033話 バラバラな三人
あれから私達は、必死でイマリを探した。
名も無き村に戻り、村を
野営ポイントを中心に、白銀の世界を探し回ったけれど、イマリはいなかった。
そうして、日は無情に過ぎ
…遂に食糧が尽きた。
私達は、イマリの
―― スノウス 宿屋
「イマリのことだから、やっぱり何か策があっての行動…なんだよね?」
ナルがコーヒーを二つ置き、イスに座りながら聞いてきた。
ナル自身が解っているはずだ。
その質問は、ズルいと。
その質問は、ナルの希望でしかないと。
「……たぶん…違うわ」
イマリの策とは考えられない。…が、私にも良く分からない…。
たぶんで保険を掛けてしまった。
小さな希望を否定されたナルは、
「じゃあ何!?イマリが裏切ったとでも言うの!?」
裏切りと言う言葉が、ただただ悲しかった。
それだけは、聞きたくなかったよ…。
私は怒鳴った。
「違う!!そうじゃないっ!!
そんなわけ、ないでしょっ!!
ナルっ!!
自分が何を言ったのか解ってるのっ!!?」
涙が自然と
ナルは、下を向いて
「………じゃあ…なんなのよ…?」
ナルの頬を、涙が伝っている。
「……」
私は何も言えなかった。
私は無力だ…
だけどね、ナル…
どんなに不安だろうと、
どんなに困惑してようと
イマリが、裏切ったなんて
言っちゃダメだよ……。
「…ごめんなさい…ナル。私にも解らないことは、あるわ…」
私は、一人になりたかった。
部屋の出口へと向かう。
「……ごめんなさい……ショコラ
……ごめんなさい……イマリ……」
二つのコーヒーが湯気を上げる部屋で
ナルは、泣き崩れていた。
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