第37話クラス対抗戦14



 「みんな、一斉に魔法を、打ち込んで。」


 へぇー、全員が全員、中級魔法を連発できるんだな。なかなか、強いんじゃないか。けどまぁ、威力が全然足りてないな。


 連発することに、意識が向きすぎてて、1つ1つの威力が下がっている感じだな。威力が下がるくらいなら、連発出来ずとも、交互に打って早さを補えばいいことだろ。


 やっぱり、そこら辺がまだ、子どもってことだな。俺が言えたことじゃないけど。


 このまま、ずっと中級魔法を打ち続けていると、そのうち魔力切れを起こして、援護が出来ない状態になるぞ。


 魔力切れになるまで、暇になったな。相手の魔法が途切れたら、反撃するために、魔法陣でも描いて、準備でもしておくか。




 さてと、そろそろ魔力切れを、起こす頃合かな。5、4、3、2、1 


 「魔法陣展開、発射。」


 「あがっ」「きゃぁぁっ」「グボラ」「うぐっ」


 おっ、なんか1人変ななき方したな。どうでもいいんだけど。


 「さて、結果はこの通り、無傷ですよ。」


 「やっぱり、そうなりましたか。これが、効かないとなると、もう打つ手がないですね。」


 「なら、潔く負けを認めてくれるんですか?」


 「それは、ちょっと無理ですね。ハンデとか貰えませんか?」


 「ハンデ? 例えば、どう言ったハンデですか?」


 「そうですね。魔法を使用禁止でどうですか?」


 魔法禁止か。やってもいいけど、なんの意味があるんだ? 魔法禁止でも、負けることは、わかっているだろうに。


 「身体強化は、使っていいんですか?」


 「えぇ、どうぞ使ってください。けど、いいんですか?」


 「大丈夫ですよ。結果は、変わらないんですから。」


 「あのぉ、レクスさん? でしたっけ、剣を使わなくて、素手で戦うつもりなんですか? 前見た時は、剣を使ってましたけど。」


 「あぁ、その事ですか。あの時は、ちょっと怒っていてですね、無駄に剣を抜いてしまったんですよ。それに、今剣を持ってないですから。」


 「そ、そうなんですか。」


 「ですから、お気ずかい無く、6人でかかって来てぐたさい。」


 「なぁ、さっきから聞いていれば、なんだ? 挑発か? ふざけるなよ。」


 あぁーあ、また出たよ。年上を敬えとか、調子に乗りすぎだとか、力の差を理解できないやつだわ、これ。


 「確かに、お前は強い。」


 あっ、違ったわ。


 「魔法に関しては、3年生の俺たちよりも、強い。けどな、魔法使いくせに、近距離戦で勝てると思うなよ。」


 まぁ、力の差を、理解できてないのは、合ってな。


 「なら、試してみたらどうですか? 喋ってても、分からないでしょ。」


 「あぁ、言われなくても、そうするよっ。」


 真っ直ぐ、突進してきてはいるが、まぁ、他の3年生よりは、剣の扱い方は、飛び抜けてるな。


 ちゃんと、剣に緩急をつけて、太刀筋を、読まれないように、しているし、スムーズに動けてもいるな。


 けどまぁ、足りないな。そのくらいじゃあ、俺には届かないな。


 型を忠実に、再現はしているから、努力はしているんだろうな。一応、フェイントも混ざっているから。


 でも、再現することに、重きを置いているのか、せっかくの緩急も、意味が無くなってしまっているな。


 「もうちょっと、自由に剣を振ってみたらどうですか?」


 さすがに、剣を振りながら、返答はできないのか。

なら、


 剣を振り下ろす瞬間に、相手の懐に入って、鳩尾に1発。「あがっ」からの、回し蹴りっと。「ぐっ」


 「ゲホッゲホッ」


 さすがに、強く蹴りすぎたか?


 「大丈夫ですか?」


 「余裕ッそうだな。」


 「だって、返答してくれなかったですから、話せるように、距離をとっただけですよ。」


 「はぁはぁ、距離のとり方が、独特だな。普通は、自分が下がって、距離をとるんだけどな。」


 「そうなことより、わかりましたか? 力の差ってやつを。」


 「はぁ、あぁ、嫌って言うほど、今のでわかったよ。近距離でも、お前には勝てないな。」


 「わかってくれましたか。それに、俺って魔法も得意ですけど、どちらかと言うと、剣の方が強いですから。」


 「なっ、あれだけ、さっき一気に魔法を打ったのに、魔法よりも、剣の方が得意なのか。」


 「あっ、言っておきますけど、さっきのは、魔法陣ですからね。」


 「あれが、魔法ではなく、魔法陣だとでも言うのか!」


 「そうですよ。魔法よりも、剣の方が得意で、剣よりも、魔法陣の方が得意ですから。」


 「はっ、それじゃあ、3年生は、何ひとつとして、1年生のお前に、勝てるものが、なかったのか。」


 「そういうことになりますね。もう一度、言っておきますね。型に囚われず、1度自由に剣を振ってみたらどうですか? そして、さようならっと」


 そう言いながら、レクスは魔法を打ったのだった。


 「さてと、あと5人ですね。1人ずつ来ますか? それとも、残り全員出来ますか? どっちにしますか?」


 「「「くっ」」」


 「会長、ここは私が1人で、行ってもいいですか?」


 「ティナが、行くの?」


 「はい、私の力が、どこまで通用するのか、やってみたくなったので。」


 「そう。なら、全力を出してくるといいわ。」


 今度は、この人か。

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