7.魔物狩り

長老ことアイズおじいちゃんと話した数日後俺は庭に出ていた。7歳になったおかげかこのころになるとだいぶ弓も弾けるようになってきた。俺はあの日初めて的に弓を撃った時からずっと練習をしている。あの日よりも前から家にはおもちゃの弓矢があったがあれとはやはり本物の弓というのもあって感触が違ったのだ。


そして今日はついに初めて魔物を狩りに行ける日なのだ。魔物の存在こそ知っているものの俺はまだ実際に魔物を狩ったことが無い。例え最弱の魔物だとしても俺には危険だと判断されていたからだ。とは言え今日でそれからはおさらばだ。


「じゃあ、魔物を狩るときの注意だ。まずは、一匹魔物を見つけたらその周囲にほかの魔物がいないか確認しろ。」


これは単純に魔物を見つけたと思ったらいつの間にか囲まれていたという最悪の状況を防ぐためのものだろう。


「次に魔物を狩ったらすぐに素材を回収してその場所から離れることだ。これは、ほかの魔物が近づいてくるためだ。」


魔物を倒した時に出る血の匂いがほかの魔物を呼び寄せることが多いらしい。そのため素早く魔物の死体から離れることが大事なようだ。


「そして最も大事なのは、魔力の無駄遣いを防ぐことだ。」


俺もレイも結構魔力に余裕がある。これから成長もするのでますます増えていくことだろう。だが基本的に魔物との戦いは基本的に遭遇戦でいつ会うかわからないことが多い。そのために魔力の温存は撤退するためにも継戦するためにも重要だ。


「まぁ、俺が後ろから見守ってやるからまずは二人でやってみなさい。」


「「うんっ。」」


こうして俺たちは最強の護衛(父親)を引き連れて近所の森へと向かう。


◇◇◇


「それじゃあ、俺が魔法で魔物を探すからレイは周囲を警戒してて。」


「まかせてっ。」


「《探索ソナー》。」


俺が使ったのは、周囲の音を増幅させる魔法。これを使うことで遠くの小さな音も聞き逃すことが無い。


「あっちだ。」


音のした方向へと慎重に向かう。後ろの方からも小さな足音が聞こえてくるがこれは父さんだろう。まじで魔法を使っているのに全然音が聞こえない。俺の父さん何者だよ・・・。


父さんの万能性に対してあきれていると音の正体が見えてくる。


「ゴブリンだね。」


「うん。」


見えたのは、ファンタジーの代表ゴブリンだ。だがその見た目はとても醜悪で子供が見たら泣き出しそうになるほどだ。背がちっこく、性欲が強いのが特徴的で女を見つけると見境なしに襲ってきてははらませようとするらしい。女の天敵である。


「私がやるよ。」


「了解。」


ここからは、小声で話すようにする。話せない場合のことも考えて簡単なハンドサインもあらかじめ決めてある。と言っても突撃、撤退、回り込むの3つだけだが…。


「燃やせ。《火球ファイアーボール》」


「バカ!」


レイの放った魔法に思わず大声をあげてしまった。だがそれも無理はない。レイの放った火球がいともたやすくゴブリンを燃やし尽くす。それと同時に周囲の木に引火させた。


「あわわわわ。」


「もー。水球ウォーターボール


急いで作り出した水球で鎮火を試みた。幸い燃やし始めたばかりということですぐに火が消えた。


「ここは森でしょ。火の魔法はだめだよ。」


「…はい。」


流石に森林大火災になりそうだったのもあってか自分のやったことに対してかなりしょぼくれていた。まぁ、狐人族が火の魔法が得意なのことは知っていた。そのこともあって火の魔法が使いたくなったのだろう。最初に失敗を知っておけば次からの糧にできるので悪いことばかりではないと思う。


「次は俺の番だからな。」


弓を構えてそう宣言しておく。ちょうどまたゴブリンだった。とは言え俺の場合はかなり地味だ。なぜかというと――。


「よしっ。」


弓で陰からあっという間にゴブリンの喉を射抜いて終了だった。これが頭なら苦労した鴨田がのどは柔らかいので簡単に貫通した。やはり弓を練習し続けてきた成果か狙い通りの場所を射抜くことができた。


「解体を…ゔぇぇ。」


魔物には魔石と呼ばれるものがある。道具として使ったり、貴重な魔物の魔石はコレクションにしたりなどと様々な利用価値がある。今回の魔物狩りの練習もこの魔石を手に入れることが木曜だ。俺はゴブリンに近づいて解体して魔石をとろうとしたところで強烈な死臭が俺を苦しませる。


これには思わず解体ナイフを手放してしまう。


「フェイもだめだねぇ。私に任せなさい。」


俺に変わって例が解体ナイフでゴブリンの頭から魔石を取り出そうとする。何の抵抗もなく解体する彼女に俺は、純粋にすごいと思っていた。俺は、いまだにこの臭いがだめだ。それに加えて容赦なく脳へナイフを突き刺すあたりもたくましい。


「ほら早く離れるよ。」


「…そうだな。」


半ば方針仕掛けていた俺にレイは移動を促してきた。俺も急いでその場から離れるするとすぐにそこには新しい魔物が来ていた。魔物のちの効果の恐ろしさを知ったような気がした。


結局この日はそのまま俺たちは里へと帰った。俺もレイもまだまだ甘いということが知れたというのは大きい。それだけでも今日の経験は俺たちの成長に役に立つものとなるだろう。

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エルフの少年は凌駕したい〜勇者になんか負けたくない〜 七草 みらい @kensuke1017

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