3話 異世界での初日、終了

 ようやっとお金取り終えて戻ってきたわ。1時間以上探してたんじゃねぇかなこれ……


 創造神のラウル様からお金貰ったけど、いくら入ってんのかね。

 そう思って布袋を開けてみると、大金貨1枚(百万)と金貨10枚(十万×10枚)の200万ゴルド入っていた。

 数ヶ月分とか言ってたけど、これ節約したら1年暮らせねぇか?

 でもあれか、装備なり生活用品なり買ったら意外と吹っ飛んじゃうのかね。


 まぁ村に言ってから色々お金の使い道考えようかね。


 そうして意気揚々と北がどっちかわからないが、この世界でも太陽が東から昇ると信じて歩いて行く事にした。


「しっかし、な~んもないなぁ、麦畑ばっか」


 生き物の気配がほっとんどないってのも、なんか怖いな。

 この麦を管理してる人もいないのかね、動物とかいたら食いそうだけどなぁ。

 地球だとスズメが稲の米になる部分が固まる前の、液体状の時に食べるみたいなんだよね。

 うまいのかね、まぁ固まったら食えないだろうけどさ。


 そんな事を思いつつ数時間も歩いた。


「魔物どころか動物もほっとんどいないな、平和すぎないかこれ」


 そう思ってると、ウサギっぽいやつが木々の中に入っていくのを見かけた。

 ようやく麦畑も終わったか、なんで村の近くに畑作らないのかね、水田関係でダメなのかな?

 まぁ景色が変わったから、そろそろ村に着いたりしてね。


 そう思ってると、遠くのほうに何かが見えてきた、ほんと遠~くだけど。


「ようやく村に着くか? もう何時間歩いてんのよ」


 そろそろ歩くのにも飽きてきたから、見えなかったらちょっとへばってたとこだ。


「さて、どんな歓迎を受けるかね、村っつーと閉鎖的なイメージあるけど、ここはどうかね」


 そんな思いを抱きながら、ちょっとワクワクしながら村に近づいていった。


「ようこそ、リュッベルソン村へ、旅の方ですか?」


 鎧に兜を被った門番らしき人が声を掛けて来たな。


「ええ、そうです、このまま通れますか?」

「身分証明証はございますか?」

「いえ、もってないですね」

「街カードももってませんか?」

「ええ、カードを使わない所から来たもので」


 まぁ、嘘も方便だ、ややこしいことは避けよう。


「そうですか、では大銀貨5枚で町のステータスカードを作れますがいかが致します?」

「ここ村ですよね? 街カード作れるんですか?」

「ええ、ここは人口自体はもう街と名乗れるくらい多いですからね、発行機を国から貸与されたんですよ」

「へぇ~、発行機は国が管理してるのか、では町カードの発行お願いします。」


 そう言って布袋から金貨1枚を取り出し渡す。


「金貨1枚ですね、お名前をよろしいですか?」


 名前は多分、苗字が無い人が多いだろうと予想して、名前だけを名乗ってみる。


「ハルトです」

「ハルトさんですね、では、お釣りの大銀貨5枚と、こちらが仮カードになります、正式に発行されるまで、2日3日かかるので、また、その頃に来ていただけますか?」

「結構時間かかるんですね」

「ええ、複製や偽称などが出来ない様にするために、少し難しい魔法を使いますので、時間が掛かるんですよ」

「へぇーそこら辺はしっかりしてるんですね」

「そうですね、大昔に色々と問題になりましたからね」


 やっぱりカード関係は問題が起こりやすいんだろうな。


「街に入る時は、こちらの機械にカードを入れてください」

「これに入れるんですか? なんですかこれは」

「これはカードが本物か、犯罪歴を確認し、指名手配されてないか、後は偽称の魔法等で弄られてないか鑑定する機械になっております」


 そう言われた機械を見てみる。

 なんかゲームセンターとかにある両替機みたいな機械だ、若干コンパクトになってるけど。

 なるほど、これで偽物かどうか分かるのか、確かに一目見ただけじゃ本物かどうか分からんしな。


「この機械は書き換えだったり、記録でもしてるんですか?」

「いえ、昔はどこの街から来たとか記録を取ってたんですが、色々犯罪に使われたり、王族貴族などの情報を流されたりで、今は確認だけになってますね」

「あ~なるほど、確かに碌な事にならなそうですからね、犯罪者探しには使えそうだけど」

「単純な犯罪者ならいいんですけど、結局、重犯罪者達は街の中に入らなかったりして、意味をなさないんですよね、それよりも王族の誰がどの街にいるとかの情報の方が、問題になりますからね、結局撤廃したみたいです」

「たしかに、協力者が居れば街に入らなくてもいいですもんね」


 納得した、重犯罪者は用心深いだろう、だから重犯罪などを犯すんだろう、そいつらの為にこの機械を付けて、結局は王族貴族の誰々がどこの街にいるかなんて情報を流されたら堪らないもんな、お忍びで来ててもバレちゃうだろうしな。

 暗殺もし放題だ。


 と、話をしていたら、仮カードを渡された。


「これは今この機械に通しますか?」

「いえ、通さないでいいですよ、正式な街カードができあがったらで結構ですよ」

「わかりました、じゃあまた来ます」

「はい、お願いします、ごゆっくりどうぞ」


 そう言って別れ、街の中に入っていく。


「ふ~ん、名前だけでいいのか、それとも正式なカード貰うときに何かするのかね」


 まぁ楽だからいいんだけどね。

 これで2・3日暇になったな、さて、どうするか。


「まずは何か飲み物ほしいな~、数時間も飲まず食わずだからなぁ」


 少し街をブラブラしていたら喫茶店らしき物を見かけたので、そこで食事をして宿を探した。


「あ~、やっぱどの世界でも肉はうまいもんだなぁ、飲み物はなんかグレープジュースみたいだったな、うまかった」


 今何時だろ、だんだん暗くなってきたわ、宿探さないと街で野宿とか勘弁してくれよ。

 色々見て回ってようやく宿らしき建物を発見した。


「こんばんは」

「はい、こんばんは、お客さんかな?」


 結構若い女の人が出てきた、身長が高くスラッとしてるけど、肉付きは結構いい感じで、中々の美人さんだ、姉御とか呼ばれてそうな外見だな、

 年は25歳とかだろうか、そういえばこの世界って何歳まで生きるんだろ。


「ここは宿泊できますか?」

「できるよ、1泊かい?」

「ん~、どうしよっかな、1泊いくらですか?」

「1泊銀貨3枚とお得だよ、どうする?」


 高いか安いかわからんけど、円にすると1泊3千円くらいだからまぁ、そんなもんかな。


「じゃあ5泊分お願いします」

「あいよ、食事は朝夕の2食付だよ、大銀貨1枚に銀貨5枚ね」


 大銀貨2枚を渡し、お釣りの銀貨5枚受け取る。


「部屋は2階だよ、じゃあ302号室ね、部屋のカードはこれだよ」

「鍵じゃなくカードなんですか?」

「ああ、そうだよ、うちはいい宿だからね、そのカード以外は絶対に開かないよ、まぁ扉を壊されたらどうしようもないけどね」


 そう言ってちょっと豪快に笑う、うん、似合うねぇこういう笑い方。

 しっかし、この世界、宿の部屋でカード使うのか、何気に進んでるなぁ、明日はちょっと文明度を見て回ろうかな。


「わかりました、ご飯はいつですか?」

「あと1時間もすりゃ飯の時間だよ、食堂は1階の坊やの後ろの方だよ」

「坊やはやめて下さい、まだ自己紹介まだでしたね、俺はハルトって言います」

「ごめんごめん、確かに名前名乗ってなかったね、私はエリーってんだ、よろしくねハルト」


 ようやく自己紹介を終え部屋に行ってみることにした。


「これがカードを入れる所だな、おっ開いた開いた」


 部屋は、8畳はあるだろうか、ベッドにトイレにお風呂・・はないか、まぁトイレあるだけマシか。

 しかも水洗だ、ボットンじゃなくてよかった~、おまるみたいなのも勘弁してほしかったから、ある程度文明が進んでる世界選んでよかったわ。


 ただ、やっぱり風呂はないのかねぇ、それとも大浴場みたいな感じだろうか。

 後で聞いてみるか。


 そうして少し歩き続けた体を癒して、食事の時間になり、1階へ降りていった。


「ハルトだったね、食事は出来てるから、食堂に行きな」

「はい、行って来ます」


 女将のエリーに見送られ食堂に行く事にした、っと、その前に。


「あ、エリーさん、ここってお風呂ないんですか?」

「お風呂はないね、みんなあんまり入らないからね、大抵体を濡れたタオルで拭いて終わりだねぇ」

「そうなんですか、わかりました、お湯は貰えるんですか?」

「説明してなかったか、ごめんね、お湯は1日1回は無料だよ、2回目から大銅貨2枚貰うけどね」


 大銅貨2枚は200ゴルドか、まぁそんなもんか。


「じゃあ食事終わった後お願いします」

「はいよ、部屋に持って行くからね、桶は朝には返しておくれ」

「はい、わかりました、では食堂行って来ます」

「たらふく食べてきなよ」


 その言葉に軽く会釈をして食堂に行った、さて、何が出てくるかねぇ。

 お? なんだこれ?


「なんですかこれ?」

「ラギラビットの肉ですよ~」


 ウェイトレスだろうか、可愛らしい女の子が出てきた、全体的にこじんまりしてる印象だ。


「ここら辺では一般的なお肉ですねぇ」

「へぇ~そうなんですか」

「食べたことありませんか?」

「ないですね、ここら辺に来たばっかりなので」

「そうなんですかぁ、美味しいですよ~、ごゆっくりどうぞ~」


 そう言って肉の他に、フランスパンみたいなでっかいパンと、カボチャ?スープみたいなのを置いて行った。


「結構パンがでかいな、食いきれるかこれ、ていうか、パンだけ残りそう」


 ただの食パンとかフランスパンとかは、スープなりジャムなりが無いと食えないタイプなのだ。

 まぁ、肉でも食べてみるか。


「おっ、うまいなこの肉!」


 結構な美味だなこの肉は、味は塩だけだろうと思われるが、赤身が美味いな。

 実は、肉は赤身が大好きなのだ、脂身とか、俗に霜降りなんて言う脂ぎった肉は大嫌いで、ステーキなんて脂身を全部取り除いてから食べるからな。

 あんなん不味くて食えたもんじゃない、なんで日本人は霜降り霜降り言ってんだろうね、いや、TVで言ってるだけかね。


 まぁとにかく、ラギラビットだっけ? の赤身の肉はかなりうまかった、そしてやっぱりフランスパンみたいなでかいパンは、ちょっと残った、

 カボチャっぽいスープがお代わり出来たので、助かったな、それでなんとか完食できた。


 食べ終わったから、部屋に戻りお湯を貰って体を拭く、ちなみに部屋はオートロックだった。

 無駄に進んでるなこの世界は、地球の文明の一歩後ろ程度か?

 ただやっぱり通信関係だったり、電波関係はなさそうだなと、なんとなく直感できた。


 まぁそんなこんなで無事1日目を終えることが出来た。


「ふぅ、寝るかなぁ、今日は疲れた・・・明日は、この街を色々見て回ろっと」


 そうこうしてるうちに、ウトウトしてきていつの間にか寝ていたみたいだ。

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