018話 風の破壊、土の破壊

再び対峙した四人の間を過熱した身体を冷ますかのように暴風が吹き抜ける。


四人は、しばらく、その風に髪をなびかせていた。


ナルとイマリが唐突に動く。


二つの《漆黒しっこく手裏剣しゅりけん》がアースに向かって投擲とうてきされた。


それは、眉間と心臓に的確に向かっている。


その《漆黒しっこく手裏剣しゅりけん》を追い、赤い迅雷が地を這う。


"キンッ、カン!"


アースは《サタン》を下ろし《漆黒しっこく手裏剣しゅりけん》を受けた。


"ガキィン!"


続いて水平に地を這ってきた《アマテラス》の刃に、そのまま《サタン》を叩き付け、地面に埋没させた…。


「…月夜魔ツキヨマ

続く空からの猛襲、《漆黒しっこくのカタル》がアースの頭上から叩き付けられる。


「ぉぉぉおお!」

叫びながら、アースはなんと、右腕を振り上げた。


《サタン》では間に合わないと、即座に判断したのだろう。


"ザシュ!"


漆黒しっこくのカタル》はアースの右腕に強引に払われながらも、その右腕の筋肉を縦に切り裂いた。


イマリとアースの間に赤い飛沫が舞う。


イマリは右腕に払われ、アースの後方に吹き飛ばされたが、直ぐ様、間合いを詰める。


ナルは《アマテラス》を地面から引き抜き、そのまま、突きをアースの腹部へ繰り出した。


予備動作がない早い攻撃だ。


アースは《サタン》を左手で掴み上げつつ、《アマテラス》の突きは、またも右腕で払った。


舞う血飛沫。


《アマテラス》の突きはアースの右腕の筋肉を横に裂いて終わる。


「おおぉぉおお!」

アースは叫びながらも、その顔は笑っていた。


アースは血まみれの右腕を後方に振り下ろし、左手の《サタン》を前方に振り回した。


後方にはイマリ。

前方にはナルだ。


後方のイマリは、血まみれの右腕に再び、《漆黒しっこくのカタル》の刃を止められ、払われる。


アースに朱を散らして吹き飛ぶイマリ。


ナルの耳には、空気が圧縮され巨大な塊が迫る音は聞こえただろうか…。


突き出した《アマテラス》は、間に合いそうになく…。


「ドス、トスッ」

「ドゴォォンッ!!」


血まみれになった右腕に吹き飛ばされつつ、空中で《漆黒しっこく手裏剣しゅりけん》を投擲とうてきし、アースの左腕に命中させたイマリ。


しかし、すでにかなりの勢いが付いていた《サタン》はナルの右肩を捉えた。


嫌な打撃音を残し、ナルは猛烈な速度で、吹き飛ばされた。


「ナルッ!!動いてッ!!!ナル!!止まってはダメ!!!」

吹き飛ばされ、地を滑るイマリが叫んだ。


イマリからナルは、まだ見えていないだろう…。


ナルは吹き飛ばされ

地に伏せている。



その時だった…。


《アルテミス》の銀の閃光は


イマリの目の前を通過…


ナルへ射抜かれた。

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