11話 魔物との遭遇、超えなければいけないもの
リュッベルソン村を出発して丸1日が経とうとしている。
東側は魔物が多いって聞いたんだけど、まだ出てきません。
「おっかしいなぁ、警戒して村から出てきたんだけど、ラギラビットばっかだ」
もう何匹目になるのか、食肉にできるウサギばっかがアイテムボックスに溜まっていく。
そしてもう陽が暮れるので、ここら辺で野宿をしようと思う。
神庭(かんば)に泊まろうと思ったが、この世界で野宿をしたことがないので、せっかくだし外で寝る事にした。
「街道沿いは魔物避けの魔法が掛かってて、弱いやつらは寄ってこないから、近くにテントでも張りますか」
……ん?
いまなんつった……?
……あ!? そうか!! 街道を歩いてるから魔物だけじゃなく動物も出てこないんじゃないか!!
うわ~……なんっつ~バカな事に今さらながらに気づいたよ……
そうだよ、俺ってば今まで全部街道沿いばっか歩いてたじゃん、そりゃ魔物が出るわけねぇよなぁ……
「はぁぁぁ……なんか力が抜けた……俺ってばこんな頭弱かったっけか? 異世界だからっていうのは言い訳だよなぁ……」
まだまだ勝手がわからないとは言え、こんな初歩な事すら気づかないなんて、結構ショックだぞ。
まぁ仕方ない、もう今日は寝る! そう決めました。
「もう不貞寝だ、飯もいらん、寝よ寝よ」
そう言ってテントを街道のすぐ近くに張ってすぐ寝入ってしまった。
「……ん? ……なんか変な気配が?」
寝入ってから何時間経っただろうか、まだまだ辺りは暗い。
こんな時間に誰だ? っと思ったが、誰もいるわけがない、じゃあなんだ?
耳を澄まし、辺りの様子を伺う……すると、
グルゥゥゥウ……
と、いや~な声が聞こえる、しかもテントのすぐそばだ。
「こりゃ初めて聞く声だな、もしや魔物か?」
見事に的中した、テントから出た瞬間に横から襲い掛かってきたのだ。
「ぬお!? いきなりかよ!!」
咄嗟に身体強化をして地面這いつくばって攻撃をさける。
焦る頭を落ち着かせて敵を確認する。
「くっ、なんだあの敵は? すげー攻撃早かったぞ、犬? いや犬にしてはでかすぎる」
見たこともないほど大きな犬のような魔物がいた。
全身が筋肉の鎧に覆われた、全長3mはあるだろうか、高さは俺より高い、2m近くあるのではないだろうか。
なんでこんな強そうな魔物がここに……って、そうか! 街道には弱いやつは近寄れないらしい、てことはだ、
「強いやつらは平気で街道にも来れるって事だよな……」
一瞬でそこまで考え、改めて敵を見てみる、グルルルと威嚇を続け今にも襲い掛からんとしている状態だ。
「多分こういう強いやつってのは、頭がそこそこ良いだろうだろう、だから意表を付く為にテントをアイテムボックスに仕舞い込んで隙ができるか試してみるか」
そう思いテントを一瞬で仕舞い込む、するとピクッと魔物が反応した。
「よし!」
その隙に一瞬で剣をアイテムボックスから取り出し、一気に接近し足を狙い剣を振り切る。
それを魔物は素早く飛びずさり避ける、
超反応を見せられ薄皮を少し斬る事しかできなかった。
「おいおい!? これを避けるのかよ? 魔物ってここまで強いのか!?」
大抵この一振りでそこら辺の動物は2匹くらい屠ってきたのに対し、この魔物は不意をついたにも関わらず薄皮しか切れなかった。
こりゃ強い、すぐにそう感じ森から離れ街道に出て、少しでも明かりがある所におびき寄せる。
「俺は夜目がきかない、あっちはきっと見えてるはずだ、なら暗い所は断然不利になる」
お互いがお互いを牽制(けんせい)しつつ、俺は徐々に街道に移動する。
俺の足が街道の均(なら)された道に出た瞬間に、物凄い勢いで突っ込んできた。
「くっ、はえ~!!」
間一髪、横に思いっきり飛びずさり、なんとか回避するものの、防御に魔力を回すのを忘れていた為、左腕を爪で引っかかれ、抉れてしまう。
「ちっ、カスっただけで致命傷かよ!」
あまりにも鋭い爪にびっくりするが、驚くのは後だ、今はこいつを倒さないとこっちがやられる。
魔力をさらに身体強化に回し、防御にも回す。
「さて、これでどの程度付いていけるか……」
待っているのは性に合わないので、こちらから猛然としかけることにした。
「ぬおりゃ!!」
一気に加速し接近し、今度は斜め上から斬りかかる。
それを読んでいた魔物は横に飛びずさるが、それを俺も読んでいた。
「あまい!!」
1度斬った剣をすぐさま横に凪ぐ。
これも魔物は超反応で避けようとするが、右足の足首を斬り飛ばすことができた。
「足をもらったぞ! これならもう避けるのも厳しいだろ」
最大の武器であるスピードを失ったなら、もうこっちのものだ。
だがスピードは失ったが、防御に専念することによって俺の攻撃を紙一重でかわす、やはり強い。
俺も奥の手はあるのかと少し警戒したが、特にそのような物を出す事も無く、闇にとけるようにして、逃げようとする魔物。
「逃がすかよ!」
ここで決めようと、この戦闘で一番の速度で持って一気に近づき、逃がす暇を与えず、一息に首を刎ね飛ばす。
――ズバンッ!! と敵に反応すらさせずに刎ね飛ばす事が出来た。
「ふぃ~……最後にまた身体強化したからな、予想外に速かっただろ?……しっかしこいつは強かった、魔物ってこんなつえーのかよ……ウルフの5倍は強かったぞこいつ」
そう思いながら、この魔物がどんなやつか鑑定するのを忘れていた。
ジーっと見ていると名前と強さが出てくる。
名前 アサシンドッグ
Lv B-
性別 オス
年齢 13
種族 魔物
体力 329
魔力 125
攻撃力 74
防御力 53
精神力 23
素早さ 95
器用さ 24
スキル 隠密行動、暗視(ナイトビジョン)(巧)、鋭利な爪
は? ……いきなりB-の魔物が出てくんのか!? 通りで強いわけだよ。
てかこの魔物が強いのか、それとも魔物になると強さが一気に跳ね上がるのか、そこら辺がよくわかってないんだよなぁ。
特にこいつは素早さが群を抜いている、一般男性の素早さは15もあればいい方だ。
「でもこれがBランクの強さか……素早さも3桁近い、通りで速過ぎるわけだ……いつっ!? ……あ~、左腕やられてたんだ」
興奮してたせいで忘れてたが左腕をこいつの爪で切り裂かれてたんだ、自己治癒しないとな。
そう思い、腕が元に戻るように魔力を体内に回す、すると、
スーッと傷が逆再生のように綺麗に治っていく。
「ほんとこの自己治癒はすげーな……他の人はかすり傷しか治せないみたいだけど、俺は重症ですら治るからな」
とにかく今は治る事に感謝しつつ、この魔物を解体する事にする。
「おまえは俺を糧にしようとしたんだろ、なら俺もおまえを糧にしないとおまえに失礼だよな」
まだ夜も暗い中、俺はアサシンドッグを綺麗に解体していった。
どこが売れるかわからないので、爪から牙から内臓まですべてアイテムボックスに入れていく。
「どこが使える部位で売れる部位か、そういうの載ってる本でもほしいなぁ」
アイテムボックスがあるから嵩張る(かさば)事もないが、それでも知っておいて損はないだろう。
こうして俺の初めての野宿は、強敵と言えるであろう魔物の強襲を受けるという結果に終わった。
「なんか疲れた……でも今日は野宿するって決めたからなぁ、はぁ……ま~たテント張るのかよ」
アイテムボックスからテントを取り出すと、地面に固定してないからだろうか、一気に縮んでしまうのだ。
なのでまた一から設置するのだがこれがめんどくさい。
いっそコテージみたいなの買ってしまおうかと思ったが、それなら神庭(かんば)で寝れば良いだけなので我慢することにした。
そんなこんなで初日の野宿は終了した。
翌日
「ん、んぅ~……んん、眠い……」
昨日の魔物のせいで途中で起こされ、倒したはいいが疲れてしまったからな。
まだ疲れが取れてない感じがする。
「まぁまだまだ次の街は遠いから、今行かないと後でもっと辛くなりそうだ」
疲れた体にムチを打ちなんとか起き上がる。
適当に水で顔を洗い、アイテムボックスにテントを仕舞い込んでようやく出発することにする。
「午前中は街道を歩いて、午後からちょっと街道から離れて動物や魔物を狩っていくか」
そうして2日目をスタートさせたが、ちょっと街道から逸れると、まぁ出るわ出るわ、魔物は出なかったが動物がわんさか出てきた。
そんなに街道に近寄れないもんかねぇ、人間には一切影響しないみたいだからな、俺は何も感じない。
しかしこういう動物や魔物はすごく敏感だから、近寄ったらダメって直感で感じるのかな?
「まぁ後で調べてみたいな、次の街は前の村よりでかいらしいから、また図書館にでも行きたいな」
結局はどこの世界も情報が多ければ、それだけ身を助けることになるからな、前の世界はインターネットで調べりゃ大抵の事はわかったけど、この世界はそんなもんはないだろう。
だから、自分で行動して探さなければいけない、そこをケチると途端に身の保障がなくなるかもしれん。
なのでこの世界では調べる事に関しては手を抜かない事にする、あとは魔法も手を抜けないな。
「未だに属性魔法使えないもんな、あ~次の街で魔法の杖が売ってないかなぁ」
そんな淡い期待を抱きながら、次の街までの2週間近い旅路を歩いていった。
「ふぅ~……もう大分歩いたぞ、さすがに疲れたわ~」
すれ違った商人らしき馬車の人に、ここから街までどのくらいか聞いたが、もう2・3日で着くと言われた。
いや~こんな遠いとは思わなかったわ、そういえば俺が聞いた日数って馬車で移動の事だったかもしれない。
もう今さら遅いが、馬車あるなら借りればよかったと後悔しても仕方が無いよね。
「まぁもうこんな面倒な旅路は勘弁ってことが学べただけマシなのかね、それに色々と狩れたしな」
ここに来るまでに動物や魔物を結構狩る事ができた。
定番だろうゴブリンやオークなんかも沢山居たな、なんか巣を作り始めてんじゃないかという場所で狩りまくったからな。
ゴブリンの強さははっきり言ってウルフにも及ばない、数がいてもそうだ、武器を持ってんだけど、まぁ拙い(つたな)動きで、よほどウルフの方が強かったな。
オークはでかいだけあって、ゴブリンよりはタフかったな、でもそれだけだ。
「やっぱり知能が低いやつらってのは脅威ってわけじゃないのな」
それ以外は、鳥の魔物なんかもいた、これは苦戦するかと思われたが、遠距離攻撃を互いに持ってなかった為、向こうが近寄ってきた所で剣でぶった切っただけで終わってしまった。
あれには拍子抜けしたな。
「最初の犬っころ以外はあんま、てか全く強い魔物はいなかったなぁ、あいつだけが強かった感じだな」
魔物との初戦闘が、いきなり寝込みを襲われ、しかも真っ暗闇の中で強敵と戦うっつー無茶な経験をされたおかげで、あいつがいなかったら、気を抜いてる所だったわ。
そういう意味でもあいつには感謝しないとな、強いやつらはいるって教えてくれたからな。
まぁそんなことを思ってると、そらフラグにもなりますわな。
――グルゥウアアアァァァ!!
いきなり獣の咆哮が聞こえてきて一気に緊張感を高める。
「ちっ、余計な事考えるんじゃなかったぜ」
声のした方向を見ると、まだ大分遠い所で何かでかいやつが動いている。
と、獣の声以外も聞こえてきた。
「ん? もしかして、人の声かこれ?」
音を最小限にしてそれなりの速度で近寄っていく、すると……
「うわ、もう死にそうじゃねぇか、冒険者かあいつら?」
冒険者と思(おぼ)しき3人組が、これまた馬鹿でかい熊と戦っていた。
すでに2人は亡くなってそうだ。
「さて、どうするかね……」
助けるべきか、それとも事の経緯を見守るべきか。
今助けに入った所で助かるとも思わない……が、本来ならすぐにでも助けるべきだろう。
しかしなぜかそれを躊躇する心がある。
多分理由はわかってる、こいつらを犠牲にして自分の心を試してるんだと思う。
どういう事かと言うと、俺はまだ人の死という物もこの世界で見たことも感じた事もない。
それはこの世界で生きるには非常に危険だと思っている。
対人戦をしなければいけない場合、果たして相手の命を取れるのだろうか?
それをこの世界に来たときから常に感じていた。
殺らなければ殺られる、それがこの世界の常識だ。
だが、やれなかったら? それは死に行く未来しか残っていない。
俺はそんなのはごめんだ、そんな情けない死に方はしたくない。
でも平和ボケした所から出てきた俺に、本当に人をやれるかというと、はなはだ疑問だ。
ならばこの機会で己を試すしかない。
「そういうわけで、悪いな……お前は俺の成長の糧にさせてもらう」
目の前で猛獣に食い殺されようとしている人間を、目を逸らさずしっかりその最後を見届ける。
やはり、多少の罪悪感が襲ってきた、しかし冒険者ならば自分の死も受け入れているはずだろう。
ならば俺が気に病むこともない、そう思い直し今度は猛獣が俺に向かってくるのを落ち着いた思考で受け止めていた。
「よし、見殺したのは悪かったが、仇くらいは取らないとな」
こいつの鑑定はもう済ませていた、これが中々に強い。
名前 血食い熊(ブラッドベア)
Lv C+
性別 メス
年齢 8
種族 魔物
体力 378
魔力 103
攻撃力 94
防御力 83
精神力 28
素早さ 45
器用さ 20
スキル 身体強化(微)
前の強敵、アサシンドッグよりはランクが低いが、攻撃と防御が群を抜いている、大きさも2mは優に超えている。
なるほど、そりゃ冒険者と言えどもやられるか。
聞いた話だとCランク以上を倒すには冒険者ランクがCを2人から3人必要とするらしい。
やられた3人はCランク以下ということだろうから、勝てないのも頷ける。
「しかもこの熊、傷ひとつ負ってねぇんだよなぁ」
剣でぶっ叩かれていたはずなのに、傷すらないってことは、相当に毛とか皮膚が丈夫なんだろうな、
なら俺が取る手段は1つだ。
「一気に身体強化に魔力を15を注ぐ、そして狙うは頭部の一点のみ!」
普段の身体強化は魔力消費5だ、そこを普段の3倍にする。
そこそこの速度で迫ってくるでかいブラックベアに対し、俺はその倍は出てるであろう速度で一気に駆け出す。
一瞬俺の速さにビックリしたようだが、全く戦意が衰えていない、さすが魔物といった所か、自分を強者だと自負していやがる。
しかし、俺はおまえより……
「強い!! …………はず」
最後がちょっと尻つぼみになったが、しかしそれでも駆け出した速度そのままに一気に熊の上に飛び、
飛びながらに熊の攻撃を避け、頭部である眉間(みけん)に思いっきり拳を叩き込む。
「どぉおりゃっ!!」
――ズドンッ!! っと物凄い音が響き、手には確かな骨を砕く感触が残った。
地面に着地し、すぐさまブラックベアへ向き直る、すると……
「そのまま地面に突っ伏してやがるか」
俺が一撃を与えた瞬間にはもう即死していたのだろう、自分が突っ込んだ速度そのまま地面に突っ伏し、
ドザザザザーってな具合に滑っていったようだ。
一瞬で戦いに決着が付き、改めて俺は自分のステータスを確認する。
名前 ハルト (猪熊 春斗)(いのくま はると)
性別 男
年齢 18
種族 人間
体力 195/273
魔力 173/259 (神力 ∞)
攻撃力 29+13 (+119)
防御力 25+6 (+102)
精神力 51 (+205)
素早さ 31 (+121)
器用さ 35
運 92
お金 なし
スキル
(異世界文字・異世界言語理解)、無属性魔法、
魔力操作(巧)、(神力操作(微))、身体強化、自己治癒、鑑定、(アイテムボックス(無制限))
称号 なし
となっている。
ちなみに、身体強化の補正値は攻撃力から下であり、()の中が身体強化でプラスされる能力値だ。
()以外のプラスの値は装備である。
スキルは名前から()があるのは、中を見せたくないので他人には見えないようになっている。
それ以外の(巧)などはそのスキルの習得度である。
「うん、中々に強いじゃないだろうか、攻撃が防御の2倍あると、カウンターと急所で1撃って所か」
普段の身体強化の3倍もの魔力を注いだからステータスの補正値が凄い事になっている。
だからか、拳がめっちゃ痛い……
「まぁ、これだけやらないと普通に戦ったら、魔法もないし剣も普通のだし、苦戦してたかもな」
そういう理由で、相手の体重が乗ったスピードある突進を逆手に取り、一気に決めることにしたのだ。
それが上手い具合に完璧に決まり、一撃で倒す事ができた。
その一撃を見舞った痛む手を振りながら冒険者達の所へ向かう。
「やっぱり3人とも死んでるな……仇は取ったが死んでたら意味がないよな」
ブラッドベアを倒したはいいが、こいつらの為になったかどうかはわからない。
そう思いながらも俺は、冒険者達の荷物を確認する。
もちろん貰う為だ。
「この世界はこれが当たり前らしい、死んだやつの物は見つけたやつの物、だから遺品が家族に帰ってくることは滅多にないらしい」
だから俺も早くこの世界になれる為に気が進まないのは当然なのだが、心を鬼にして武器や装備を貰う事にする。
「悪いな……なんて言葉は偽善か…… おまえ達の物を貰っていくぞ」
色々とあるだろうと探っていると、冒険者カードが出てきた。
こいつらのランクはD+が2人にDが1人だった。
多分ずっとこの3人でパーティを組んでいたのではないだろうか、そして本来は来るはずではない、もしくは出るはずの無い魔物が出たという所か。
こういう事があるから冒険者というのは怖い。
「よかった~、おれ冒険者にならなくて」
3人を殺した血喰い熊(ブラッドベア)を倒したのに、そんなことを思ってしまった。
「だって本音だもん、わざわざ死にに行くような真似はしたくないよねぇ」
俺はこの世界を見て回りたいだけで死にたいわけでも強いやつと戦いたいわけでもない、のんびり観光したいのよ。
それなのに命を掛けるつもりは無い、強くなるのは必要だと思うが死ぬほど追い込むつもりもない。
「死なない程度に強くなりたいね、なんて言ってるとトラブルが舞い込むから黙ってよう」
異世界来てから3週間程度でもうB-ランクの魔物と遭遇したんだ、これ以上強いやつらとポンポンと会ってたまるか。
そう思いながら、冒険者の荷物は特に欲しい物もなく、装備品だけをアイテムボックスにしまい、後は冒険者カードはギルドに届けようと思い魔法袋にしまう。
冒険者達の遺体はそのまま埋めずに置く。なぜなら食物連鎖によりその遺体が魔物や動物の血肉となるからだ。それゆえにこの世界は、身元が判らない冒険者等の遺体はそのまま放置が基本だそうだ。
郷に入れば郷に従え、早くこの世界の事に慣れないとな。
血喰い熊(ブラッドベア)の解体もすませ、アイテムボックスに仕舞い、ちょっと重い気分だが、これもこの世界で生きていくには必要だと思い、黙って次の街に向けて歩き出した。
あれから商人の言ったとおり、3日ほどで新たな街に着いた。
「おお~、結構でかいじゃんか」
門を見てそう言っていると、門番らしき人が声を掛けてきた。
「この街は初めてか? 入るならカード確認機にカードを入れてくれよ」
それにわかったと頷いて、少し街の外周を見て回りカード確認機にカードを通して街の中に入ることにした。
「さぁ~てと! どこから見て回りますかねぇ!!」
新たな場所にワクワクしながら、俺は異世界で初めての「街」を観光する事にした。
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