第38話クラス対抗戦14



 「たしか、あなたはティナ先輩ですよね。」


 「はい、そうです。」


 「ハンデの内容は、そのままでいいですか?」


 「そうですね、剣を使って戦ってもらえますか?」


 なんで、剣を使わせようとするんだ? 俺を強くして、意味があるのか?


 「なんでですか?」


 「レクスさんにとっては、よくわからないでしょうね。これ以上、相手を強くして、意味があるのかと。」


 「そうですね。」


 「理由は簡単ですよ。今のを見て、素手でも勝てないと、思ったので、剣を使ったあなたに、どれだけできるのかを、知りたいからです。」


 自分の力が、どこまで通用するのか、か。すぐ終わらせるのは、だっめってことだろ。なら、すべて躱すか、受けきるだけだな。


 「いいですよ。」


 「剣は、こちらで用意しますね。」


 「必要ないですよ。今だけ、魔法を使わせてもらいますけど、いいですね?」


 「そうですか。なら、使ってもらってもいいですよ。」


 「なら、遠慮なく。《クリエイト・アイスソード》」


 そういって、レクスは魔法を使い、氷で出来た剣を作り出した。


 「けど、いいんですか? 魔法で作った剣は、一般的の剣に比べて、脆かったはずですけど。」


 「そこは、魔力で覆って、強度を高くしてるので、剣で撃ち合っても、大丈夫ですよ。」


 「なら、行かせてもらいますね。《ファイヤーランス》」


 魔法を使って、目潰しか。避けても爆発して、剣で受けたら目潰し。悪くはない作戦だが、それは普通のあいてだったらの話だ。


 避けても、受けてもダメなら、斬ればいい。


 「魔法を斬った? そんなことが、できるんですね。」


 「慣れれば、誰でも出来ますよ。」


 「そうですか。なら、これならどうですか?」


 次は、魔法を撃ちながらの接近戦か。今度は、魔法を斬ったら、そこを追撃、もしくは避けた所を追撃。ちゃんと、考えて動いてるな。


 レクスは、魔法をバックステップで躱して、追撃してきたところを、全て剣で捌くか、避けきる。何回か撃ち合って、両者とも相手から距離をとった。


 「やっぱり、全然攻撃が当たらないですね。」


 「こんなの、まだ序の口ですよ。訓練すれば、誰だって出来ますよ。」


 「それは是非とも、受けてみたいですね。」


 「いつでも出来ますよ。死にかけるだけですから。」


 「えっ?」


 「えっ?」


 「今、なんて言いましたか?」


 「えーと、いつでも出来ますよ、と。」


 「その後です。」


 「死にかけるだけで出来ますよって、言いましたよ。」


 「死にかけないと、ダメなんですか?」


 「人間、死にかければ大抵、なんでも出来ますからね。」


 「そ、それ以外には、ないんですか?」


 死にかける方が、簡単で早く出来るようになるんだけどな。それに、レベルも上がるし、一石二鳥なんだけどな。


 「そうですね。例えば、何回も戦って、感覚を磨くとか、勘を鋭くするとかじゃないですか。」


 「なら、地道にやっていきます。」


 「そうですか。今度は、こっちから行きますよ。」


 レクスは、そう言って突っ立った状態から、一気にティナよりも速い速度を出して突っ込んだ。


 ティナは、何とか反応出来たが、レクスの速さに圧倒されながらも、反応し続けたが、さすがに何十回と撃ち合っているせいか、動きが鈍くなり、やがて剣を握っている手が、緩くなった。


 それをレクスは、逃がさなかった。すかさず、ティナの持っている剣を、弾き飛ばすと、足払いをして、地面に押し倒して、剣先を首に突きつける。


 「これで、勝ちですよね。」


 「そ、そうですね。それでなんですが、どいて頂けないでしょうか? この体制は、さすがに。」


 レクスは、戦っている最中だったから、気にも止めなかったが、レクスがティナの服を掴み、押し倒している状態だ。


 もちろん、レクスはティナが、頭を打たないように、服を掴んだだけだが、傍から見たら、男が女の子を押し倒している様にしか見えない。剣を持っていなければ。


 さすがに、レクスも気まずかったのか、無言で退いた。


 この後、レクスは学園中に、クラス対抗戦で、女の先輩を押し倒した人と、呼ばれることになった。


 「レクス君、さすがに女の子を押し倒すのは、どうかと思いますよ。」


 アイシャは、笑顔でそんなことを言っているが、雰囲気のせいか、笑っているように見えない。


 「すいません。今後、気をつけます。」


 レクスも、そんな雰囲気を感じ取って、言い訳するのは、やばいと思って、素直に謝った。


 「分かればよろしい。」


 「それで、もうそろそろ、時間なので、降参してくれませんか? まだ、やると言うなら、4人まとめて相手しますけど。」


 「そうね、みんなはどうする?」


 そんなことを、残りの3人に聞くと、3人とも首を横に振る。


 男子は、勝てないと思ったから、女子は、いまさっきのことを、まじかで見ていたせいか、拒否をする。


 「わかりました。なら、降参します。」



《3年生Sクラスの降参を確認しました。》


《よってこの試合は、1年生Sクラスの勝ちとします。》



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

大切な人のために戦う異世界活動記〜自分のスペックとスキルの掛け合わせがチートだった〜 @yamanara

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ