12話 初めての街と新装備
新たな街に入ってきた。
この街の名前はレイナックという、人族の国で3番目に大きい街でもある。
確かにかなりの活気のある街だな、ここなら色々と必要な物を手に入れられそうだ。
「まずどうしよっかなぁ、色々見て回るか」
ここに来るまで、飯はアイテムボックスに入れてたから暖かかったが、やっぱり目の前で作られた、出来立てを食べたいよね、ってことで少し腹ごしらえをした後に、道具屋や武器屋による事にした。
「ここは道具屋かな?」
それなりに広い道具屋だ、人が数人ほど商品を見て回っている、俺も見させてもらおう。
「お~村に無かった色んな物が置いてあるな、どれどれ見てみるか」
中々に豊富な道具類だ、しかし俺が使いたい物はあんまりなかった。
俺が欲しいのは冒険で使えるものだ、でもここの商品の大半は家を持っている人用だった。
「ん~、あんま欲しいのなかったな、次は武器屋行ってみるか」
そう思い、他にもいい所がないか見て回った。
「やっぱ異世界って感じのラインナップの店が多いなぁ、魔法関連の店が結構あるぞ」
予定変更、まずは魔導具店に向かう事にする。
「ここは冒険に役立ちそうなの置いてあるな、おお? これ魔法の杖っぽいな」
多分そうだろうと思い手に取ってみる。
「軽いなぁ、まぁ木の杖なんてこんなもんか、それとも軽くなる魔法でも掛かってんのかね」
「いらっしゃい、杖がほしいのかね?」
店の奥から店主と思われるお婆さんが出てきた、おお、いかにもな格好をしてるぞ。
「こんにちは、ええ、魔法の杖を探してまして、どれがどれだか教えてもらってもいいですか?」
「かまわないよ、どの魔法が使いたいんだい?」
「とりあえずここにある杖は全部の属性がありますか?」
「いや、今は切らしてるね、2種類だけになるよ、使い捨てでもよければ4種類になるねぇ」
あらら、全種類無かったかぁ、まぁお金がないから買えなかったろうけど……あ、換金を先にすりゃよかったな、まぁいっか。
「どれが使い捨てじゃない杖ですか?」
「この2本が火と水になるよ、それと使い捨ては土と風になるねぇ」
「4種類以外だと、あとは光と闇と時でしたっけ?それらは売ってないんですか?」
「その3つは作れる奴がかなり限られるからね、使い捨てでも作れないのさ、欲しいなら王都に行くしかないねぇ」
それは残念、仕方ない、火と水の2本と使い捨ての2本で我慢するか、っと、値段聞いてみるか。
「じゃあ火と水の2本っていくらになります?」
「この2本は初級じゃからの、合計大金貨1枚になるね、使い捨てのは大銀貨1枚でいいよ」
てことは1本金貨5枚か、そんなもんか、もう少し安かったらよかったんだけどなぁ。
「あ、今手持ちないんですけど、これって買取してもらえませんか?」
「どれだい?」
そう言い魔法袋から砂時計を取り出す、3時間6時間12時間の3種類全部取り出した、計24個だ。
「ほう、これまたたくさん出てきたねぇ・・・こいつは認可されてないやつだね、正確なものかわからないからかなり安くなっちまうよ?」
「いくらになりますか?」
「そうだねぇ、1つで大銀貨1枚でどうだい?」
うわ、やっす!! 館長からだと金貨5枚はすると言われてたから1/50かよ!?
交渉しないとだめだなこりゃ。
「じゃあたとえば3種類、3時間用と6時間用、12時間用ってありますので、3つ預けてもし正確であれば金貨5枚でどうですか?」
「そうじゃのう……なら3つ預からせてもらうか、もし正確であったならその値段でええじゃろ」
「わかりました、もし正確なら残りも全部買取とかってできます?」
「残り全部じゃと? そうなると白金貨以上になるの……む~、全部買取するとなると少し値下げさせてもらうがよいか? ちと量が多すぎるのう」
「そうですね、こちらとしては全部買っていただければ多少値引いてもいいですよ」
よし、交渉成立だな、白金貨っつーことは1千万ゴルドか……うわ、気づかなかったけどかなりの金額になるんだな、それを1回の買取で払ってくれるこのお婆さんって何気にすごいんじゃないのか?
「白金貨1枚以上出せるってお婆さんのとこ、結構繁盛してるんですか?」
「それなりじゃな、何せこの杖はワシが作っておるからな、元手以外は全部ワシの利益じゃ」
「へぇ~、お婆さんがこれ作ってるのか、すごいですねぇ」
「それほどでもあるのう、魔法を使えるやつはごまんとおるが、属性の杖を作れるとなるとめっきり少なくなるからの」
「そうなんですか、通りで前の村では見かけないはずだ」
なるほどねぇ、魔法が使えるから杖も作れるとはならないよな。
それなら俺も無属性の杖を作れててもいいもんな、需要ゼロだろうけどな!
「この何回も使えるのと使い捨てのってどう違うんですか?」
「これはのう、魔宝珠の質が違うんじゃよ、良い魔宝珠だと何回も使えるんじゃが、悪いやつじゃと1回で壊れるんじゃ」
「ん? 魔宝珠……?」
「なんじゃ知らんのか?魔物から出るのが魔宝珠じゃよ」
え? 魔物から出るのか? でも俺、解体したけどそれらしき物はなかったけどなぁ……
「まぁそこら辺の弱っちろい魔物じゃ出来ないけどのう」
「なるほど、どれくらい強いと出来るんですか?」
「そうじゃのう、ランクで言うならBランク以上になると魔力が濃くなりできるようになるみたいじゃの」
「そうなんですか、じゃあアサシンドッグの中にもあるのかな?」
「ほーアサシンドッグを狩ったのか?たいした腕前じゃのう、それなら持ってるかも知れんのう」
どこの部位にあるのか聞いて、取り出して見てもらうことにした。
「ほうほう、こりゃあるかもしれんのう、若すぎると魔宝珠はできないのじゃが、一定の年齢をすぎると魔宝珠ができるようじゃからの」
「魔宝珠が出来るかどうかって年齢も関係するんですか」
「そうじゃ、強い魔物になると必然と魔力が濃くなるからの、その過程で魔宝珠がだんだんと出来ていくようじゃな」
「なるほど、魔物が誕生してからすぐ魔宝珠が出来るわけじゃないのか、なら魔宝珠って結構貴重な物なんですかね?」
「そうじゃな、Bランク以上じゃないとなかなか出来ないと聞くからのう、使い捨てになる魔宝珠じゃと安くなるが、何回も使えるものになると金貨1枚以上の価値が出てくるじゃろう」
「そうなんですか、じゃあ初級魔法の杖がそれなりに高いのも頷けますね」
「そうじゃな、そういう理由があって他の属性の杖や中級以上の杖は品切れなんじゃよ」
なるほど、品切れだったのはそういう理由だったのか、じゃあ次の魔宝珠が手に入るまではずっと作れないのか、運悪ければずっとか……こりゃ中級とかいつ手に入るかわからないなぁ……
「魔宝珠はの、心臓付近か頭の中に埋まっとる、こやつは頭の方じゃったな」
そう言って取り出した魔宝珠は、ゴルフボールより少し大きく、多少黒っぽい、丸くゴツゴツした形をしていた。
「これが魔宝珠ですか?」
「そうじゃ、これが加工しておらん魔宝珠じゃ、色は黒じゃな」
「ええ、でも他の初級の杖はちゃんと属性に近い色をしてますよね?」
そう、属性の杖はちゃんと火魔法の杖なら赤っぽく、水魔法なら水色っぽい色にないっているのだ。
だが、取り出した魔宝珠は黒っぽい、もしやその魔物の属性にちなんだ色で出てくるのか?
「アサシンドッグという名前からしても、こやつは闇系統じゃな」
「では魔物によって魔宝珠の系統が変わるという事ですか?」
「そういうことじゃな、こやつに襲われたのは夜だったかい?」
「ええ、外でテントで寝てたら襲われました」
「なんと……よくそれで勝てたもんじゃな、こやつは1対1じゃとC+くらいの実力なんじゃが、夜になると途端に厄介になる、気づかずにやられる冒険者が多いんじゃよ、なのでランクはB-になっとるんじゃ」
「実力自体はランクC+程度なんですか、テントから出た瞬間に襲われたので、もうちょい遅かったら危なかったですね」
「そうじゃの、こやつは闇に溶けて攻撃するから、気づけたのは運が良かったのう」
なるほどね、たまたま気づけたからよかったけど、起きなかったらお陀仏だったわけか、あぶないあぶない。
「そうだったんですか、運がよくて助かったなぁ…… あ、ちなみに加工するのはどうやるんですか?」
「加工するのは単純じゃ、この魔宝珠に魔力を通せるようにするのと、放出できるようにするだけじゃよ」
「それなら結構な人が出来そうなんですけど、なんで作れる人が少ないんですか?」
「それが簡単じゃないんじゃよ、魔力操作というスキルがあるんじゃが、これがそこそこ上手くないと出来ないんじゃ」
「魔力操作ですか、そんなに持ってる人いないんですか?」
「あまりいないのう、持ってても扱いがあまり上手くないやつらばっかりじゃ、ワシは魔力操作(普)を持っておるが、おそらくこれが最低条件じゃろうな」
「その魔力操作(普)の()の中ってどんな基準になってるんですか?」
「それはじゃの、微、弱、普、巧、極、と5つのランクがあるんじゃよ、その上もあるとか聞いた事はあるが、見たことはないのう」
習得度だとはわかってたが、ランクはあまり知らなかったな、(普)で魔法の杖を作れるなら俺は魔力操作(巧)を持ってるから作れるはずだ、今度作ってみるか。
「なるほど、それでその(普)のランクですら持ってる人があまりいないと」
「そうなるのう、じゃから魔法の杖を作れるやつはあまりおらんでの、しかも魔宝珠も高ランクの魔物じゃなければ持っておらん、必然的に供給が間に合わんし高額になりやすいんじゃよ」
たしかになぁ、ここに来るまでにC+ランク1匹に3人の冒険者が殺されてたしな、Bランク以上を倒すにはかなりの腕が必要になるな。
俺はアサシンドッグに気づけたから倒せたし、アサシンドッグ自体は正面切って戦ったらC+らしいしな。
正面から戦ってもBランク以上ってなると、1人じゃ戦わない方がいいなこりゃ。
「そうですか、では次の入荷なんてのはいつになるかわからないですよね」
「そうじゃのう、それが分かれば少しは安く出来るんじゃろうがの」
「他の魔導具店も魔法の杖とか売ってないですか?」
「ないじゃろうな、魔法の杖を売っとるのは、ワシのとこか貴族専用の2店舗くらいじゃな」
「貴族専用ですか、じゃあ俺が行っても門前払いですかね」
「そうじゃろうな、しかもそこはボッタクリじゃ、初級の杖でも大金貨2・3枚はするぞい」
え? ここの4~6倍もすんの?それでもそこで買う貴族ってバカなのかよほど金が余ってるのかどっちなんだろ……
「わかりました、色々ありがとうございました、所でその闇の魔宝珠って使い捨てですか?」
「そうじゃの、これじゃと使い捨てになるのう」
「使い捨てかそうじゃないかってどうやってわかるんですか?」
「そりゃ鑑定と色合いじゃな、色が濃いほど魔力が詰まっとる証拠じゃ」
「へぇ~、そうだったんですか」
そう言われて魔宝珠を鑑定してみることにした。
すると……
闇の魔宝珠(微) 、と出た。
また(微)って出たな、これもスキルの習得度と同じようなランク付けかな?
そう思い聞いてみると、
「その通りじゃな、なんじゃおぬし、鑑定もっとるのかい」
なんて言葉が帰ってきた、そうなんです、鑑定もってるんです。
そして詳しく聞いてみると、(微)だと初級魔法で、色の濃さで使い捨てか複数回使えるかが分かれるようだ。
(弱)が、中級魔法が使えるらしい、大体数百回使えるみたいだ。
それもその魔宝珠によって回数が結構バラつくらしい、金貨5枚も払ってんのに運次第か、やっぱ魔法使うのは、才能がないと高くつくね……
(普)の魔宝珠はあまり出回らないらしい、これは上級魔法が使えるようだ。
(巧)、これは最上級魔法が使えるが、滅多に出回らないし、大抵が裏で貴族や王族に売られてしまうみたいだ。
最後に(極)だ、これは魔宝珠で使える限界の帝王級魔法が使えるようだ、
そしてそれは迷宮からしか取れないらしい、売ると白金貨数枚から、時には龍金貨にもなるという。
数千万から1億以上にもなるのか……俺がこれ見つけたら売っちゃいそうで怖いな……
「じゃあこれは色が薄くて(微)って書いてあるから使い捨てということですか」
「そういうことじゃな、これは買取でええのか?」
「いえ、俺も魔力操作持ってるので、自分でも魔法の杖作れないか試してみます」
「そうかい、では明日の昼過ぎにまた来なされ」
その後、少し話をして魔宝珠への魔力の通し方や放出の仕方を教わり、明日の午後にまた来る事にした。
「いや~結構有意義な時間だったんじゃないかな、次はっと」
あ、そういや冒険者カードを渡そうと思ってたんだ。てことで冒険者ギルドに向かいますか。
イメージだと結構でかい看板が掛かってそうなんだよなぁ……そうそう、あんな感じで。
って、まんまだなこのギルド……
カウボーイがいた頃のような両開きの扉があり、冒険者ギルドとでっかい看板が掛かっている建物だ。
「間違いないよな……絶対ここだ」
間違いようのない建物の中へ入っていき、受付に座っている女性に声を掛ける。
「すいません、ちょっといいですか?」
「はい、どのような用件でしょう?」
「えっと、ここに来るまでの間に冒険者が魔物にやられてまして、その冒険者のカードを持ってきたんですが」
「あら……わざわざありがとうございます、死んだ冒険者の物はほぼ帰ってこないのでカードが還ってきただけでも嬉しいです」
やっぱり遺品が家族だけじゃなくギルドにも還って来ないのか、結構シビアな世界だねほんとに……
「あなたは冒険者ではないのですか?」
「ええ、違います、たまたま遭遇した物ですから来ただけです」
「そうでしたか、その冒険者がやられた魔物とかはわかりませんよね?」
「えっと…………」
さて困ったな、ここで正直に言ったらなんでおまえは生きてるんだとか、おまえが殺したんじゃないかとかならないかね……?
さてさてどうしたもんか……
「何か知っているのですか?」
「ん~……多分ですが、大きな爪のあとが木にあったので、熊のような魔物かと、確証はありませんけど」
「そうですか……もしかしたら血喰い熊(ブラッドベア)かもしれませんね、ここら辺には滅多に出ないのですが、出たという報告がございましたので、それかもしれません」
「そうだったのですか、ではあの冒険者達は不運にも出会ってしまったという感じですか」
「多分そうなんじゃないでしょうか、とりあえずカードをお預かりします、本当ににありがとうございました」
「いえいえ、それでは」
そう言って少し足早にギルドから出て行った。
「うわ~あっぶね、余計な事するもんじゃないな、冒険者でもない奴が強い魔物倒したって信じて貰えないかもしれないし、何より俺が冒険者を襲ったって疑われる可能性もあったんだってさっき気づいたわ……」
自己満足でやったことだけど、厄介事を自分から持ち込んだようなもんだったな……ちょっと反省。
まぁでも、これでギルドへの用事は済んだしな、後はまた残りの買い物でもしますかね。
さ~て、どこ行くかな。たしか武器屋行きたかったんだ、よし、武器屋はどこかな~?
「お、ここかな? 色々売ってるな」
村では武具はあまり種類がなかったが、ここでは結構な種類の武具が置かれていた。
俺は剣が一般的だからと剣を使っていたが、弓や斧に鎖鎌(くさりがま)なんてのも売っていた。
「うお、なんだこの破壊の鉄球みたいなごっついのは……こんなん使うやついるのか?」
「これは俺の趣味みたいなもんだな、今まで買ってったやつはいねぇな」
店主だろうか、むさ苦しいオヤジが出てきた。
「こんにちは、店主さんですか?」
「おう、らっしゃい、何がほしいんでい」
「ん~、あまり武器使った事ないんで何が扱いやすいですかね?」
「そうだなぁ、やっぱバスタードソードが楽だろうな、慣れてくりゃ長剣でもいいし弓もいいぞ」
やっぱ慣れないとバスタードソードがいいのか、ちょっと違うやつも欲しいが悩むなぁ。
力が少し上がってきたし身体強化での狩りが普通になってきたから長剣でも買ってみるかな?
でも持って歩くの邪魔そうだなぁ……またバスタードソードでいっか。
「ではバスタードソードで切れ味良くて頑丈なのってありますか?」
「おう、あるぞ、値段はどんくらいのがいい?」
「そうですねぇ……」
多分砂時計は金貨5枚近くで売れると思う、ならここはケチらない方がいいかもしれないな、良い剣だと長い付き合いになるだろうから、ここで奮発して持っとくのも悪くないはずだ。
「じゃあ大金貨1枚くらいまでのでお願いします」
「中々持ってんじゃねぇか、よし、まかせろ!」
そう言ってオヤジさんは奥に引っ込んだかと思うと、3本の剣を持ってきた。
どれも素人が見てもとても良い剣だと分かる代物だ。
「この3本なんかどうだい、どれも良い仕事してるぜ」
「これらにどんな違いがあるんですか?」
「そうだな、切れ味がよく軽い剣、頑丈で切れるが重い剣だ、最後にこの剣だがな」
ちょっと言い淀んだが自信の目で持って説明してくれた。
「これは大金貨1枚以上しちまうが、ちょっとだけだが魔力が溜めておける剣になる」
ほ~、魔力が溜めておけるってことは魔導具の類になるのかね。
「魔力が溜められるとどうなるんですか?」
「おうよ、切れ味、丈夫さが段違いになるな、これなら末永く使える剣になるぜ、ただ値段が大金貨2枚と金貨3枚になっちまうが……大金貨2枚でどうだ?」
ん~、正直いつも魔力を一瞬だけ込めて斬ってたからめんどかったんだよなぁ、これならある程度魔力が溜められるからちょうどいいけど、大金貨2枚っていうと200万かぁ……
はたしてここでそんな大金のする剣を買ってしまっていいものかねぇ。
「この剣は魔力を通さないとどれだけ切れるんですか?」
「これはだな、他の2本と大差は無いな、丈夫さも同じようなもんだ、だが魔力が通ると格段に能力が上がる、なんなら裏で試し切りしてもいいぜ」
お、試し切りさせてくれるのか、ならやらせてもらおっかな。
「じゃあこの3本試していいですか?」
「おう、存分にやってくれや」
そう言って裏に案内する店主の後を追って、俺も薪が積んである裏庭に出て行った。
まず、薪を1本並べて全部試し斬りする。
次に2本並べ斬るが、3本とも斬れるのは斬れるが、薪の2本目は弾け飛ぶようになってしまった。
「じゃあ次は魔力を通してやってみますね」
「ああ、違いにビックリすると思うぜ」
そこまで言うなら期待しようじゃないか、魔力を注ぎ、今度は薪を3本並べてみる。
――うりゃっ!! ってな具合に思い切り振ってみると、抵抗が全く無いとはいかないものの、綺麗にすっぱりと切れていた。
「お~、魔力を通してない時より数倍も切れ味が増したな!」
「そうだろう、前の2本とも全く違う切れ味のはずだぜ、やっぱり魔導具っつーのはそこら辺の物とは一線を画すな」
「確かにそうですね、魔力が通ればこの剣は相当良い剣だと思います」
「どうだい、どれにする?」
そうですねぇ、と言い、今後の事を考えてみる。
これから先が、雑魚敵ばかりならいいが、もしブラッドベアみたいな防御力のあるやつが出てきたら、 今度は拳じゃきついだろう。
それに数匹出てきたら剣を使わないと難しくなる、
「ならここで良い剣を持っとくのも一つの手だよな」
少し考えたが、欲しいんだったら買ってしまおうか、後悔するならやらないよりやった方が良い。
お金も切羽詰ってるわけじゃないしな、きっと砂時計が高く売れるはずだ……多分。
ってことで、砂時計が高く売れたとすることにして、この魔力剣を買うことに決めた。
「うん、これも一期一会だ、買っちまうか!」
「お? てことは、この魔力剣のことかい?」
「ええ、この剣を買います、ただお金は明日でもいいですか?」
「ああ、いいぜ!それは取っといてやるよ、明日また来な」
「ええ、よろしくお願いします」
こうして、俺には過ぎたる武器かもしれないが、魔力を通す事で切れ味、丈夫さが格段に増す魔力剣を買うことにしたのである。
「いや~、これですぐもっと良い剣が手に入ったら泣きそうだなぁ、まっ、その時はその時だな!」
良い物は何個あってもいいもんだからな、そう思い直し、今度は防具を選び始めた。
「防具も中々良いのが手に入ったし、なんか今日はとても有意義な1日になったんじゃないかな」
そうして本日の宿探しを始めることにした。
今日のお買い上げ(予定)は、魔力剣1本、解体用ナイフ、魔獣皮の籠手(こて)とブーツ、魔法の杖6本(使い捨て4本)、回復ポーション5本、マナポーション10本、毒消しポーション5本、魔力ランタン1個、出来立ての料理30食、水(大量)と、結構な出費をしてしまった。
「ま、まぁたまにはいいよね! きっと砂時計が売れるさ! ……多分」
やっぱりちょっと不安が残るが、ダメな時はダメでなんとかなるさ~、なんて思いながら異世界初の「街」の観光は終わった。
ちなみに、今日の宿は1泊だけ高級な所にしたのは余談である。
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