ブレイクタイムの喧騒
高城ゆず
キノコは山であるべき
とある夏休みに起きた事件──と呼ぶには非常にくだらない話だ。
ある日私は学校で勉強の合間にお菓子を食べていた。それはチョコレートとクッキーが一つになった、キノコの形を模したものだった。
私はこのお菓子をこよなく愛しており、スーパーやコンビニに寄っては頻繁に購入していた。
ちなみに──タケノコの形を模したほうのお菓子はあまり好きではない。なぜならチョコレートとクッキーの部分が一緒になっているからだ。
キノコの形を模したお菓子を一つ手に取り、口に運ぶ。
──私の食べ方は一味違う。
まずはチョコレートで作られた傘の部分を丁寧に食べるのだ。この時、クッキーの柄の部分を傷つけないように食べるのがコツである。そして綺麗にチョコレートを剥がし終えると、一度お茶を飲んで口の中の甘みを消す。それからようやくクッキーを食べるのだ。
──いや、食べ方などどうでもよかった。本題について語ろう。
そのように食べている私を見た友人が、
「高城ちゃんってタケノコの山派なんだね」
と言ったのだ。
タケノコの山だぞ、タケノコの山。そのような発言をするなど正気の沙汰ではない。
私は今すぐにでもこの友人の臀部をペチペチ(叩くこと)してやろうかと思ったが、善良な方の自分が実行しないように羽交い締めをしてくるから、どうにか思い留まることができた。
「……あなたは疲れているのか?」
私は友人の発言がただの言い間違いだと願って訊ねると、
「疲れてないよ! 私はとっても元気! 高城ちゃんこそずっと勉強してるけど大丈夫?」
と即答されたから私は諦めた。
もういい、この人に関わるのはやめよう。
後日、タケノコの山発言について訊ねると友人は、
「そんなこと言ったっけ?」
と首を傾げるばかりだったから私はまたしても諦めることとなった。
そしてこの人に関わるのはやめようと再び誓うのであった。
ブレイクタイムの喧騒 高城ゆず @Lyudmila
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
電卓の神様/高城ゆず
★8 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
をぐらのさうし最新/小椋夏己
★30 エッセイ・ノンフィクション 連載中 29話
種田山頭火のおいしい日記最新/@evans3
★1 エッセイ・ノンフィクション 連載中 23話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます