5話 初めての魔力

 さて、まずはこの世界のことを調べますか。

 どこら辺かな~。


 やっぱり図書館とか本屋とか、目的の物を見つけるのに時間かかるよね、この時間が一番きらいだ。

 ワクワクする人もいるみたいだけどね、おれは真逆の人間だ。


「ここら辺かな、まぁ物語形式のがわかりやすいか、あとはこの国の事と・・・」


 そしてなんと言っても、と息を落ち着けて、


「魔法の事でしょう~~!」


 声に出すとまずいので頭の中で大声で言ってみる。

 やっぱ魔法使えないのは寂しいので、どうにか使えるようにしたいもんだ。

 魔導具使えば、属性魔法使えるって言ってたからな、まぁまずはこの世界の歴史から調べますか。


 この世界には大陸が5つあるらしい、そして1つの大陸が1つの国となっている。

 名前と位置関係はこんな感じだ。



            ランディクル王国


  サンティアラ自然王国         バルガン帝国


      ワドルフ鉱山国    ディーベルド魔王国


 このような名前と五角形の位置関係になっている。


 今いるランディクル王国は、人族が住む大陸である。

 サンティアラ自然王国は、エルフが住み、人族はエルフ国と呼ぶことが多い。

 バルガン帝国は、人族と他の様々な亜人が混同して暮らしている、珍しい大陸だ。

 ワドルフ鉱山国は、ドワーフが住む、通称ドワーフ国の大陸。

 最後に、ディーベルド魔王国、ここは魔族が住む大陸となっている。

 魔王とか、悪者なのかね、と思ってたら、まぁ普通みたいで、世界を滅ぼそうとかそんなのは無いみたいだ。


 もちろん、どの大陸にも様々な種族がいるが、大半が今説明した種族が多くなっている、割合はバルガン帝国以外は7・8割くらいだろうか。


 この村でも人族以外見たことないしな、田舎ほど違う種族がいないんだろうな。


 人口は順番に、ランディクル、バルガン、ワドルフ、サンティアラ、そして最後にディーベルドとなっているみたいだ。


 やっぱ人族が一番多いな、次が人間と亜人のバルガン帝国だ、これは意外だったな、

 それで次がドワーフ国か、次がエルフ国、最後に魔族国、まぁここらは予想通りか。


 多分、一個人の強さが強いほど、人数が少ないんだろうな、と予想してみる。


 更に、まだ紹介してない土地がある、


 それはこの国、ランディクル王国の北側には、巨大な氷山が連なる山々がある、そこは生存が非常に厳しい為、弱い生物は生き残ることが出来ず、自ずと非常に強い生物が棲む場所でもある。


 そしてワドルフ鉱山国、ディーベルド魔王国の南側には、様々な龍が棲む山々があるらしい。

 龍達はそこを、聖地と呼ぶらしいが、人族は主に、竜王国と言うらしい。


「龍か! こりゃ一度行ってみたいな!」


 なんて思ってると、知性が高い王的な立場にある龍達は奥に居て、大抵最初に出てくる龍は凶暴で、中々奥に行けないらしく、人族はもう数百年は出合った奴がいないとかなんとか。


 こりゃ一生会えないかも知れないなぁ……まぁ話してみたいけど、龍ってやつを一目見れりゃいいから、1度見に行ってみたいな。

 もちろん戦わんぞ、ちら見したら速攻逃げるからね。


 国の生い立ちや歴史は、なんか長くなるから今は別にいいか。

 追々わかるだろ、多分。


(それよりも! 魔法の本はどこだーーー!!)


 やっぱり無属性の俺でもファイヤー! なんて火の玉打ちたいじゃないの! 意気揚々として探し出す。


「えーと、どこら辺だろ」


 あ、初級魔法一覧とかいう本がある、これかな。


 やはり、以前ラウル様が教えてくれた通りに、生まれつき才能が決まっているらしく、才能が無い属性は、どう足掻いても自分じゃ使う事ができないらしい。


「くっそ~、やっぱ使えねぇかぁ……んじゃ魔導具に頼るしかないか」


 色々な本を見ていると、そこそこ魔導具の説明が載っている本を発見した。


「なになに、魔導具にも質の差がかなりあり、悪いのだと1回使うだけで壊れる使い捨ての物から、最高品質だと、帝王級まで使えるようになる、しかし最高難易度の魔法、神級を使える魔導具は今の所存在しないと言われている」


 なるほどねぇ、魔導具の質によって使える魔法の難易度が変わるのか、しかも限界超えると壊れると……

 たっかい魔導具が壊れると泣きたくなるな絶対……


 それはそうと帝王級だか神級だかって何だ? 魔法の難易度だろうけど。

 よくよく調べてみると、魔法には難易度が6つあるらしい、

 順番は、


 初級、中級、上級、最上級、帝王級、神級


 この6つみたいだな、

 おまけに、神級魔法を使えるやつは100年に1人出てくればいいらしい。


 ということは、今この世界で何人いるんだ?


 この世界の年齢が気になったから調べてみた、

 すると、人族は80歳、ドワーフが150歳、エルフは1000歳、魔族が2000~3000歳らしい。

 魔族生きすぎだろ……


 他のさまざまな亜人は、それこそバラバラで、120~800歳ほどだという。


 やっぱエルフと魔族、それに一部の亜人は長生きだな、と思ってたら、龍を見たら唖然とした。

 龍は何でも数百万年いきるらしい。

 もうね、馬鹿じゃないのかと……

 長生きってもんじゃないだろこれ、死なないようなもんだな、神かこいつらは……


 実際に一部の生き物達は、龍を神として崇めているのも珍しくないらしい。

 まぁ寿命見ただけで、神としたい気持ちもわかる、じゅ~ぶんわかるぞその気持ち。


「龍が長生きすぎて魔法の事すっかり忘れてた……」


 さて、本題だ、神級魔法は人族だと、300年に1人みたいだ、という事はこの世界で何人いるか、

 それはわからないらしい、何でも総人口がわかってないみたいだ。

 それはどういう事かというと、人族以外は人口を数えないらしい。


 人族の人口は、およそ10億人はいるみたいだ。


「結構いるんだな、それで人族は今、大当たり時代で、2人も神級使える者がいるみたいだな」


 2人しかいねぇのかよって思うけど、まぁ神級と名前が付いてんだから、そうそう使える者はいないか。

 それに他の種族も合わせると、10人以上は使えるのがいるのかね。

 魔族なんか2千年から3千年つったら、最大で10人使えることになるな。

 なんだ、結構いそうだなこりゃ。


 色々見てみると、全世界で10人も神級魔法使える者は居たときがいないと書かれていた。


「あれ? 魔族なんかバンバン使えそうだと思ったけど違うのか」


 よく見てみると全人口で300年に1人、しかも魔族は人口が少ないらしく、そこまで使える者が出ないとか。


「あ~、人口一番少なかったもんな魔族は、んじゃやっぱ世界で10人使えりゃいいのか」


 まぁ俺は、属性魔法が使えない無属性だから、魔導具に頼るしかない、ってことは自然と神級魔法は使えないってことになるな。


「なんだ、ちょっとがっかりした」


 神級がどのくらいなのかわからないが、いきなり使えませんってなると、ちょっとがっかりするな。


「いきなり、眠ってた力が~~! ……なんてないか」


 意味のない期待をしつつ、本に目を通していく。

 無属性魔法のページ数はすんごい少なかった。

 なんでも、身体強化や、体の各部位に魔力を宿して防御を固めるとか、魔導具に魔力通して使うとか、そんな事しか書いてない。


「なんつー無属性の不遇さ……」


 泣きたくなって来た……仕方ないのでもっと探してみる。


 うん、使えるのは強化に防御だけでした。


「ゲームだとすんごい強い魔法とかあるのに~~~~!」


はぁ……現実はこんなもんか……


 なんでも、拳に魔力を乗せると威力があがる、手のひらに魔力を集めると、他の魔法のダメージを軽減する、こんなんばっかでしたわ……

 魔力の塊を作って、その中を乱気流にしてぶつけるとかないんかと思って調べたら、もう試してた人がいて、結局あまりダメージ与えられないみたいだ。

 結局魔力は魔力でしかないから、魔力を媒介にして何かに変換しなけりゃダメみたい。


「たしかになぁ、空気みたいな感じなのかね、鉄を飛ばせば軽い力で高威力、空気だと大きい労力のわりに、低威力ってか」


 たしかにこりゃ、魔法という扱い受けないはずだわ、確かに身体強化なんて、氣の力で片付けられて、魔力使ってないように見えそうだもんなぁ。

 ん~、仕方ない、できないもん悩んでても意味が無いから、これからは魔導具を探すか。

 まずは、杖がいいか、それとも武器にするかどうするかね。


 そう思って魔導具を中心に調べてみると、大体書いてある事は一緒だった。


「ほとんどが迷宮品で、作れる人はあまりいないってマジか……」


 じゃあ魔法袋は? とか思ったけど、それは作り方が確立された物だから、作り方をしっかり学んだ人なら作れるみたい。

 あとは、初級から中級の魔法を打てる杖か、ただ中級魔法になると途端に作れる人が減るらしい。


「あ~……こりゃ迷宮で取ってきたほうが早いのかねぇ……でも自分の強さわからんから、なんとも言えないんだよなぁ」


 まだ1回も戦闘した事ないので、自分が強いか弱いかわからないのだ。

 まぁ弱いってのは感覚でわかるけどね、だってラウル様に力貰ってないし……

 こうなると、魔法の才能貰っときゃよかったと少し後悔した。


「まっ、過ぎた事気にしてもしょうがないってね!」


 無理やり元気を出していると、閉店時間がきたみたいだ。


 よし、明日もここで色々調べて、その次の日はステータスカード貰いに行くかね。


 そう思い館長の所へ行き、明日また来ると告げて宿に戻った。


「おかえり、ご飯できてるよ」


 女将のエリーさんがお出迎えしてくれた、まぁ全員にしてるんだろうけどさ。


「ただいま、早速ご飯いただきますね」


 そう言って食堂に向かい、ご飯を食べた。

 今日の夕食はオニオンスープに、ラギラビットの肉を使った野菜炒め、それにまたでかいパンだった。


「うん、ラギラビットは美味いからはずれはないな」


 そうして食べ終わり部屋に戻ると、すぐ寝てしまった。


 そして翌朝、朝食を済ませると、すぐに図書館へ向かう。


「お早う御座います、図書館利用させてもらいますね」

「いらっしゃい、1日の利用ですか?」

「はい、銀貨5枚でしたよね?」

「ええ、合ってますよ」


 布袋から銀貨5枚を取り出し、渡すと、さっそく魔法の本がある所に向かった。


「今日は、魔法使うにはどうしたらいいかを調べないと」


 昨日はこの世界の事や、魔法がどんなのがあるのかとか、そっちばっかり見てたから、使い方を見てなかったのだ。

 なので、今日は実際に魔法を使おうと思い、色々と本を探してみる、

 無属性しか使えないけどさ。


「まずは魔力を感じる所から、ねぇ……」


 魔力は確かそこそこあるってラウル様が言ってたから、あるのは間違いないんだよな。


「どれどれ、自分の中の魔力を探ってみますかね」




 …………3時間後…………




 わっかんねぇーーーーーーーーーーーー!!


 なんじゃこりゃ!? 魔力の欠片もわからんわ!!


 何? そもそも魔力って何!?

 どっから魔力が出てどこで魔力が蓄えられるの!?


 そんなこんなで煮詰まりすぎてお腹減ったのにも気づかなかったわ。

 てことで、昼飯食ってリフレッシュしよう……


「館長、昼飯行って来ます」

「はい、いってらっしゃい、ずっと目を閉じてたから寝てるのかと思いましたよ」

「いや~……魔力を感じようと思いましてね、たださっぱりわからなくて……」

「ほ~、魔力ですか、ちょっと手を出してみてください」

「え?手ですか?」


 そう言って徐に手を出してみると、館長の手が俺の手を握ってきた。

 もうおじいさんに近い年齢で、60歳超えてんだろうなぁなんて思ってると、ものっっっすごい気持ちの悪い感覚が、手のひらを襲った。


「うお!? なんだ今の!?」


 びっくりして手を離すと、館長はめっちゃ楽しそうに、笑っていた、ただ上品な笑い方だったけど。


「今のが魔力ですよ、少し私の魔力を伝えてみました、どうでした?」

「物凄かったですよ! 手のひらにミミズがウヨウヨウヨって蠢いたようでした!」

「それはそれは、かなり魔力感知能力が高いのかも知れませんねぇ」

「魔力感知能力?」


 聞き慣れない言葉が出てきたな?なんだそれは? と思ってると、


「そのまんま、魔力を感知する能力の事ですよ、それが高いと細かい魔力操作を上手にやることができるんです」

「へぇ~そうなんですか、でも俺、自分の魔力感じられなかったんですけど」

「それは多分、あまりに魔力が自分の中に自然とありすぎるのではないでしょうか」

「どゆことですか?」

「ええ、稀にいるんですよ、魔力があるのに感じられない人が、それは魔力を自分の中にある異物と捕らえられない人が、魔力を感じられないんです」


 何やらよくわからない事を言ってきた、魔力って異物なの?


「要は、血液と似たような物でしょうか、血液を異物とは思わないでしょ?魔力は、多少なりとも血液とは異なるので、違和感を感じて、これ何だろうと、子供の時に自然と気づく人もいるみたいです」

「え?子供でも気づけるのに、俺は気づけないんですか?」


 俺の言葉を受け、ふふふっと笑った後、こう続けてくれた。


「先ほども言ったように、魔力が自然と体に馴染みすぎてるんですよ、そういう人は、1度コツを掴めば、他の誰よりも魔力操作をするのがうまくなりますよ、なのですごく恵まれた物とお思いください」


 へぇ~、どうやら俺は、無属性のくせに、魔力操作ってのに長けているらしい、無属性なのに……

 まぁ、悪い事ではないからいいか。


「そうなんですか、では魔力を感じるにはどうすればいいですかね?」


 そうですねぇ……と考える館長、そういえばこの人の名前知らないな、まぁもう図書館の館長でいいや。


「さきほど私がやってみた事を、今度は逆に私にしてみてください」

「さっきって言うと、握手して、魔力を相手に伝えるという?」

「ええそうです、手のひらにある魔力をめちゃくちゃに動かす感じで、適当にやってみてください」


 て、適当って……いいのかそれで?荒療治的な?


「わかりました、まぁできないと思いますけど、いきますね」


 そう言って握手して、俺がさっき感じたような感触を、相手にもしてやるようにしてみた。

 すると、


「お? なんか動いた気がした……?」


 と、目の前を見ると、館長がものっすごい身を捩りまくってる、どうした?


「ちょ、ちょっと、ま……もうやめて~!」


 ん? よくわからないが、手を離してみる。

 すんごい息を切らせてるぞ、どうした?


「い・・今のは? なんですか今のは!?」

「え? 今のって?どうしたんですか?」

「ものすごい手のひらが、気持ち悪~い感じで動いてたようなんですけど・・・まさか今のがあなたの魔力ですか?」

「ん~、俺は自分が感じた感触を思って、手を握っただけなんですけど、魔力かどうかはわからないです」


 ちょっとなんか変な目で俺を見てきてるよ、なんなの?


「多分今のは、あなたの魔力だと思います、今私が感じたようにあなたも感じてたなら、かなり敏感に魔力を感じ取れるのかもしれません、

今度は私の手を握らないで、空中で一人で握手するようにして、もう一度同じ事やってみてください」

「一人で誰にも握手せずに空中でってことでいいですか?」

「ええ、それで結構です」


 とりあえずよくわからないが、手を空気と握手するようにして、さっきのミミズうじゃうじゃをやってみた。

 すると、


 ん? なんか手のひらが暖かくなってきた、そこを意識してみると、

 ん~ん? なんか手のひらに集まってる感じがする、これが魔力か?

 そう思いこの感じを、体の中にもあるか探ってみると、


 あるわあるわ、体中があっついくらいに満たされてる感じが。


「お? これが魔力なのかな? ちょっと熱いくらいな感じがします」

「ええ、それであってると思いますよ、魔力は人によって感じ方は違いますが、いつもと違う感じがしたら、大抵はそれが魔力です」

「へぇー、これが魔力ですか、もう、すぐにでも使えそうですね!」


 これが魔力か! さっきの3時間の瞑想状態はなんだったんだよ!! って言いたくなる。

 これ図書館に入らず、館長に聞けば1分で使えるようになってたんじゃないのか?


「では、初級の魔法でも使ってみましょうか、何が使えますか?」

「え? 無属性らしいですけど」


 あ、この人今、目を逸らしましたよ、ええ、はっきりと見えました今……


「そ……そうですか、では魔法は自力では使えないんですね」

「やっぱり無属性は魔法ではないんですかね」


「ん~、一般的には魔法というのは、自分の体の外で起こす事を魔法と言われてますね、なので魔力を使えば魔法ではなく、魔力を体の外に出して、魔力を媒介にしてあらゆる現象を生み出す事を、魔法と呼んでいますね」


「へぇ~、じゃあ魔力操作うまくても俺は意味ないんですかね?」

「いえいえ、そんなことありませんよ、魔導具を使う場合、魔力操作がうまくないと、色々と効果が弱まりますからね、普通に適正のある魔法を使うより、魔導具を使って魔法を使う方が難しいのです。

なので魔力操作がうまいと、他の人よりもワンランク上の魔法が使えたりしますよ」


 ほぉ~、こりゃ良い事聞いたぞ、確かに自分の魔力をそのまま使うのと、魔導具を使うのは一手間掛かるし、やりづらいだろうな。

 普通は魔導具だと、帝王級までしか使えないが、俺の場合は、もしかしたら神級の魔法を使えるかも知れないと・・・

 ふっふっふっ、希望が見えてきたじゃないか!


「ただ欠点がありましてね……」


 あら? もう雲行き怪しいんですけど・・・もう少し良い気持ちにさせといてくれませんかね……?


「魔導具でワンランク上の魔法を使った場合、物によっては壊れたりしますので、気をつけないといけませんね」

「あ~、負荷に耐えられないんですか、確か魔導具によっては1回しか使えない使いきりタイプもあるとか?」

「ご存知でしたか、1回使うと壊れてしまう物が多いですね、それに負荷がどの程度まで耐えられるかは、使ってみないとわからないので、そこら辺は誰にもわかっておりませんね」


 む~……こりゃ俺がこの世界で魔法使うとなると、お金がいくらあっても足りないんじゃないか?

 どうしたもんかね、魔力操作うまくすればいけるかね?


「それはワンランク上の魔法を使わないようにすれば、壊れないですよね?」

「そうですね、初級までなら初級、中級までの魔導具ならば中級まで、これを意識して使うと、壊れずにすみます」

「なるほど、じゃあワンランク上は、危険感じたときや、最後の切り札的な感じで使ったほうが良さそうですね」

「きっとそういう使い方がよろしいと思います、でも普通の人から見たら、ワンランク上の使い方ができるだけ、羨ましいと思いますよ」


 確かにねぇ、使いたくても使えないんだもんな、まぁ無属性だって落ち込んでたけど、これでちょっと気分上がってきたな、早く魔導具ほしくなってきた。


「この村に魔導具って売ってないんですか?」

「この村には魔法袋以外は無さそうですねぇ、基本的に魔導具は貴重な物なので、王都など、大きい街などに行かなければないと思われますよ」


「そっかぁ……じゃあ普通の剣に魔力注ぐとかってできないんですか?」

「できますよ、魔力は何にでも注げます、ただし、魔力を保つ事ができないので、意味を成さない物が非常に多いですけどね」

「あ~なるほど、魔導具は、魔力を留めておけるから効果を発揮するのか」

「そういうことですね、なので、言い換えれば、無尽蔵に魔力があるのであれば、普通のなまくらの剣でも、魔力が霧散する前に注ぎ続ければ、すばらしい切れ味や頑丈性を発揮するはずです」


 な~るほどねぇ、一応魔力を注いでも効果はあると、ただすぐ霧散してしまうから、魔導具以外で魔力を使うやつはいないと、そういう事か。


「確かに、魔力を無駄にし続けるなら、魔導具買ったほうが効率が全く違いますもんね」

「そういう事になりますね」


「ちなみに、安い剣の魔導具とか初級魔法が使える魔導具っていくらなんですか?」

「そうですねぇ、こればっかりは店によりますね、たくさん作られてる街だと、輸送費が掛からないので、高い所の1/3とかで買える所もありますよ」

「そりゃまた随分差がありますね……」


 なるほどねぇ、現地生産してりゃそりゃ安くなるか、それでも3倍も違うと相当に懐事情が変わってくるなぁ……


「まぁ目安としては、剣はどういう効果によるかで価格が決まりますが、安いのですと、大体金貨数枚は必要ですね、杖は初級魔法なら、大銀貨数枚から金貨数枚が目安でしょうか」


 ふむ、剣は安いので金貨数枚、数十万ゴルドか、杖は初級魔法だと、数万から数十万ゴルドか、

 うん、やっぱりたけーわ!

 わかってたけど、高いね~。


「なるほど、やっぱり高いですね、この魔法袋が金貨5枚だったのは、かなりお買い得だったのかな」

「それは大きさどのくらいの魔法袋ですか?」

「これは確か3メートル四方だったかな?」

「それなら安いですね、王都とかなら似たような価格で買えますが、この村でその値段は破格でしょうね」

「あーやっぱりそうなんですか、良いのかなこんなに安く買えちゃって」


「脅して買ったわけではないのでしょうから、店員がその値段で良いと言ったならば、気に病むことでもないですよ」

「そうですね、この値段で良いって言われたので、素直に喜ぶ事にします」


 そう言って少し話をした後、魔力の事でお礼を言い、互いに昼飯を取りに行き、また午後に図書館に戻り魔力とはどういう物なのか、

 魔力操作はどうすれば上達するのかの本を、いくつか読んでみた。


 ほんとは、宿か外に出て、練習したかったけど、図書館の代金を1日分払っちゃったからな、今さら魔力わかったから午後使いません、なんて通らないよね、

 魔力使えるようにして貰ったのも館長のおかげだし。


 てことで、今日は1日図書館で時間を使い、宿に戻ってから軽い魔力操作をしてからベッドに入った。


 明日はステータスカードを取りに行くぞ~、と楽しみにしながら寝付く事にした。

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