一人のきもち

 今日は卒業式


 前を歩く女の子達の後を追うように

 私も学校への道を とぼとぼ歩く


 三つ編みをした子が 友達に問いかける

 ――卒業式と言えば?


 う~ん、なんだろう?


 勝手にぼんやり 考えていたら

 おかっぱの子が言った

 紅白饅頭?


 いいな あのお饅頭は美味しい

 おめでたいことがなければ 食べられないのも

 重要かも



 途中で通り過ぎた桜並木は

 まだ固くつぼみを閉じている


 時々思う

 あの中には 花以外のものが詰まっていて

 勿体もったい付けて 隠しているんじゃないかって



 遠くに校舎が見えてきて

 少し悲しくなってくる


 感慨かんがい深げな子達を なんだか見ていられなくて

 隣をり抜けて急いだ


 泣いちゃうんだろうな


 追い越す瞬間に聞こえた 呟きに

 ぐっと胸が 締め付けられる


 それに

 私も早く 友達に質問してみたい気持ちでいっぱいだった


 ――卒業式と言えば?

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