069話 脱出大作戦

外から聞こえた懐かしい声に希望をいだきながらも、私達は私達で、一刻も早くここから脱出するべく、次の作戦を話し合っていた。


やっと落ち着いた胃の中に、アイリーンの声が響いた。

「アルテミスを連射して、竜のおなかに風穴かざあなを空けてやるわ!」


いや、待て待て!

今にも弓を引きそうなアイリーンの勢いに、焦りを覚える。

「ちょっとまって!」

「ダメです。外に仲間がいます。そして、アイリーンさんの攻撃は、強すぎます!強すぎて、仲間ごと射抜いてしまいます。…アイリーンさんが、あまりに強すぎるのです!」


私とヒュウガの意見が一致する。

そして、ヒュウガのアイリーンをコントロールする上手さに脱帽する。


暗闇で表情が見えないのだが、何故かアイリーンがにやけながら喋っている姿が、まる見えだ。

「強すぎかぁ…強すぎねぇ……まぁ、ならしょうがないね!」


確かにあのアルテミスの攻撃力はヤバかった。

私は、ナル、イマリと冒険した砂が舞う荒野をしばらく思い出していた。


…次に浮かんだのは、まな板の上の魚だ。

私は魚を捌いたことは、ないのだけど。

なぜか、魚を捌いている映像を思い浮かべて、こう発言していた。

「地道にアマテラスで斬り裂いて行くのも、中々時間が掛かりそうね」


それを聴いて、ヒュウガが喋りながら、立ち上がった。

正確には、ヒュウガの声が、上に移動しながら発せられた。

「では私のノアの杖で、ブンブンと血肉を消滅させます!そうやって、外を目指しましょう!」

「いいねぇ」

アイリーン!いいねぇじゃない!


私は、ヒュウガに少し待つよう言おうとした。

「でも、ちょっ……」

「えいっ!」


"……スッ"


いや、いきなりすぎるから!


『!!ウガァァァ!!』

リヴァイが叫んだ。


そりゃ、そうだろう。

痛いでしょうよ。


問題は、このあと……。



続いて、再開された暗闇重力のシャッフル!


予測出来ない重力の動きに、私は身体を任せるしかなかった……。



「……急に……でよ!…………の!?」

外の、あの子が、何か言っている。


ごめん。

もうすぐ出るから、待ってて!


私は、再びヒュウガの胸に顔をうずめながら、胃の中のアトラクションを強制させられるのであった。

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