水上都市リアノール
あれから1ヶ月
木々が生い茂る森の中。人が通るのであろう道の真ん中で二人の男女が武器を構えた者達に囲まれていた。
囲んでいるもの達は身なりが少し汚く、目が濁っている。俗に言う、外道にまで堕ちた盗賊と言うやつだろう。
「金目の物を全て置いていけば見逃してやるぜ!」
「女の方は俺達に奉仕してもらおうか。もちろん、下の方のもな!」
「「「グヘヘヘ!!!」」」
盗賊達の下劣な言動に水色の髪をした少女、アリシアが顔を歪める。まるで汚物を見るかのような嫌悪感を抱きながら。
「これだからグズは」
隣にいた黒髪の男。
「いや、俺はお前のその変わり様にびっくりなんだけど」
アリシアと出逢ってから1年近く、アリシアを見ていたが屋敷に住んでいるもの達にもこんな態度をしている所を見た事はなかった。
もちろん、この一月の旅の中でもだ。と言っても、この旅の間に盗賊にあったのは今回が初めてなのだが。
「僕はね。汚い事に手を染める奴が大っ嫌いなんだよ! 特に卑猥な汚い奴はとくに!」
「それは分からなくはないけど」
アリシアは嫌悪感をあらわにして、盗賊を睨みつける。そして透き通るような声で高圧的に言い放つ。
『ひれ伏せなさい! 』
「何を言っデェェ」
アリシアが言った直後、盗賊達全員、なにかに押し潰されるように地面に押し潰される。
「何だこれ? 体が」
「クソ、何をした!」
「潰れる。潰れちゃう」
その場に立っているのがアリシアと学の二人だけになる。それ以外の者達は地面に押し潰されうめき声を上げている。
学はため息を吐くと同時に足下の影を伸ばし盗賊達を影で拘束する。そして影で締め上げ無理矢理気絶させる。その際に、骨が折れたのか甲高い音が鳴る。
「学君も遠慮がないよね。さすが僕の......」
後半は何を言っているか分からなかったが学の遠慮の無さにアリシアは僅かに頬を赤くしながら言う。
これは訓練の時から時折見せていた学の異常性だ。これはこの世界にくる時に何かしら学に影響を与えたのだろうとアリシアは考える。と言っても、アリシアの頬を赤くする所とは関係ないのだが。
「いや、アリシアよりマシだろ」
学は自覚が少しあるのか頬を掻きながら声を小さくして呟く。本来は骨を折るつもりは全く無かったのになと内心思いながら。
「で、こいつらはどうする?」
「そうだね。武器とかを取り上げといてほっとこっか。もうすぐ、目的地に着くし」
そう言うと、アリシアは盗賊の武器を片っ端から腰の袋に閉まっていく。本来なら入る筈の無い物だが、なんでもマジックバッグというマジックアイテムと言う物らしい。
「こんなボロボロの武器がいるのか?」
「ちょっとね」
使い道の無さそうな武器までもしまうアリシア。理由を聞くがはぐらかされたので深くは聞かず学は大変そうだなと溜め息を再びつく。
学はとりあえず手伝う事にし、武器を集める。場所はとある都市の近く。その名は『 水上都市リアノール』
スキル『 ラーニング 』で異世界生活 果汁 @juice
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