034話 リスタート

私は、スノウス海流に落ちては消えていく雪を眺めていた。


今日のスノウスは大雪。

風も強くて寒い…。


私は冷静に今まで起きた物事を振り返り、いくつか仮説を立ててみる。


私達、巫女はオーブを集めている。

オーブは全部で七つ。

最近まで私達が五つ、そして、恐らくカメリア教団に一つか、二つ。

カメリア教団が一つだった場合は、残る一つの砦と巫女が存在し、そこに一つ。


そして、今は…

オーブ、0個保持、ナルと私

オーブ、5個保持、イマリ

オーブ、1or2保持、カメリア教団

オーブ、1or0保持、最後の巫女


…………イマリ…。


イマリの虚ろな瞳……。


…もし、イマリが……。


えっ!?

これは……大変な…。


仮にイマリが、カメリア教団に何らかの手で操られているとしたら、カメリア教団は最低で六つ、最大だと七つ……。

カメリア教団は…七つ集め終わる…。


仮にイマリが、最後の巫女の手で、操られているとしたら…。

カメリア教団一つ。

最後の巫女とイマリが六つ。


最後に、イマリが単独で動いていた場合。

イマリは必ず、カメリア教団のオーブを奪いに現れる。



どのパターンでも、イマリは

カメリア教団に現れる……。


…私達の進む道が見えてきた。

しかも、急がなければならない道。



……雪が…止んだ…?


ううん、違う…。

着物姿の少女が、傘を差してくれている影が丸見えだよ…。


その影が言った。

「ショコラ、ごめんなさい!」


「ううん、私こそ、ごめん……」

私はスノウス海流を見ながら言った。


「私はひどいことを言った、イマリにもショコラにも…ごめんなさい」


「ナル…あなたは白銀の世界で、イマリを必死に探してた。夜中に何度も野営を出てイマリを探してたのも知ってるよ。まともに寝てないでしょ?食糧が無くなっても最後まで諦めようとはしなかった」

私はナルでは無く、スノウス海流に話しかける。


半分は自分自身に言い聞かせるために。

「そんなあなたが本気で、そんなこと言うなんて、あり得ないでしょ!?」

「なにより、あなた達二人を一番近くで見てきた私は、あなた達の確固たる絆を良く知ってる…まぶしくてうらやましかったくらいなんだから」


私はナルに振り返った。

「イマリが居なくなって、ずっと頑張ってたね…疲れてたよね…ごめんね」


「私はナルの気持ちを、もっと考えなければ、ならなかった…本当にごめんなさい」


泣き腫らしたナルの目から、また涙が流れる。

「ショコラごめんなさい」



―― 私達は、お互いの涙が枯れるのを待った


「ナル、イマリに逢える可能性があるわ」


「本当に!?何処なの?

イマリのためなら、どこへでも行くわ」


私は仮説を、説明した。


「ナル、私達は一刻も早く、カメリア教団の総本山、オリゴに行かなければならない!」


「うん!絶対救い出すよ、イマリ!!」

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