第82話 今年の汚れは今年の内に♪
冬〇ミは28日から3日間、つまり真人達が参加した3日目は30日の事。
一晩おいて落ち着いたのが31日。
友紀が看護師と一緒に真人の身体を清めたのが31日の午前中。
着替えとか必需品の買い出しをレディースの子達が行ってくれていた。
その間に友紀と千奈は黒湯でさっぱりしていた。
「東京にも温泉て結構あるものですね。」
千奈が伸びをしながらう~んと両手を高く上げる。
「黒湯は浜松町にもあるそうですよ。駅近くにもありますし。」
温泉で温まった二人はコーヒー牛乳を飲みながらしみじみと呟いた。
☆ ☆ ☆
「中々目を覚まさないね。麻酔とかもう切れてるんですよね。」
千奈が未だに目覚めない真人を見ながら言った。
流石に脈拍やら心拍数やらを測定する機械には繋がれてはいないものの点滴は適度に入れられている。
「これ、入院費や治療費、慰謝料とかふんだくれるのかな。無理ならあのクソ野郎20年以上ぶちこんでやりたい。」
少し千奈が汚い言葉を口にした。
ふんだくれるかはわからないけれど、そこは請求出来るはずである。
「友紀さんは今日このまま付き添いですよね。」
暗くなった外を一度見てから千奈は友紀に尋ねた。
「千奈ちゃん達は帰って良いですよ。年越しはやっぱり地元で迎えたいでしょうし。」
「気持ちはありがたいですけど……でもそうか、両親に生の声を届けるのも仕事かな。」
千奈はしぶしぶではあるけれど友紀の言葉に理解・納得していた。
「あたしらは千奈さんに着いて行くだけっス。でも姐さんの護衛はどうしましょう。」
「わ、私は大丈夫です。真人さんが起きるまでは不安はありますけど……未来の奥さんとしてしっかりと守ります。」
ふんすっと両手の拳を握る姿はこの中の女子にあっても若々しく可愛いと形容するには充分だった。
「明日は天草夫妻がお見舞いに来るらしいですからね。地元じゃないからそう簡単に行き来出来ないのが社会人の辛いとこみたいですけど。」
そして20時、面会時間ギリギリまで残ってくれた千奈とレディースの子達を見送り、未だ目覚めぬ真人の横で一人友紀はその様子を眺めている。
千奈は例のガチ百合の子のバイクを運転して帰る。
その後ろにその子が乗るわけだけれど。
「千奈さんに抱き着けて倖せっス。」と言っていたという。
☆ ☆ ☆
「もう、起きないと色々いたずらしちゃいますよぅ。」
ラッキースケベ神により色々見られているし、午前中に看護師と一緒に身体を清めたりと少しだけ男女の裸体というものに耐性を身に着けた、友紀のささやかないじわる発言だった。
ただ、だからといって起きているわけではないので真人の反応はない。
狸寝入りをしているのであれば、がばっと起きたであろうけど。
友紀は眠っている真人のほっぺたをぷにぷにと押している。
こういうのは男子が女子にやるから効果的なのであるが……
「守って貰えるのは嬉しいけど、それで傷ついたら守られた方も傷つくんです。心に深く残るんです。」
それ以上のナニカで上書き出来るまでは……と。
「ちょっとだけ……ちょっとだけ……先っぽだけ……ちゅっ。」
友紀の唇が真人の唇に触れた時、扉をノックする音が聞こえる。
その音に吃驚した友紀は慌てて飛びのいた。
「ひゃぃっ。」
失礼しますと入ってきた看護師・月見里がお湯とタオルを持って入ってきた。
「やっぱり今年の汚れは今年の内にって言いますからね。それで……一緒にやります?」
友紀は照れながらも首を縦に振った。
上半身は滞りなく終わる。お湯を入れ替えてきますと一度退出した看護師は10分もしないで戻って来る。
「じゃ、次は下半身ですね~うふふ~。」
看護師は少し楽しんでいた。
他人の下半身に触れて喜ぶ看護師はゼロとは言わないが殆どいないと思うけれど、この月見里という看護師はそこについてではなく、友紀の反応を楽しんでいる節があった。
ぬぎぬぎしましょうね~と月見里はパジャマを剥いでいく。
最初に足等露出している部分を拭き取り乾いたタオルで水気を取っていく。
「さて次は……」
下着を遠慮なく下ろしていく。
朝も見た……アレが……
身体を横に出来ないので後ろ側は手を入れて、少し身体を浮かせてもう一人が拭き取るという形を取っている。
後ろ側を拭く時、月見里が身体を少し浮かせ友紀がその間に拭き取るのだけれど……
「ひゃっ」
どうしても目の前にアレが……
どうやら友紀の中でかつてのトラウマは真人ので上書きされつつあるのか、そのものに嫌悪はほとんど感じていない。
それでも目前にとなれば別である。
目を細めて拭いて行く。流石に瞑ってしまうと誤って傷口にダメージを与えてしまうため、それは出来なかった。
「どうにか終わりましたね、さ、それじゃぁ天守閣といきますか。」
やはり月見里は少し楽しみました。
「これは言っても良いかわかりませんでしたが、奥様は男性器に慣れてないように見受けられたのですが。」
「あ、ひゃい。二人共魔法使いです。」
「なるほど。それなのに仕事とはいえ先に触れてしまって申し訳ないですね。」
盲腸の手術前の剃毛とかもちょんちょんちょんと触れては剃って、ぴっとやってちょんちょんちょんと触れては剃ってとの事。
モノについての感想なんて、この仕事をしていればそれなりに機会があるため珍しくもないし恥ずかしくもなくなるとの事。
「いえいえ。そこで苦情を言うわけにも行きませんし。未来の奥さんとはいえ本来本職の人に全て任すべきだというのはわかってます。」
これは私の我儘で手伝わせて貰ってますのでと謙虚な姿勢の友紀。
それとこれとは別で、真人の息子さんは外気にさらされ放置プレーされている。
「これも言ってはいいかわかりませんが、未来の旦那さん。中々御立派なモノをお持ちで。その時が来たらお二人共がんばってくださいね。」
「あ、ハイ。ガンバリマス。」
周りを拭いていき、後は中だけとなったところでラスボスの到来。
「私が剝きましょうか?」
「いえ、将来のためガンバリマス。」
看護学校に通う新人学生のように勤勉な友紀だった。
真人の名誉のため、その先はダイジェストで伝える。
こんにちはさせて、拭いているうちに違和感を感じる。
「あ……」
月見里は何かを感じとったようだ。
人は寝ていても何かの拍子に反応してしまう事がある。
真人はそこだけ元気になってしまっていた。
「わひゃぅっ。」
むくむくっとムックになってくる真人自身に友紀はあわあわと握ったまま驚いている。
「あ……ぅ……」
意識が朦朧としてはいるものの真人が目にした光景は。
下半身が露出し、元気になった息子さんの皮を剥いてタオルで握っている友紀の姿と、その傍に立つ看護師の姿だった。
「OHーーーNOーーーー!OH!MY!GOD!」
と言うしかない真人に……
「とべこんてぃにゅー」
と返す看護師月見里環希だった。
――――――――――――――――――――――――――――――
後書きです。
本来こういうのは看護師任せですよね。
ましてや寝たきりの場合は。
友紀さん、結婚し初夜を迎える前に真人さんの真人さんを見て置く事前準備が出来たようです。
反応前、反応後を目視する事でいざ本番の時にやっぱムリ―とならないように。
ちなみにあのクソ野郎より大きくて固いです。
MAXコーヒーから始まる糖度MAXなこじらせ魔法使い達 琉水 魅希 @mikirun14
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