第3話 入学式編 中編
『清水 杏心』
絶対に出逢いたくなかった女の子ランキング指折りに入るレベル。
まぁ聞いてくれ。
彼女は俺と同じ中学校で二年生の秋に転校した。そっからは疎遠と言う形だった。
元々縁とかあったのかすら怪しい。
先に言っとくとめっちゃくちゃ可愛い!だっておっぱい大っきいし?顔立ちも可愛く銀髪ショートカット、身長も高過ぎず低過ぎず……
彼女に告白した男性陣は数知れない、一体どれだけの死体の山を積み重ねれば気が済むのだろうかと思ってしまうくらい。
告ってきた男子全員見事をヘッドスイング200キロオーバーで打ち返すかなりのモテ子ちゃんである。
因みに俺は告ったことなどない。ぶっちゃけ告れない!
彼女のお陰で俺は中学時代男子友達もめちゃめちゃ少なかった。何なら女子友達は皆無である。
何故俺の男子友達が少ないのと彼女が関係あるかって?
それは天より高く銀河より広い理由があるのさ
「火神君?」
「先を急ぐぞ」
「?」
俺は田畑の手を握ったまま教室を目指した。すると、一番聞きたくなかった声が投げかけられる。
「新託君、だよね?」
「気のせいです……」
「嘘、待って!」
俺は足を止める、だが絶対に振り向かない。今振り向いたらあらゆる全てが終わる事が分かっているからだ。
「嘘、嘘嘘嘘!信じられない!!」
「火神君、この人知り合い?」
「気のせいです。」
「嘘、今そっちの子ははっきりと『火神君』って言ったもん!」
「っ……!」
「面倒だから早く白状してくれないかしら?」
やや田畑もイラつき始めたので俺も最後の手段に出る。
ダッ!
ガシッ
「逃げるなんて失礼じゃないのかしら……」
「で、ですよねー」
「えっと……新託君?」
ゆっくり振り返るとそこには以前見た時より大人っぽくなった彼女の姿がそこにはあった。
「よ、よお。久しぶりだな」
「新託君だぁ!」
清水 杏心は俺が本人であると確認するなりダッシュで接近してくる。
あれ、減速は?
ちょっと待て……
待て!
待て待て待て!!
「新託君〜ん♡!!」「あ、死んだ」
気付いた時には既に体は地面と離れていて両脇をホールドされていた。
背中から着地(失敗)した俺は激しい吐気に襲われ若干視界もレッドアウトしていた。
「ぐはぁっ!!」
なんて懐かしい痛みなのかしら。久々に脊髄ダメになる所だったわ
「だ、大丈夫?!」
「ごめんなさい。私唐突過ぎて何も理解出来ないのだけれど」
「……」
そう、清水 杏心は俺に尋常ではない好意を抱いている。これはペテルギウもびっくりするクオリティ……魔女教大罪司教『狂愛』とでも名付けるべきか。
「お前。取り敢えず離れてくんね?」
「ごめんごめん!」
「まず、どうしてお前は毎度毎度……」
駄目だ、頭が回らん。脳が震えてるわ…… リ○ロネタ使い過ぎたか
「また会えるなんて嬉しい♥」
うん、聞いちゃいねぇ
どうして彼女が俺にだけこれ程なまでに好意を持っているのかは未だに誰にも分からん。
その為、俺は彼女に会う度毎回理不尽な暴力を受けている。
でも可愛いなちきしょー!
「まさかまた同じ学校になるとはな」
「うふふ、運命の悪戯だね♪」
悪戯なんて可愛いもんじゃないんですよね(笑)
笑えねー
「一つ言っておくが会う度毎回抱きついて来るの辞めてくれ」
「えっ?!」
えっ?!っじゃないんすけどぉぉ?
察しのいい人なら薄々気付いているかもしれない。何故俺に男子友達が少なかったか…それは
「んだよアイツ…見せ付けやがって」
「女の子可愛すぎじゃね?」
「なんであんな奴ばっかり……」
ほれ見たことか。
「感動の再開みたいだし私は先に教室に行っているわね」
そう言うなり田畑は真っ直ぐ歩いて教室へ向かった。
今そのシチュエーションは一番いらん!!
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・
『黒歴史解放』
公開リア充(理不尽)
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・
早速黒くなり始めた新生活であった…
「くそったれぇぇぇぇぇ!!」
〈続く〉と良いね♥
もうラブコメなんて求めない とら @taitaro
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