リセット

@rurukari

第1話 人生リセットしませんか?

「好きな人ができたので、別れてください」

「・・・・」

今、彼女に振られました。

背を向けて去っていく彼女を見ている俺。

彼女は一度も振り返らなかった。

12月の聖夜、俺は彼女に振られたのだ。

白い雪がさんさんと降る中、涙も出なかった。

彼女の姿が見えなくなると、俺も振り返り家路へと歩き始めた。


次の日。

スマホのメール受信音で目が覚める。

内容は迷惑メールのようだ。

「・・・人生リセットしませんか・・」

ふざけた内容だ。できるもんならしてみたいな。

くだらないと思いつつも、昨日の件もあり、興味本位で読み進めてみた。


【人生リセットについて】

あなたは、人生リセットの対象者に当選致しました。

つきましては、下記内容をご一読の上、了承頂いたのち人生リセットを実行してください。

人生リセットについての詳細は下記を参照ください。


①人生リセットにより、あなたのパラメーターを好きな能力に振り分けなおします。

②パラメーター変更に伴う能力・容姿等の変化につきましては、周りの方々に違和感を与える事はありません。

(最初から、あなたがそうであったという認識になります)

③パラメーターの上限は、どなた様も100となります。

 (100以上になる事は特例を除き御座いません)

④今までの記憶については、現状を維持させて頂きます。

⑤以上をご承諾頂けるのあれば、引き続きパラメーター設定にお進みください。



「これは・・・」

新手の出会い系サイトかなんかなのか?

まあ、面白そうだし、少し乗っかってやるか。

まずは、現在の自分のパラメーター確認。

「なになに、基本能力はけっこうあるんだな」

運動能力、学力、コミュニケーション能力、魅力、運等、かなりの量がある。

「俺の現在の能力はっと・・どれも平均くらい少し下くらいか。」

まあ、そんなもんだろうな。当たり障りなく生きてきたもんな。

「ん?なんだ、特殊能力?」

自分の特殊能力に絶句した。

【特殊能力:クリスマス前に恋人に振られる】

「なんだこれ・・・」

まてよ。自分の記憶を思い返す。

そういえば、クリスマスを彼女と過ごした事ないような・・・。

「なんか、特殊能力の下に注意書きが」

【特殊能力:クリスマス前に恋人に振られる】

【※恋人と甘い聖夜を過ごすなんて甘い考えは捨ててください。

夢を見るだけなら構いませんが、見るだけ無駄です(笑)】

「・・・・」

「ふざけやがって!!」

俺は携帯を投げ捨てた。

そのまま布団を被り、人生リセットの事なんか、忘れてしまった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

リセット @rurukari

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る