海を漂い集まったゴミを遺伝子組み替えの海苔のような植物を使用し塊にしてそれを集め1つの大陸、ぬかるんだ大草原を出現させる。
やがて人が集まりその大地で生きていく人々は国を造り出す。
冒頭を読むと最新技術を使った新たな大地の誕生に心踊らせていました。
だが人が住むと起こる問題、貧困や格差。労働問題からその環境、住民の健康問題など現実を突きつけられます。
ただこの大陸に住む人は決して裕福な暮らしでなくても日々に感謝して、環境の変化に一喜一憂するし、自然の脅威にも精一杯立ち向かって生きていきます。
人間はどんな環境でも生きていけるのではないだろうかと思わされました。
この儚くもあり明るくもあるこの世界感、淡いセピア色とでも表現すればいいのでしょうか? この空気感を味わって欲しいです。
ゴミでつくられた大陸、まるで東京の夢の島を想わせる設定ですが、こちらは大陸でありちゃんと人が住んでいるし、彼等は彼等なりに「自然を愛する心」を抱いて毎日を生きているのです。
そう、この作品には人生を愛するココロがあります。
物を食べれば、美味しいと思うだけなく食材の育った環境を想い…それを育ててくれた人、届けてくれた人、調理した人(おっとそれは主人公でした)に感謝する。
ゴミの大陸だって花を見れば美しいし、馴染みの風車が撤去される事になればそれを悲しく思うのは当たり前なのです。
そこはゴミの大陸、だけどそこで生きている人は優しく美しい。
心温まりたい、優しい作品をお探しの貴方へ、おススメです!