041話 ショコラの憂い

「…スゥ……ハァ……スゥ……」


それは、どこにでも居そうな、十七歳少女の寝顔だ。


私はナルを治癒しながら、その幼い顔を眺めて、うれいていた。


ナルやイマリなどの『巫女』


彼女達に課せられた『宿命』


『世界の改変』を巡る『神々の思惑』


神の代行者…『執行者』


なぜ、『殺し合う』のか?


殺した巫女は、『悪』だったのか?


私達が、『正義』なのか?


私達は…一体、なにを…

させられて……いるのか…?



巫女という存在が無い世界。

それは、神がいない世界。

こんなにも残酷な宿命が無い世界。


もし、そんな世界があったなら


彼女たちは……



"カァーーン…ゴォーーン…"


"カァーーン…ゴォーーン…"



鐘塔しょうとうの鐘が鳴り響いた。



"カァーーン…ゴォーーン…"


"カァーーン…ゴォーーン…"



「う、う~ん…お腹いっぱい…むにゃむにゃ」


ふふふ…この子は……もう…。


ナルは巫女という立場を、どう受け入れているのだろうか…?


うれいても、しょうがないか。


「…ナル、起きて…終わったよ…」


「…イマリ…それ…わたしのぉ……」



…もう少しだけ、休ませよ……。

……いいよね?

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