第3話 教師ノート

私はそのノートに写っていた今日らしい人物を知っていた。


私の中学校の時の担任であり、今でも悩んでいたりすると相談する仲でもある野内先生だ。


このノートの写真に写っている野内先生は中学生の時と変わっていない。


トレードマークの丸メガネ、髪型はボサボサで野内先生以外にこんなボサボサの人物は見たことがない。


だからこそ、ここに写っている人物が野内先生と言うことがはっきりとわかる。


しかし今年出されたノートに写っているわけがない。


野内先生が中学校にいた時というのは、だいぶ前のことになるからだ。


私はなぜ写っているのか、そしてこのノートはなんなんだ?と疑問に思った。


そのため、表紙の名前を確認したが名前は書いていない。


〜僕らの最高の夏休み〜


やはりこれしか書いてない。


頭の中が整理できない。なぜ、なぜなのか?


なんで先生が写っている?


私は、確認をするため電話を手に取り、野内先生に電話をした。


「もしもし、私ですか。」


「おう、お前かどうした?

 またなんか相談か?今はあんまり難しいの

 はやめてくれよ。」


「先生、中学校の頃覚えていますか。」


「なんで急に。どうしたんだ?」


「今日私が夏休みのノートをチェックしていたんですが、そこの中に僕らの最高の夏休みと書か、、」


「な!なんだって!」


野内先生は私が話しているのに、驚いた声を上げた。


その声は焦っているような、怯えているようなそんな声だった。


「そのノートに名前は書いてあったか?」


焦った声で野内先生は聞いてくる。


「いいえ、書いてありませんでした。」


「そうか、すまんが今はその話はできない。

 今週の土曜日、俺の家に来てくれるか。」


「わかりま、、」


私が「わかりました」と言う前に電話は切られた。


私は野内先生があんなに焦っているのはみたことがない。


いや、一度だけある。


確か、中学校の最後あたり。野内先生はすごく焦っていたのは。


気になりはするが私は宿題のチェックをもう一度はじめた。




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絵日記は拾われる、僕の手の中に @koyamesi

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