弾いてと書いている。武史君は、字を書くのが下手なようで、ほとんどひらがなばかりで書いている。小学校一年生だったら、簡単な漢字を書くことが可能のはずだが、武史君は、簡単な漢字も書けなかった。水穂さんは、いいよと言って、利用者にちょっと支えてもらいながら立ち上がり、ピアノの前に座って、サンサーンスの水族館を弾いた。弾き終わると武史君は、手をたたいて拍手し、もう一回やってとメモ帳に書く。水穂さんがもう一度弾くと、武史君はさらに笑ってくれた。二人の利用者は、序に声も出してくれるといいんだけどという顔をする。三度目に水族館を弾き終わると、武史君は、また何か、文字を書き始める。利用者が、何を書いているのかなとそれを覗き込むと、殺されたという文字が出てきたので、思わず、武史君、何を書いているの!と利用者はびっくりした。

「殺された?」

二人目の利用者が、書いている内容をそのまま読むと、武史君は、一生けんめい何か言っている。声の出ない口を金魚みたいにパクパクさせて。

「武史君、何があったか、一寸紙に書いてみて。」

と、水穂さんが、ピアノのイスから降りて畳に座りながらそういうと、武史君は少し考えて、

「朝男君は、殺されたの。」

と紙に書いた。

「朝男君?あ!そういえば、新聞に書いてあったわ!朝男君という男の子が、富士川の中州で遺体で見つかったって。でも、警察は、川の土手で遊んでいて、川に落ちたんじゃないかって言っているはずだけど?」

と、利用者がすぐに言った。武史君は激しく首を振った。

「武史君、どうして朝男君は、殺されたと思うの?」

と、水穂さんが聞くと、

「朝男君と、一緒に来るおばさんと喧嘩ばかりしていたから。」

と、武史君は紙に書いた。

ということは、ある人と不仲だったのだろうか。もうちょっと彼が前後の文脈を組み立てて言ってくれればいいのだが、武史君はまだそれをするのは小さすぎる。

「警察に来てもらって、武史君の話を聞いてもらいましょうか?」

と、利用者の一人がそういうと、水穂さんもそうですねといった。事件の捜査をするのは素人ではできないことは、みんな知っている。

「でも、小さな子供さんの話ですし、妄想だと言って片付けられてしまう可能性のほうが高いですね。」

と、水穂さんは心配そうに言ったが、でもほかに、武史君のいうことを解決する方法はないということもわかっていた。

「じゃあね、武史君。その、朝男君はどうして亡くなったの?」

と利用者が聞くと、武史君は、殺されたのと紙に書く。いつも、一緒に来るおばさんに、とへたくそなひらがなでメモ帳につづった。

「そのおばさんという人は、どんな人なんですか?」

と水穂さんが聞くと、

「ちょっとどもる人。」

と武史君は紙に書く。つまり、吃音者だったんだろうか。

「どういうことですかねえ、、、。」

利用者の一人は、腕組みをして考え込んだ。しばらく生々しい時間が流れたが、水穂さんがせき込んだのでそれは終わってしまった。利用者たちは、急いで水穂さんの背中をたたいたりして、出すものを出しやすくしてやった。

「武史君、事件のことは、警察のおじさんたちに任せておけばいいの。武史君は勉強したり遊んだりしていればいいのよ。だから、今回の事件のことは、もう気にしないでいようね。」

利用者のお姉さんたちは、そういうことを言った。武史君は真剣な表情になって、首を激しく降ったが、利用者たちは、その頭を撫でてやって、もう忘れようねといった。そうしている間に、咳の発作の治まった水穂さんが、武史君の顔を見て、

「武史君の言っていることは間違いではないよ。きっと警察の人もそれをつかむと思うよ。だから、僕たちはそれを待っていようね、、、。」

と言って、またせき込んでしまうのだった。

「ああん水穂さん、無理してしゃべっちゃだめです。ほら、薬飲んで休みましょう。今は静かにしてなくちゃだめですよ。」

と、別の利用者が急いで水穂さんの口元にタオルをあてがって、出すものを受け取れるようにさせてやった。初めの利用者が、

「武史君、おじさんに迷惑かけないように、食堂行こうか。一緒に、お手玉、またしよう。」

と、言って武史君を外へ連れ出そうとした。武史君は、運動は意外に苦手なようで敏捷に動いてどうのということはしなかった。ちゃんと初めの利用者と一緒に、部屋を出ていった。

「すみません。僕の不注意で。」

と、水穂さんがせき込みながら言うと、

「水穂さん静かに。苦しいでしょ?黙っていて。」

と、別の利用者が、水穂さんに言った。利用者は水穂さんの枕元にあった吸い飲みを取って、中身を飲ませてやった。それでやっと水穂さんは静かになった。多分、この薬は強力な眠気を催す成分があるんだろう。そのまま彼は布団に倒れるように眠ってしまったので。

「それにしても、武史君は、一寸敏感すぎるのかなあ。お友達が川に落ちてなくなったということを受け入れられなくて、そういう風に仕立て上げちゃっているのかしら。」

と、利用者はそういうことをつぶやいた。そういうところが、武史君の発達障害と言えるのかもしれななかった。

そのあと、お姉さんたちとお手玉したり、ご飯をたべさせてもらったりした武史君は、子供らしく単純に喜んで、もうあの時の事件のことを話したりすることはなかった。なので、利用者たちは、武史君がお友達がなくなったことに過敏に反応しすぎているだけだということにしておいた。

夕方、文化センターが閉まる時刻になると、武史君のお父さんであるジャックさんが迎えに来て、武史君は自宅へ帰っていった。武史君は、ありがとうございましたとメモ帳に書いて、ジャックさんと一緒に家に帰っていく。

その数時間後のことである。

「おーい杉ちゃん、一寸風呂を貸してくれよ。ちょっと捜査が長引いててさ、しばらく家に帰ってないので。」

と、華岡が杉ちゃんの家にやってきた。そして、40分以上杉ちゃんの家の風呂に浸かって、炭坑節を口ずさんだりしている。

「華岡さんどうしたのさ?」

風呂から出た華岡がテーブルに座ると、杉ちゃんは、お約束通りカレーを目の前に置いた。

「おいしそうなカレーだな。杉ちゃんのカレーは、いつ食べてもうまいぜ。」

と、華岡は急いでカレーを口にした。

「うん、うまいなあ。これはうまいぞ。レトルトのカレーよりもずっとうまいよ。」

「それより華岡さん。」

と杉ちゃんが聞く。

「それより、風呂を借りに来たってことは、何か言いたいことが在るんだろ?それで僕のところに来たんだろ。だったら早く言えよ。」

「ああそうだねえ。杉ちゃんは、なんでもわかってくれるから、うれしいなあ。まさしく、もうすぐ事件が解決しそうなんだ。まず初めに、あの被害にあった、勝俣朝男君の学校は、最近不審者が富士市内に多く出没することから、個人で投稿するのをやめて保護者によるグループ登校を行っていたようだよ。」

華岡は、カレーをたべながらそういうことを言った。

「なるほどね、で、朝男君は、お母さんと一緒に学校に通っていたのか。」

杉ちゃんがそう聞くと、

「いや、そういう事じゃないんだ。朝男君のお母さんは朝早くから仕事をしているようなので、近隣の女性と一緒に登校しているようであるが、どうもその女性が、吃音者であるようなんだ。」

と華岡は答えた。

「それで、その吃音者の女性が、朝男君をやったのでも言いたいの?」

と杉ちゃんが聞くと、

「うん、俺たちはそう思っている。その女性が、朝男君が勝手に自分の娘に危害をしているという妄想を持っていたことは、すでに、精神科医にも裏付けをとっている。」

と華岡は答えた。

「そうなんだね。それで、その女が朝男君を、川に突き落として殺したというわけか。」

「ああそうだ。犯行は、グループ登校をしている間だ。」

杉ちゃんの話に華岡はそう答えた。

「そうか。そこまで足がついたか。よかったな。」

「おう、よかったというか、ここまで来るのは大変だったよ。学校側もなかなか真実を話してくれないから、それではどうしようかと思ったくらいだ。まったく、学校というのは、そういうことがあると、必死で隠そうとしてしまうもんだぜ。」

華岡は、またカレーにがぶつきながら言った。

華岡たちが、そういう事をやっていた何て武史君は、知る由もないだろうが、小さな子供は小さな子供なりに、何か考えていたのである。それの真偽は不明だが、、、。


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川に落ちた少年 増田朋美 @masubuchi4996

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