まだ見ぬ世界・救いを求める手
学達が旅立った同時期。動き出している者達がいた。
とある村。寂れており若い者が少ないこの村フードを深く被った4人の集団がいた。
「いたか?」
「いないわ」
フードを被っている1人がもう1人に声をかける。彼らは誰かを探しているらしい。声色には落胆するような感じが含まれている。
「前月は結構保護出来たのに今月は全くいないな」
「そうね......彼もまだ、見つからないわ」
「そうか。でも見つけて恩を返さないとな」
「えぇ」
この集団が何を探しているのか? そして彼とはだれなのか? まだ、分からない。
その時強い風が吹き、1人のフードが剥がれる。そして現れたのは黒髪の少女だった。
場所は変わり、どこかの屋敷の中。その中の部屋の1つでとある集まりがあった。部屋の中は暗くはっきりとは分からないが集まるのは見た目一癖二癖ありそうな者達だ。
「計画は進んでいるかい?」
1人の男性が声をあげる。彼がこの集団のまとめ役なのだろう。
「順調よ。後は駒になりそうな者を増やす事ぐらいじゃないかしら」
「ほっほっほっ、それも問題はないぞ。順調に増えているところじゃ」
女の人と男の老人みたいな人が続けて喋る。
「では、決して情報を漏らさないようにね」
まとめ役の男が短い会議を終わらせる。定期報告会のような物だったのだろう。終わった事により次々と退室していく中、その中に赤い髪のした少女の姿があった。
「アリシアちゃんとまた......」
その呟きは誰の耳にも入る事はなかった。
さらに場所は変わり水上都市リアノール。夜の街を走るフードを被った青年がいた。
「クソが! 俺は逃げるしかナイってぇのかァ!」
口調が荒く全力で走る彼は、何かからの後悔か歯を食いしばっている。追っているのは何やら黒い影のように見える。
「俺はこんな所で終ワレねぇ! 仲間達の仇は必ず」
言葉が続く事はなかった。彼の伸ばすその手は届く事のなく地に伏せるのだった。
この青年と学の邂逅は近い。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます