038話 アマテラス v.s ガラハド

「おらぁぁぁああ!」

《アマテラス》を弾いた巨大な盾は、雄叫びを上げナルへと加速した。


"ドゴッ!!"


弾かれた《アマテラス》は防御に間に合わず。


ナルは巨大な盾の突進をまともに食らい、入口の大きな扉まで吹き飛ばされ、背を強く打ち付けた。


巨大な盾による突進を終えたバロックは、ナルを見て賛辞を送る。

「さすがは巫女……この程度ならノーダメージ…ということですか」


「やるじゃないっ!」

ナルは立ち上がっていた。


そしてその表情は、どこか楽しそうだ…。


バロックも楽しそうに叫んだ。

「よろしい!…ならば、何度でも我が盾 《ガラハド》の餌食になるがいいっ!!」


二つの笑顔は、ほぼ同時に動いた。


「おりゃぁぁああ!」

ナルは、突進しつつ《アマテラス》による突きを繰り出した。


バロックは、教会入口という狭い空間から、ナルの次の一手を、突きと読んでいたようだ。


バロックは後ろへ大きくステップし、ナルの突きをかわした。


「…なに!?」

後方に着地したバロックは、目を見開いた。


ナルの突きは止まらず、バロックの頭へと加速する。


《アマテラス》の剣先は、すでにバロックの目前まで迫っていた。


"ガキィーーン"


ぶつかり合う金属音を合図に、列を成していた木製の長椅子は、まるで弾丸を受けたかのように、瞬く間に破壊、倒壊していった。


長椅子を15列ほど破壊したその先にバロックは《ガラハド》を掲げ立っていた。


バロックの目線は、木片が舞い散る宙へと移る。


そこには、長椅子を足場に跳ねたナルがいた。


《アマテラス》は宙から振り下ろされる。


ナルは宙で叫び。

「おりゃぁぁあ!」


「おおぉぉお!!」

バロックは地で叫んだ。


"ガキィーーン"

再び、金属音が大聖堂に響き…

再び、長椅子の列は倒壊した。


再び、長椅子を破壊したバロックの視線は…ナルを見失う。



大聖堂に舞う木片は、ステンドグラスの光に色彩りを与えられ、二人の空間に華を添える。



ナルはバロックの背後にいた。


《アマテラス》の刃は、綺麗な弧を描きながらバロックの腰に吸い込まれる。


《ガラハド》の鉄壁は、ついに破られた。


《アマテラス》はあっさりと、バロックの身体と鎧を両断する。


"ガランッカラン…カララン…"


《ガラハド》は、地に落ち


バロックは、崩れ落ちた。



ナルは《アマテラス》を一振ひとふりし、付着した血を払う。


「……ふぅ」

天井を見上げ、一息つくナル。


そして、光り輝くステンドグラスを背に、ナルは祭壇へ歩み出した。



"ザシュッ"


「……え?」

ナルを追おうとした私は、目を疑った。


両断されたバロックが立ち上がり

ナルの腹部を

片手剣で刺し貫いていた。

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